vol.706 鶏卵GPセンターのCCP
投稿日: 2013/06/14 20:41:22
そのあと、ヒビの入ったものを発見・除去する工程を経て、選別、パッケージして倉庫に行くのだが、問題は製品倉庫の温度だ。
卵の理想的な流通は冷蔵で、6〜10℃程度だ。
メーカーでの保管、物流過程、出荷先での保管、販売店での陳列温度が全て冷蔵になっていることが理想だ。欧米ではこれで流通しているところが多いが、日本は未だそうはなっていない。
夏の暑い盛り、温度管理を全くしていない開放式荷台に、出荷元で冷蔵管理していた卵を積んだらどうなるか。あっという間に汗をかき、水滴が卵の表面にびっしりとなり、そこに細菌を初めとする汚染が付着する。
これで表面が汚染された卵になり、納入先で汚染が増殖され、それが一般消費者の所に行ったら危険である。
そこで、この問題を解決するためには、気温が高い時には冷蔵保管ではなく、温度をある程度上げて保管する。これにより開放荷台の車に積んでも汗をかかない。あるいは汗をかかない温度に保管しておく。このための対応温度は、外気温マイナス7℃程度で行なっているところが多い。
NHKの気象情報などの確認基準を設けて、例えば30℃になる、という場合は、30マイナス7の23℃に出荷倉庫の温度を設定する。
「そんなのがCCPであっていいのか?」と考える人も多いとは思う。何しろCCPは製品そのものからハザードを除去する工程なのだから、CCPには当たらないと考えても間違いでは無い。しかし、今の日本の鶏卵のロジスティクスの状態だと、こうすることがハザードを減らす方法なのだ。いわば「苦肉の策」のCCPといえる。
ある鶏卵GPセンターは、業務用のみを行なっているので、冷蔵保管、冷蔵車での物流、納品先でも冷蔵保管が条件になっている。これなら製品保管は冷蔵で問題無い。
しかし、冷蔵でのロジスティクスが出来ているルートと、開放荷台型のルートと、二つのルートがあるセンターでは、製品倉庫は2つに分けることになる。冷蔵倉庫と、高温外気の場合のマイナス7℃倉庫の2つだ。
この苦肉の策のCCPは、これから少しずつ変わってくるだろう。次第に冷蔵ルートが増え、あるいは何らかの規制かガイドラインが日本にも出来て、それに対応して行けば進化して行くことになる。