CCPとOPRPから始めるISO22000

投稿日: 2013/01/02 11:29:24

ISO22000で象徴的なのはOPRPだ。OPRP(オペレーションPRP)は、一般的衛生管理(PRPまたはPP)の重要な部分を、主として検査等の科学的方法によって監視をし、安全範囲から逸脱していたら直ぐに正常に戻すものだ。

例えば、ナイフとまな板を、今までは洗浄したあとそのまま保管し、翌日そのまま使い始める、あるいは目視で正常かどうかを確認してから使い始める、という方法をとっていたとする。しかし、目視で、汚れ、細菌の状態はわからない。そしてこの調理道具は食品に直接接触する安全管理上重要だ。

そこで、ふき取り検査をしてから、作業を開始する、といった方法だ。

検査をするというオペレーションをするので、オペレーションPRPということになる。

ISO22000が発行されてから、多くの組織が勉強を始めており、次第に理解されてきている。しかし、勉強している間、製造現場の状況はそれまでのままで、素早い安全対策がされ始めてはいない。その間にも、クレームは来たり、食中毒報道は耳に入って来たりと心配だ。それならば、勉強の間にも、並行して安全対策を現場で行ない始められないか、というのが、多くの組織の本音だろう。

CCPは、食品そのものから、危害(ハザード)を除去する場所だ。

一般的な食品製造では、加熱殺菌工程で、食中毒菌を死滅させる。この温度管理がCCPになる。例えば75〜85℃になっているかどうか、頻度を決めて確認する。多くの食品工場では何らかの方法で行っているから、頻度、担当者、記録をきちんとすればより強固に出来る。温度測定をしていなかったなら、直ぐに温度計を購入して始め出せばよい。

もう一つ一般的なCCPは、金属探知機だ。金属が入っていたら、削除する。安全性のとどめを刺す場所だ。

これに対して、OPRPは、主として製造環境から汚れや異物を低減させることだ。

製造環境、工場内がきれいになれば、食中毒菌、異物混入の元が少なくなるので、安全性が高まる。

OPRPで手軽で素早く出来る科学的検査の一つにATP測定器がある。麺棒でふき取りをし、機械にかければ直ぐに数値が出て来る。一般的に数値が500以下なら正常だ。もし数値が数千とか異常に多かったら、洗浄不足なり何らかの問題があるので、作業を始めずに、再洗浄し、その原因も確かめてから作業を開始すればよい。

ある弁当製造工場では、弁当容器の内側ATP検査を、毎日作業開始前に行なっている。弁当容器を3個の内側を検査する。許容限界は200以下だ。

今まで逸脱したことはないが、もし逸脱した場合、つまり汚れていた場合は、「その弁当箱を隔離し、前後の弁当箱を、3個、検査。その結果、追加検査した3個が、1.許容限界以下の場合→隔離した弁当箱を、手洗浄後、ライン再洗浄に廻す。弁当箱にキズがついていた場合は廃棄。(たまたま最初に検査した弁当箱が、異常に汚れがこびり付いていたなり、ナイフなどでのキズが原因の場合などがある)。2.許容限界以上→洗浄場長に報告後、調査し、洗浄ラインを正常に復帰させる」という処置を決めている。

この部分ではもう一つのOPRPがある。回収してきた弁当容器は、洗浄され、そのあと熱風乾燥殺菌を行なっている。この殺菌機内での熱風は85℃だ。

そこで、OPRPは「乾燥機から出た直後の表面温度測定」で、作業の「最初、中間、最終の3回以上」の頻度で測定する。これで、熱風殺菌が出来たかどうかを確認できる。

この事例では、弁当容器の直接的な安全管理を、殺菌後の温度と、汚染状態検査の2つのOPRPで行なっていることになる。

ハムソーセージ製造工場では「加熱後の冷却不足の品質劣化」を防止するために「製品の中心温度」を「2時間以内に製品10℃以下」になっているかの確認をOPRにしている。方法は「中心温度測定」を「ロット毎」に行なう。逸脱した場合は「追加冷却、及び、原因追跡と改善」

この事例では、製造環境からの危害の低減ではなく、食品そのものからの低減になっている。CCPというとどめまではいかないが、それに準じた管理だ。

カット野菜や、魚介類のパック工場では、チラー水を使っているところが多い。このチラー水の温度監視をOPRPにすることが出来る。

内容は「装置不良による温度上昇」で「温度監視」を「毎日、作業開始前」の頻度で、管理基準は「5℃以下」、逸脱していた場合は「装置の調査調整」だ。

こういった水の監視は、温度と同時に、減菌や殺菌水の場合、装置の正常運転や水そのものの検査をOPRPにすると良い。

CCPとOPRPの実施を始めながら、ISO22000の理解をやっていけば、初期段階から安全性を高めることが出来る。

登録07.9.28