作業着及び保護着

投稿日: 2013/03/02 1:16:21

ISO22002の[13.4 作業着及び保護着]では、まず、「むき出しの製品及び/又は材料が取扱われる区域の場合は、目的に適った、清潔でよい状態(例えば、ほころび、裂け目、又はすり減った材料でないこと)の作業着を着用しなければならない。」とある。

入出荷場所、倉庫といった場所では一般的な作業衣でいいが、食品と包材などの原材料を直接扱う場所では、清潔で良い状態の作業衣でなければならない。

「ほころび、裂け目、又はすり減った材料」というのは、ほころびからの糸くず、裂け目から内側に着ている衣服や下着の汚れや破片、すり減った所もやはり落下するし、裂ければ中の物も落下の危険になる。

作業衣は使っていれば劣化し、問題が次第に出て来るわけなので、これを監視する仕組みがなければならないことになる。

このためには、作業者個人が監視することと、作業者以外の目での監視の両方からが必要になるが、作業者は自分が着ている物なので、少しずつ劣化していることに気が付きにくいから、第三者の目がなければならない。

このための方法の一つは、この規格の中にある。それは「作業着は、基準に達するように、及び衣服の意図した使用に適うように定期的に、洗濯されなければならない。」である。

ここで、一般的によくある食品工場の問題がある。洗濯をどうするかだ。作業衣を、作業者の自宅に持って帰ってもらい洗濯する、という工場は未だ多いようだ。これはダメだ。家庭の洗濯機には、糸くず、毛髪、ゴミ、ペットの毛といった異物の塊だ。実際毛髪混入クレームがあり、非常にうるさい顧客だったため費用をかけて調べたら猫の毛だったことがある。工場内に猫は居ないが、従事者の家で猫を飼っていて、その毛が洗濯した作業衣に付着して、非常に稀な確率だが、製品に入ってしまったのだ。

家庭では殺菌も科学的に出来ない。晴れた日に外で乾かせば太陽光で殺菌になるが、雨なら出来ない。その時の状況によって違っては、安定した殺菌が出来ない。

対応は2つあり、工場内で洗濯するか、リースにするかだ。リースなら当然洗濯付きになる。工場内での洗濯の場合、工業用の大型洗濯機を入れ、乾燥機は85℃以上の熱風殺菌乾燥が出来る機種にする。この時、洗濯担当者が、作業衣の劣化や破損を点検するようにすれば、第三者の点検が出来る。

ある工場は、2階が食堂休憩室や更衣室になっていて、その清掃全てを担当するパートの方が、作業衣の洗濯乾燥と、点検も行なっている。

リースの場合には、修理などのメンテナンスも含めた契約になるから、専門家の目で点検出来るし、修理交換も一緒にやってもらえる。しかも全てリース料金に含まれる。

作業衣の洗濯工場だが、食品工場用に異物混入や付着が無いように衛生管理をした工場である必要がある。これに対応した工場は徐々に出てきており、洗濯工場でISO22000を取得した所も出て来ている。