隙間に注意!隙間を作らないレイアウトと工夫

投稿日: 2012/12/18 3:07:11

パリである勉強中の画家が、大画伯に質問をした「先生は、ルーブルやオルセー(美術館)の絵を、どのように見るのですか?」

大量にある絵を、どうやって見て勉強するのか?

画伯は答えた「ある時は唇を、ある時は指、ある時は目、ある時は透明な(瓶など)もの」

数多くの絵を、ある時は「唇」だけを次々と、どのように描いてあるのかに集中して見ていく訳だ。このテーマを、日によって変えると勉強になるという。

食品工場や厨房の点検も同じ考え方で見るとよい。

「隙間」「照度」「目の上以上の高いところ」「食品がむき出しになっている場所の上と周囲」「補虫機の場所」「不要なもの探偵団」「清潔ゾーンにある埃を出すもの発見隊」……

ある東日本の食品工場で「隙間」のテーマで点検してみた。

作業場に入って見回した状態では汚れているように見えなかったが、隙間を見ていったら、シンクの裏側には食材残さがこびりつき、真空パック機の裏は黒カビがびっしりとスプレーで塗られたように付き、その下は食材の破片がゴミ捨て場のように落ち、棚の最下段の下は3センチほどの隙間で清掃できない状態なのでデジタルカメラでフラッシュ撮影してモニターを見たらそのゴミだらけの惨状に「ぎゃー」と叫び声が出た。

どこの隙間も、ゴミ、カビ、汚れ、食品のカスという、目を覆うばかりの状態だった。この作業場は、カビ、細菌、汚れに変わった食品脂肪がコーティングされた床と壁、これらに汚染に汚された空間だったのだ。

デジカメで撮った画像を、このあとの社員教育で「これはどこでしょう」と、大きくプロジェクターで映して紹介したら、多くの皆さんは驚愕した。ああよかった、これを見て何も感じなかったらどうしようと思っていたからだ。

目を丸くした社長が聞いた「これはいつですか?」

そう、それが一番問題なんですね「つい2時間前」

多分、明日はきれいになっていることだろう、安全になる。

この方法で、点検と報告会をやってみたらいかがでしょうか。

機器や作業台を壁につけてレイアウトすると、それらと壁の間の隙間に、ゴミが溜まり、カビや虫の発生源になる。

壁との隙間には大量のゴミが溜まり、カビの塊になって、細菌の巣になり、このような環境で製造している製品は、鮮度劣化も早く、ヘタをすると危害につながる。

日本では製造環境が狭いという所から、壁に物を置く習性があるが、逆のレイアウトをしても、使える面積はあまり変りはない。

壁側に物を置かないで、中央に置くレイアウトを考えてみる。壁に背中を向けて、作業場の中央に向かって作業をすることになる。中央に、向かい合わせに作業台を2台置くのも、壁側に置くのも、使える面積は同じだ。

そして、壁側に何も無いと、清掃が楽で、隅が無くなるので、ゴミが溜まらない。

一般的に壁側に機器や作業台、シンクなどをレイアウトするようになってしまうのは、電源コンセントや水の供給口が壁側にあるからだ。

工場の衛生管理がやりやすいように改修する場合、これらのユーティリティ供給源を、壁から天井に移すことが出来ればかなりよくなる。

電源を天井に簡単に移すなら、現在壁側にある電源コンセントに防水処置をして、壁から天井に配線を延ばすようにすればそれほど金がかかるものではない。

水の供給口の移動は費用がかかることが多いので、これをそのままにする場合、シンクを壁から15センチ程度離すことができれば、その間を清掃洗浄しやすくなる。

狭くてどうしてもシンクなどを壁側に付けなければならないなら、供給と排水パイプなどに余裕を持たせて動かせるようにし、毎日簡単に動かして清掃洗浄をするようにする。洗浄後、元に戻さないで、そのままにして帰る。こうすると翌朝までに乾燥できるので、カビや細菌増殖になりにくい。朝作業を始めるときに戻せば良い。

さらに床をハード的にいじれるのなら、道路のように、中央を高くする蒲鉾型にして、壁側を浅いU字型排水溝にすると、洗浄後、水が壁側に流れ出て、中央部はすぐに乾く。こうなると、清掃洗浄が楽になり、乾燥も早いので、カビの増殖も無くなる。

ある生鮮のパッケージ工場に行ったら、壁際に古くなった大型のまな板が立てかけてあった。だいぶ前から置かれっぱなしの様に見えたので聞いたら「以前使っていたもの」で、ずっと「覚えが無い」前からのようだ。

この工場は小蠅のような小さな虫の混入が以前から時々クレームとしてあがって来ていて困っていることを聞いていた。そこでこのまな板を手前に引いてみたら、壁との間から小蠅が数匹わーんと工場内に元気に舞い広がっていった。

虫内部発生の元を自ら作っていた訳だ。

内部発生の虫の元は、スイッチボックスの中、電源ケーブルパイプの中、食品機械のモーターボックス、コンプレッサー室などの機械室の中、シャッターの収納部などもある。

ゴキブリや小蠅で困っていたある総菜工場では、パススルー冷蔵庫の扉のゴムパッキンに虫の糞がびっしりと付いていた。何台もある同じ冷蔵庫の一つの、両側8枚ある扉のたった1枚のの扉にだけあったのだ。

隙間を点検する、そして隙間を作らないレイアウトと工夫、考えてみませんか。