投稿日: 2012/12/18 1:28:59
←弁当容器内側のATP検査の結果
←この工場では500以下が規定
←19、7といなっているので、結果は非常にクリーン
この工場では、毎日の結果を、このように発表している。
北日本のある弁当工場で、ほうれん草のお浸しから「臭い」がするというクレームが来た。
西日本の弁当工場では小松菜のお浸しから同じく臭いのクレームが来た。
どちらも配達する場所によって、臭いのクレームが出ていた。
同じ製品を保管しておいた工場で、お昼過ぎに官能検査したら臭いが出ているのとそうでないのの両方が合ったが、午後遅くなったら全てのお浸しが臭っていた。
これは、臭いが出るか出ないかのギリギリの状態で、温度の高いところと、涼しいところに置いてあったところとでの差が出たのだろう。
暑い場所に置いておいた弁当のお浸しから臭いが出たのだ。そのまま放っておけば、腐敗、食中毒につながる。
気温の高い夏にこういう事故は起こりやすいのだが、この状況が出たということは、夏以外でも、配達先の環境によっては起こりうることである。
和え物は、加熱調理で殺菌出来ても、そのあとの盛り付けまでの工程で汚染されていく。殺菌後から盛り付けまでの工程で、器具機材がクリーンでなければならない。
普段は、安全レベルの中でもあまり良い状態でない場合、そのままだと、暑い時期に一気に問題になることになる。
和え物よりもさらに深刻なのは全く加熱工程の無いサラダだ。また、サラダ風の浅漬けも気を付けなければならない。
この場合の対策は
サラダや浅漬けの場合、全工程。和え物の場合、加熱後の全ての工程で使用する機器資材の洗浄と殺菌を徹底する。このために、HACCPの方式である工程チャートを作成し、各工程で使用する機器資材とライン(コンベアーなど)をリストアップして、その洗浄と消毒の実態を調べ、やり方が甘いようであれば強化する。例えば、作業終了後、洗浄して終わり、翌朝作業開始時には、そのまま使用する。という状態の場合、朝の作業開始時には、夜中わずかに残った細菌や空中浮遊細菌が付着して、汚染されていることが考えらる。そこで、朝の作業開始時に、再洗浄と殺菌をする。
味が多少変化しても問題が無ければ、味付けを夏場だけ濃くする。あるいは「夏場だけ味付けを少し濃くします」と言う告知を顧客にする。
メニューから夏場だけ外して問題無ければ、サラダや和え物を削除する。
お客様が食べる時間まで、製品を、工場内の最も状態の悪い場所(1番温かい、冷房していない会議室など)に置いておき、官能検査(臭い、試食など)をする。
全従業員に、これらのことを「なぜなのか」教育し、徹底する。
ふき取り検査、スタンプ検査、ATP検査などの頻度を多くする。(例えば、毎週やっていたら、夏場だけ毎日にするなど)
弁当の場合、弁当容器の問題もある。
通い容器の場合、顧客に配達したあと、食べ終わった弁当容器を回収して工場に戻し、洗浄、保管して、再び盛り付けて配達することになる。
この場合、2つの問題点が出て来る。
一つは、工場に戻ってきてから、洗浄までの間。もう一つは、洗浄から盛り付けまでの間だ。一つ目の問題は、汚れた容器が工場に戻ってきてから、洗うまでの時間だ。
夕方次々に配送車で戻されて来る容器を、そのまま順次洗浄ラインに回すのなら良いが、人員や製造シフトの関係から、数時間、最悪の場合は翌朝まで放置しているところもある。汚染された状態のまま放置しておいたら、バクテリアはどんどん増殖していく。ましてや夏場の暑いときは腐敗にまで進んでしまうだろう。
クリーンに保たなければならない工場内に汚染源を入れ、それを放置によって増大しているのだ。シフト、システムを工夫して、速やかに洗浄するようにしなければならない。
弁当容器洗浄後、熱風乾燥殺菌をする
洗浄から盛り付けの間にある問題は、容器を洗浄したあとの乾燥だ。
洗浄機から出て来た容器は濡れたままだ。これを乾燥させないまま翌日まで置いておくと、当然細菌汚染される。この時間が長ければ、せっかく加熱殺菌された食品を汚染することになる。
和え物、浅漬け、サラダなどでは、それまでにわずかにでも汚染されてきたものに、容器の汚染がさらに拍車をかけることになる。
弁当容器は、保管の効率化や密閉性のために、盛り付け側本体も、蓋側も、積み重ねるとぴったりと重なる。内部は密閉され、空気が入り込まないので乾かない。この問題だ。
洗浄機から出て来る濡れた容器は、手作業ならば、カゴ型のサンテナーに、容器の間にすき間が出るように入れて乾燥させればいい。
洗浄機から出て来た容器を自動で積み重ねることが出来る高性能のタイプがある。ところがある最新型をみたら、乾燥していない状態で積み重ねてしまっている。
洗浄後、1メートルほどの乾燥のためのラインは付いているのだが、少し水分が吹き飛んでいる程度だ。ぴったりと見事に重ねられた容器を離してみると、たっぷりと濡れている。これをそのまま乾燥室に入れても駄目だ。
何とかするには、ぴったり重なった容器を手作業ではがしてサンテナーに入れ直して乾燥することだが、これでは最新型の意味は全くない。
そこで、1メートルしかない乾燥ラインを長くし、エアプレッシャーを上下からかけて、完全に乾燥された状態にしてから自動的に積み重ねるラインに入るようににした画期的なシステムが開発された。
安全管理を集中する場所を見つけることは、HACCPの基本的考え方だ。