vol.781 骨の異物混入対策

投稿日: 2015/02/07 3:14:34

ボーントリマー

西日本のある食肉パックセンターではすき焼き弁当用のスライスをかなり以前から複数の弁当工場に納入している。今まで何回か骨の異物混入があり、その都度どう対応したらいいか苦慮していた。

出て来る骨は小さな破片で、脱骨する時に一緒に切り込んでしまう骨、あるいは一部の骨をウエルソー〔電動のこぎり〕でカットするが、その破片だと考えられる。

製品にはひき肉もあり、これからも小さな骨が出て来るが、これも由来は同じになる。ひき肉の方はグラインダー〔チョッパー、ひき肉器〕を通し、このプレートの穴を通り抜けてしまう骨が混入してしまうのだ。

グラインダーには「ボーントリマー」という骨やスジをトリミングするアタッチメントがあり、この存在を知ったのですぐに導入した所、かなりの骨が出て来た。この数は、クレームが来てしまった件数よりかなり多いので、これまでかなりの骨が混入していたことがわかる。

この対策で、ひき肉への骨の混入は減ったことは減ったが全てが解決したわけでは無い。

ボーントリマーの仕組みは、骨やスジが入っていると穴の空いたプレートの溝に滑って落ち込み、パイプから排出されるようになっている。プレートの穴よりも小さい骨はどうなるかというと、一部の骨は溝に落ち込むが、ある程度は穴を通ってしまい、ひき肉に混入してしまうことになる。ボーントリマーは完全では無く、ある程度は排出出来るというものだ。

すき焼き用スライスはボーントリマーを通せないので、どうするかの問題が残る。

X線検査機

X線検査機が低価格で導入しやすくなってきたというので試用機を入れて検査してみたら、すき焼きにも、ボーントリマーを通したひき肉にも骨が検出される。

画像でどこに骨が入っているかがわかるので、検出されたら機械を停止し、画像を見ながら混入場所を探すと小骨が出て来る。

結構出て来るので唖然とした。今までこれらが出荷されてしまっていたことになるからだ。

金属探知機だと、パックしてある食肉を半分にしながら何回か通して探っていくと発見出来る。特定まで結構手間がかかるが、金属探知で反応する数はそれほど多くは無い。しかしこのX線探知機では結構検出されるので、画像を見ながら探すのは大変だ。検査効率は一気に悪くなった。しかし明らかに骨があるのを放っておくわけに行かない。

トリミングと検査の両面からの対策

今後の方向は、枝肉から脱骨する時の手順と緻密な作業により、原材料そのものに骨が無いようにするのが根本的対策だ。また、ウエルソーで強引に骨を切る作業について、細かい刃を使ったら問題は減るのか、ウエルソーでは無くハンドソー〔手鋸〕の方が安全なのかの検証も必要だ。

そして、ボーントリマーの引き続きの使用と、購入したX線検査を続けることになる。