vol.736 食品工場のフードディフェンス(従事者不信にならないセキュリティ構築)-5 力量制によるアクセス管理

投稿日: 2014/03/07 4:01:44

ISO22000の6.2.2 力量、認識及び教育・訓練では「a) 食品安全に影響がある活動に従事する要員に必要な力量を明確にする。」とあり、作業(仕事)ごとに、その従事者がどの程度出来るか(力量があるか)を明確にすることで、安全な作業チームを作ることが出来る。例えば二段階にするとすれば、スライスとパッケージ作業では、指示されれば一人で指定された仕事が出来る(作業室全体のコントロールは出来ない)人は「△」で、指示されなくても(製造内容を見て)仕事が出来て指示もできる人「○」とする。作業シフトを組む時に力量が「○」の人が最低一人張り付いていないとその作業室は動かしてはならない、とすると、安定した作業が出来る。これが無いと無理して動かそうとして、不良品を出す確率が大きくなる。

この力量制を利用して、アクセス管理をするのだ。

作業者全員が工場内全ての作業室における力量を決めておく。力量が一つの作業室にしかない人はその作業室にしか入れない。多くの力量を持っている人は、その力量に当てはまる多くの作業室に入ることが出来る。

この力量の中でフードディフェンスに重要なところは殺菌や洗剤などの化学物質だ。

これらは、用途や扱いを間違えると危害になる可能性が出て来る。殺菌剤と洗剤を間違えることはあり得ないとは考えるが、可能性はある。希釈率の十倍と百倍を間違えれば危害になる。であるから、化学物質を保管してある部屋には、力量が「○」になっている人しか入れないようにする。

用途や希釈率を間違えないようにするには、用途によってキャップの形が違うシステムは、容器の形や色を変える、希釈率と色分けで大きく明示するなどの方法がある。

ISO22002の18.2アクセス管理では「施設の中の潜在的に注意を要する区域は、識別され、地図にし、及びアクセス管理しなければならない。実行可能な場合には、アクセスは鍵、電子カード・キー、又は他のシステムの使用によって物理的に制限されることが望ましい。」とある。

化学物質保管庫には4桁の番号キーを掛け、毎月番号を変えるといった対策を取ると間違いや不正入場は起こらない。