異物混入発生箇所を見つけた改善例

投稿日: 2013/04/05 2:31:11

「パレートの法則」というのがある。パレートというのは人の名前だが、この法則は俗に「8:2の法則」とも呼ばれている。

「製品の2割が、売り上げの8割を占める」「100人の営業マンが居たら、20人が売り上げの8割を売っている」といったものだ。

これが食品工場にも当てはまる。

「クレームの8割は、工場の2割の場所から発生している」となる。

さらに「異物混入の8割は、工場の2割から発生している」と言うことになる。

ある漬け物工場で、自分のところではこの法則はどうなっているかを調査した。製品クレームの異物混入の原因はどの工程にあるのかを調べた。

調べ方は、異物混入クレームになってしまったものと、工場内発見の両方で、その異物はどの工程で入ったのかを、徹底的に追求したのだ。

結果、大変なことが分かった。

「漬け込み工程」から、なんと9割が発生している。

「大変だ!」となったのだが、しかし「しめた!」と言うことでもある。

そう、この問題工程を徹底的に改善すれば、クレームの9割が無くなるかもしれないのだ。

現場に行って分析をした結果、いくつものことが重なっていることが分かった。

漬け込み工程というのは、大きな漬け込み槽に野菜をまず一段並べ、塩をかけ、そのあともう一段野菜を乗せ、塩、また一段野菜、塩、という具合に積み重ねて、最後に重しを乗せて漬け込む。

この時、作業者は、体を半分漬け込み槽の中に入れるので、上半身にある異物、毛髪、作業衣のゴミといったのが入る可能性がある。

この作業者のユニフォームはそのとき、普通の帽子(頭巾型では無い、ネットも無し)で、作業衣も襟の開いた羽織型)なので、十分に危険だ。

次に、漬け込み槽が古くなっており、端が欠けていたり、ささくれが出ていたりで、これがはがれて落ちる。その上この漬け込み槽を重ねてあるので、上の槽の外側と底にある異物が下の槽に落ちる。

次は、漬け込み槽を置いてある部屋の空調が古く、ゴミが飛び出している。

ここの照明が暗く、異物があっても発見しにくい。

これらが分かったので、対策が明確になった。

まず最も重要なことは、漬け込み工程の従事者がこの「9割」というのを認識することだ。下手に言うと叱ることになるので、言い方に気をつけ「この工程をしっかりすると、異物混入クレームの9割が無くなるかもしれない、やってみよう」とした。

その上で、帽子と作業衣を、とりあえずこの工程の作業者だけ高機能のものに切り替えた。

漬け込み槽は修理したり、新しくした。

漬け込み槽を積み重ねないようにした。

空調の吹き出し口にフィルターを付けた。

この場所の照明を明るくした。

これらの対策をした結果、3ヶ月ほどしたら、異物混入クレームが激減した。成功したのだ。