飲食店におけるHACCPの構築方法(柴田書店「月刊食堂」00/6月号より)

投稿日: 2013/05/10 1:34:34

HACCPは「もの」ではなく「方法」

HACCPと聞くと、「面倒くさい」「設備や機器にお金がかかる」「そんなスタッフがいない」「外食には関係なくメーカーの問題」と考えている人が多い、これは全て間違いだ。HACCPという言葉が日本で知られるようになったのは、96年のO-157の大発生以降だが、この頃「HACCPはいくらで買えるのか」「どういうもの(機械)なのか」といった質問も時々あった。衛生管理を行なうための設備と思っていた人が結構いたのである。しかし、HACCPは物ではなく、衛生管理を行なうための方法、手法である。

食品を扱ううえでの基本は「衛生」である、不衛生になれば食中毒になりやすくなるし、その手前でも鮮度が落ちておいしくなくなる。食中毒を店から出したら死活問題だが、おいしくなくても顧客は来店しなくなり、店の危機になる。衛生のために常識的に行なっていることは、清掃であり、消毒であった。HACCPはこの基本的方法を発展させたものである。どのようにきれいにするか、どうやって食中毒を防ぐかを、科学的に行なう方法なのである。

HACCPを行なうと、衛生的になり、提供するメニューが安全になり、鮮度も良くなるのでおいしくなる。安全になると同時においしくなるので売れるようになる、ということは儲かることにつながるのである。同時に構築の過程で、効率良く作業が出来るようになるので、スピードと効率化につながり、これも利益になっていくのだ。

日本で一般的にHACCPというのは、厚生省の制度を指していることが多い。厚生省がHACCPを食品産業の中に入れていくために、食品衛生法の中に「総合衛生管理製造過程」(以下マル総と表現)という形で取り入れたからだ。マル総は強制ではなく制度で、これを行なっているところに対して、厚生省はたしかにマル総を行なっているということを「承認」し、証明書を出す。これを持っていることは、食品衛生をしっかりと行なっていることになるから、その食品工場の大きな信用になり、企業の大きな利益になるのである。現在マル総の対象になっているのは、ハム・ソーセージなどの食肉加工品、魚介類の加工品、牛乳と乳製品、缶詰レトルト製品、そして清涼飲料水で、今後次第に増やしていき、最終的には全食品を対象にする構想である。

では、フードサービスでは関係ないかというとそうではない、厚生省の対象になっている製品はまだ一部だが、HACCPの対象は全食品と同時に、「リテイルHACCP」といって、小売りも対象である。さらに倉庫や物流などの「ロジスティクスのHACCP」もある。農場での生産農家のHACCPもある。要するに食品に関係するところは全てになるのだ。これを総称して「HACCPチェーン」といっている、「農場から食卓まで」の全ての過程でそれぞれのHACCPを行ない、それがチェーン(鎖)のようにつながって、総合的な食品の安全性が確保されるのである。

厚生省の対象になっていないところでもHACCPを自主的に導入し始めている、なぜかというと、HACCPを行なうことは安全性と品質が良くなることなので、信頼の象徴になり、企業力が上がるからである。最近になってHACCPを行なっていることは「取引基準」になりつつあり、すでに一部の大手フードサービスチェーンでは納入メーカーに対してHACCPの導入を義務づけているところもある。この流れは今後止まることはないし、ますます食品の仕事をする上での「標準」になっていくことは間違いない、そういった意味で「自主的に」導入している、「自主管理」という事になる。そして、自主管理でHACCPを行なうための標準としているのがマル総なのだ。

フードサービスはどの部分かというと、リテイルHACCPに入る。リテイルHACCPの対象は、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの小売業や、レストラン、総菜ショップ、バー、産業給食など、食事をする人の場所で営業をする全てのキッチン、売り場、客席が対象になる。

HACCPは土台となる一般的衛生管理がないと機能しない。フードサービスは、まず一般的衛生管理を行なう

マル総は大きな二つのもので成り立っている。土台となる一般的衛生管理とこれを行なったうえで構築するHACCP本体である。一般的衛生管理は、キッチンや人、環境をきれいにする、清潔にするために行なう。HACCP本体は一般的衛生管理で出来た衛生的な場所を土台として、さらにメニューそのものを安全にするために、メニューの調理過程でさらに安全にすることを行なう。

一般的に行われている衛生管理で「5S」というのがある。整理、整頓、清掃、清潔、躾(しつけ)である。整理は要らないものを捨てる、整頓は必要なものを置くべき場所に置く、清掃は掃除をする、気持ちも含めてクリーンに維持する清潔、これら一連の事を行なう感覚を作るのが躾になる。これを発展させたものが一般的衛生管理である。

一般的衛生管理はマル総では10項目で成り立っている。

  1. 施設設備の衛生管理:キッチン全体のサニテーション。

  2. 衛生教育:店舗スタッフへ食品衛生がいかに重要かを教える。

  3. 施設設備・機械器具の保持点検:ナイフを切れるようにしておく、調理機器が正確に動くように保守する

  4. ペストコントロール(そ族昆虫の防除):虫やネズミは病原菌を運ぶので、来ないようにする。

  5. 使用水の衛生管理:特に地下水を使っている場合には飲料水として適しているか定期的に検査をする。

  6. 排水および廃棄物の衛生管理:汚水やゴミの捨て方、生ゴミをいつまでもキッチン内に置いておくとバクテリアが増える。

  7. 個人衛生(従事者の衛生管理):手の洗い方、爪を切る、帽子をかぶる、怪我をした手で生食の調理をしないなど、スタッフ個人個人が気をつけることを徹底する。

  8. 原材料の受け入れ、食品等の衛生的取扱い:仕入れから保管、調理の過程のそれぞれについて気をつけることを決める。例えば冷蔵庫の温度、生肉とサラダ野菜を一緒にしないなど。

  9. 回収(リコールプログラム)(製品の回収プログラム):食品工場の場合、問題のある製品を早く回収する方法を決めておく。

  10. 製品等の試験検査に用いる機械器具の保守点検:調理温度計などが狂っていないかどうかを定期的に調べる。

これらをしっかりと行なうということになるのだが、ではしっかり行なうためにどうしたら良いかというと、それぞれに対して5つの項目を決めることになる。「作業内容」「頻度」「担当者」「確認」「記録」である。例えばキッチンの床の清掃ならば、まず作業内容は「キッチンの床清掃」、次の頻度は「毎日」となり、店が終了してキッチンの調理作業が終わってから決められた方法で行うことになる。次の担当者は、新入のスタッフにしてもいいし、曜日で交替にしてもいい。確認だが、一般的には目視での確認になる、但し掃除をした本人以外がやったほうがいい、店長だったり、シェフが行ったり、交替でやってもいい。そして記録は、キッチン全体の一般的衛生管理を全てチェックできるようにしたチェックリストを作ってそれに書き込んだりする。毎日1枚に記入するのも記録が増えて大変なので、店舗の厨房の場合は一週間分を1枚のチェックリストに記入できるような方法がいいだろう。このように「5S」との違いはこの5項目を行ない、記録までしておくことである。これによって確実にできるようになる。

一般的衛生管理の構築の中で「動線」と「ゾーニング」を行なう

動線は調理作業をする手順の流れに沿ってキッチンが出来ているかどうかである。豚カツであれば、肉を冷蔵庫からだし、まな板で切り身にして、衣を付け、揚げ、盛りつける、という工程になるが、この流れが一方通行になっているかどうかを見てみる。まっすぐ一直線である必要は無く、L字型でも、U字型でも良いが、逆行しないで流れていっていることが必要である。最初の工程と後の工程が交差しても問題が出る、例えば原料肉をカットしているまな板の上で揚げ上がった豚カツを盛りつけるのでは、調理前の肉のバクテリアが盛りつけたキャベツなどに付着して、食中毒の原因を作ることになってしまう。生で食べるキャベツの千切りを行なうのは、肉を扱うところと離しておかなければならない。という事は、肉と野菜を保管しておく場所は離しておかなければならないことになる、これがゾーニングである。

冷蔵庫のゾーニングでは、肉の保管庫と野菜の保管庫を別にしなければならない、肉にサルモネラ、病原性大腸菌などのバクテリアが付着していた場合、肉は豚カツで揚げてしまうのでバクテリアは死滅するのだが、サラダは生で食べるので、人間の口にそのまま入ってしまうからである。では、キッチンの冷蔵庫が一つしか無い場合にはどうするか、これが一般的な個店レストランの冷蔵庫の状況だが、この場合には冷蔵庫の中での置き場所を分ければいい、肉の置き場所と野菜類の置き場所を別々にすればいい。冷蔵庫に入ってから右側が肉の置き場所で左側に野菜類の置き場所といった形に分ければいい。ではもっと狭い冷蔵庫で棚が一つしか無い場合はどうするか、棚の上に野菜類、下に肉類を置けばいい、逆に置くと、上に置いた肉のドリップが下の野菜に落ちてしまうからである。野菜が上ならば問題は出ない。温度からいっても冷蔵庫の下の方に冷気が溜るのでこのほうがいい。

床に直接食材を置かない

床は汚染されているので、床の上に直接あるいはサンテナーに入れた食材でもそれを直接置くことは不衛生である。とはいっても狭いキッチンが一般的で余裕のあるところは少ない、では狭い中でどうしたら良いかだが、床からどれぐらいのところにおいたら良いかについては4つのレベルの考え方がある。最低レベルはキャスターを使う、次は20〜25センチ程度のところまで上げるのだが、キッチンテーブルの下の棚板を利用する。個の棚板は普通床ぎりぎりに付けてあるのが普通だが、そうするとこの下の床を清掃しにくくなり、汚れが溜ってしまう、このためにもう少し上げてブラシや水切りワイパーが入りやすい位置まで持っていくのだ、この高さが20〜25センチである。次が60センチぐらいのテーブルなりキャスターにダミーのサンテナーなどを乗せてその上に置く、60センチというのは厚生省のガイドラインで「床からの汚染水の飛沫が食品にかからない高さ」となっているからである。そして理想的にはカッティングテーブルや作業台の高さになる。

作業台の高さは壁の洗浄にもつながる。作業台の高さは「腰位置」ともいわれているが、これよりも下の部分の壁は毎日洗浄する必要がある、しかしこれよりも上の部分はそれほど洗浄をする必要は無い、毎月程度の頻度で良いだろう、1番高い天井や大型の調理機械の上の部分も同じだが、天井と照明器具の洗浄は半年に一度といった頻度でいい。洗浄というのはどれぐらい汚れるかによって頻度を決めることになる。徹底するために毎日天井部分まで洗浄するなどということが現実的でないし、やり過ぎである、HACCPを進めて行くと本社や管理職レベルでエスカレートしていくところがあるのだが、やり過ぎは禁物で、現場で出来なかったり、頻度が多すぎて帰って効率が悪くなる例もあるので、適度な内容にしていることが大切になる。

HACCPはどのように行なうのか

キッチンを衛生的にすることは、料理をする環境を良くすることである、これをしっかりと行なっただけでだいぶ安全な料理を作ることが出来るようになる。HACCPまで行なわず、一般的衛生管理だけを行なうだけで安全な店になっていくのである。ではHACCPはなぜするかというと、調理をする過程でさらに安全にすることを行なうのである。例えば豚カツで考えてみると、豚カツの調理工程は、原材料の受け入れから始まる。肉や副材料のキャベツを店に入れるときに、豚肉の鮮度は大丈夫か、キャベツは汚染されていないかを調べる。豚肉を仕入れる際には鮮度が落ちていないか、腐りかけてはいないかといったことを見ることによって、まず「危険な」原材料をキッチンに入れないようにするのである。これは豚肉の背脂肪の厚さや、重量といったものとは違う、脂肪厚や重量は「品質」であるが「安全性」とは違う。しかし、鮮度を見るときにこの2つも一緒に見ることが出来るので、結果的に安全性と品質の両方を良くすることが出来るようになるのである。

さて、一般的衛生管理を行なってから、今度はHACCP本体に行く。HACCPというのは「関所システム」というと分かりやすい。豚カツを調理するためには工程があり、その工程に沿ってどうしたら安全にできるかを構築していくことになる。豚カツの製造工程を簡単に書くと、受け入れ→保管→下処理(切り身にカット)→衣付け→フライ→盛りつけ→提供、という事になる。この工程のそれぞれでどのような危険なものがあるかをまず考える。今までの調理は経験的に行なってきたことを行なってきたのであるが、HACCPはまず工程に分けたうえで、それぞれの工程でどのような危険が事があるのか、まず「自分の行っていることの中で危険なことをあげてみる」事から始まる、まず疑うことから始まる点で今までの考え方とだいぶ違うのである。

それぞれの過程で考えられる危険なこと(危害)をあげてみよう

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受け入れ→鮮度定価や腐敗しかかった原材料の入荷

保管→冷蔵庫の温度が甘かったり、汚いことによる汚染

下処理(切り身にカット)→ナイフやまな板の汚染による細菌付着や異物の混入

衣付け→バッター液や卵の鮮度劣化などによる細菌の付着

フライ→油の劣化による危害や、加熱不足による半生調理の危害

盛りつけ→付け合わせ野菜の細菌汚染、異物混入、盛りつけ皿の細菌汚染

提供→提供者の手指や健康不良からの細菌汚染、異物混入

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といったことになる。代表的なことだけあげたのだが、細かくリストしていると実はかなりの数になることがわかるだろう、それだけ調理工程には危害が潜在しているのである。そしてこの後はそれをどうして防ぐかを考えることになるのだが、防ぐ方法は2つに分けることが出来る。一つは一般的衛生管理で、これはすでに行なってきた一般的衛生管理で防ぐことがかなり出来る、例えば冷蔵庫の温度管理やまな板、ナイフなどのサニテーションだ。もう一つがHACCPのCCPで、これは調理の工程で特別注意を要する場所に決めて、徹底的に注意するところだ、要するに「関所」である。この関所は数が多すぎるとかえって出来なくなるので、5ヶ所以内にするのが一般的である。しかし今年に入ってから「1っヶ所以上あってもいい」という表現に変わってきていて、ますます絞り込む傾向になってきた。フードサービスでは調理アイテムが多いので、1っヶ所程度に絞り込むのが良いだろう。

これが調理工程でどのように分けられるかを見てみると、

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受け入れ→温度の測定や目視、フレーバーを見るなどの受け入れの検査(一般的衛生管理)

保管→冷蔵庫の清掃や温度管理(一般的衛生管理)

下処理(切り身にカット)→まな板、包丁の衛生管理、付け合わせ野菜のカットを肉のカット場所と離す(一般的衛生管理)

衣付け→水、卵の鮮度管理。特に卵は日付管理を徹底し、使う直前に割る(一般的衛生管理)

フライ→フライ後の中心温度を75℃から85℃以内にする(ここがCCP、関所になる)75℃以下だと食中毒菌が生き残っている可能性があるので、これよりも上にしなければならない。しかし、85℃以上に揚げてしまったらジューシーでなくなっておいしくないので、売れなくなってしまう、この温度までで止めるのは味、品質で大切なことになる。この範囲の温度に仕上げることを関所で決めておくことは、安全性と品質の両方が出来ることになる。このことが安全な料理を作り、しかも売り上げを上げる元になるのである。

盛りつけ→皿の衛生管理、異物が入らないように作業衣とマスクをするなど(一般的衛生管理)

提供→提供者の手洗いなどの個人の衛生管理の徹底(一般的衛生管理)

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この中でCCP(関所)の部分だけ温度の数値を決めたが、一般的衛生管理の中でも冷蔵庫の温度や卵の日付の限界(何日以内の物を使う)を決めておき、それを守っているかどうかを作業に支障があまり無い範囲で記録を付けることが必要になる。記録は例えば一週間分の記録を1枚の用紙に入れられるようなチェックリストなどにするといい。

リテイルHACCPは3つのカテゴリーに分ける

このような手法で安全性を確保していくのだが、フードサービスで困るのは、メニューが多すぎることである。牛乳だけ製造している工場ならば集中して管理できるが、最低でも数十メニューもあるフードサービスの店舗現場ではそれぞれのメニューについてHACCPを行なうことは不可能だ。一般的衛生管理はキッチン全体の衛生管理だから出来るが、メニューごとにHACCPを行なうにはどうしたら良いか。この対応は「リテイルHACCP」の基本的考え方がある、それは、何十、何百、何千メニューあっても、全てを3つに分けてしまい、この3つについてのHACCPを行なうのである。3つというのは以下になる。

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1:加熱調理工程の無い食品加工(サラダ、冷たいデリカテッセンなど)

原材料受け入れ

保管

前処理 (CCP・関所:この工程か盛りつけ工程を特にクリーンな場所で行なう)

盛りつけ

保温

提供

2:加熱調理して、その日のうちに提供する食品加工(ステーキなどレストランなどでの暖かいメニューなど)

原材料受け入れ

保管

前処理

加熱調理(CCP・関所:調理後の温度測定)

保温

提供

3:複雑なプロセス(デリカテッセンで、陳列している弁当などを、電子レンジで温めて提供するものなど。あるいは、センターから運ばれてきた冷蔵スープを、店でケトルなどで暖めて提供するものなど)

原材料受け入れ

保管

前処理

加熱調理

冷却

再加熱(CCP・関所:温度測定)ここか次の「保温」

保温

提供

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このようにすると、例えば2番目のものに、豚カツ、唐揚げ、バーベキュー、照焼き、焼き鳥、シューマイ、その他調理加熱するメニューは全て入ってしまうことになる。温度の測定だが、調理の度に温度を測っていたら仕事にならない、そこで頻度の決め方が大切になる。例えば、ランチで最初に来たオーダーに対して温度測定をして、それで大丈夫ならば後の調理は測定せず行なう、最初に測定すれば、フライヤーやオーブンなどの具合が悪い場合に発見できる。次はディナータイムに入って最初のオーダーに対して行なう。これで1日に2回測定が出来ることになり、この程度ならば何とか出来るだろう。

また、キッチンのレイアウトを、この3つのカテゴリー、特に1.2.を考えて行なうと一般的衛生管理の中でもより安全にすることが出来る。

毎週一つ行なうだけで進歩していく、その方法

この3つに分ける方法でも、チェーンレストランで本部からのコントロールをする場合などは出来ないかもしれない。これにもいい方法がある。それは「今週のHACCP対象メニュー」を決め、一週間だけ実行させるのである。例えば今週は「鶏の唐揚げ」にして、一週間実施をする。その次の週になったら「和風サラダ」にするのである。和風サラダになったら、その前の週に行なっていた唐揚げはどうするのかというと、やらなくてもいい、のである。というのは、一週間行なうとある程度習慣が付き、その後もある程度のレベルで行えるようになるからである。唐揚げを行なう前には点数にしたら50点だったものが、一週間HACCPを行なったら90点になった、これがその次の週になったらまた50点まで落ちるかというとそうではなく実際には70点レベルで落ち着くようになるのである。このようにして毎週続けていけば、自然と安全性の高い料理提供になっていくことになるのである。

HACCPの結果、「売れて」「儲かる」ようになる

このようにHACCPを行なっていくことは、キッチン、従業員、ホールが「きれい」になることで、顧客からは「明るくてきれいなお店」になり、料理の安全性が高くなると同時に品質と安定性が上がるので、「いつ行っても安定したおいしさ」になる。さらに作業の動線とゾーニングを改善していくことは作業効率が良くなることにつながり、同じ時間と従業員でより多くのあるいはより質の高い仕事ができることになり、利益率も上がることになる。「売れて」「儲かる」ようになるのである。