色について

投稿日: 2013/05/02 3:07:20

白は汚れが目立つし明るくなる

以前、自動車メーカーのスズキの社長が下請け工場の巡回視察をした時、壁の色を白くしろと言っていたという。白なら照明が少なくても明るいからで、その頃は省エネ思想というよりも、電気代の節約目的だったが。

食品工場内は明るい方が作業しやすいだけでなく、異物混入の発見にも繋がる。

一般の建物だと、白は汚れが目立つので嫌がる場合もあるが、食品工場は汚れが目立つ方がよい。清掃洗浄の徹底につながるからだ。

食品工場では、壁も天井も白だと、明るく、衛生管理によいことになる。

では、ゾーニングごとに色分け、特に床の色を変える場合はどうなのだろうか。

心理面でゾーニングによって色が変ることは、認識、意識の点で効果がある。しかし、濃い色だと汚れが目立たないので、薄くする方がよい。ただ、塗り床で薄い色はあまり多くないようなのだ。最近は衛生管理の面から少しずつ薄い色に出来るようにはなって来ているようだが。

床の色は

では、床も白にしたらどうかだが、これは衛生管理と明るさの点で効果ある。

ただ、製造している食品の色も考えなければならない。食品の色と反対にして、食品が落ちたら目立つようにすることだ。例えば豆腐工場で床を白にしたら目立たなくなってしまう。

床を色分けにする場合何色にするかのガイドラインなどはない。自由に決めればいいが、心理面から信号機の色に合わせる所も多い。赤を汚染ゾーン、黄色を準清潔ゾーン、緑か青を清潔ゾーンとなるわけだ。もちろん出来るだけ薄くする。

体感温度から色分けする方法も効果がある。生鮮のパッケージなどの低温の作業室の場合、暖色、暖かい色を使うとそれほど寒く感じない。黄色、オレンジ、赤などを使うことになる。

フランスのパリ郊外にある大規模な卸売市場「ランジス」の食肉棟内の温度は10℃程度で、冷蔵庫内とたいした変わりはないが、床の色に暖色が使われているので、それほど寒く感じない。人やキャスターが通る所は赤、製品を展示している場所は黄色になっている。

反対に、加熱調理を行なう作業室は高温になるので、寒色系の、青、緑等を使う。

壁に帯を入れる方法

壁も床も白にして、ゾーニングの認識を色で表すには、壁に帯を入れる。腰位置から目線程度の高さに、15センチ程度の帯を書き込むだけで部屋ごとの印象はガラッと変わる。

この帯を洗浄の目安にすることは衛生管理にも役立たせることが出来る。この帯以下は毎日泡洗浄する、これより上の天井までは週1回の泡洗浄、という具合だ。

ビニールカーテンの色

防虫用ビニールカーテンの色だが、以前はオレンジとなっていたが、最近の調査によってオレンジよりも緑色の方に効果があることがわかった。オレンジ色は、夜は効果があるが、昼は逆に誘虫になってしまうということだ。緑色なら、昼も夜も効果があり、オレンジよりも効くという。

今オレンジ色を使っていたらわざわざ費用をかけて緑に替えることはないが、これからの設置や交換なら緑色にすることだ。

工場の外との接点ではなく、工場内部のゾーニングに使うビニールカーテンなら色を付ける必要はなく、透明の方がよい。見通しが効き、隣り合うゾーニング間のお互いの作業進行状況がよく見える。

手袋、まな板

作業用の手袋は、ほとんどの食品にない色である青を使うとよい。

手袋については、ISO22002に記述もあるが、ラテックスせいはアレルギーがあるので使わない方がよい。ニトリル製を使う。

まな板を色分けする場合、よく見かけるのは、肉に赤、野菜に緑を使っていたりするが、これは反対で、肉には反対色の青や緑、野菜にはやはり反対色の赤の方がよい。食材の反対色なので屑や汚れが目立つからだ。

まな板の全部に色が付いている場合には以上のようにするのがよいが、まな板の縁だけ目印に色が付いていて、まな板そのものは白の場合、心理的な面から、肉は赤か黄色、野菜は緑、魚介類は青、といった使い分けの方で効果があるかもしれない。

このまな板の色についての考え方は、包丁の柄についても同じだ。

作業衣と帽子

作業衣の色は衛生感がある白が汚れも目立つので一般的だが、薄いブルーやクリーム、黄色などを使うと、作業場所のイメージが明るく軟らかくなる効果もある。

ゴミがかなり出る工場では、ゴミを扱う従事者は全く別の色の作業衣を使う方法がある。例えば欧米のあるサーモンの加工工場では、骨、内臓、頭は飼料に回すレンダリングという工程になるが、このラインの作業者は濃いグリーンやブルーの作業衣にしている。工場内の機械設備のメンテナンス担当者も同じだ。日本のある蟹加工工場では、殻が大量に出るが、これを扱う従事者は濃い青の作業衣で、休憩室や食事場所も別になっている。

作業者が使う帽子やヘルメットの場合、作業のゾーニングによって変えることも効果がある。そのゾーニングの色にするのだ。

また、仕事の内容によって色付きの帽子やヘルメットを使う方法もある。

CCPの作業を担当する人、その作業場所のリーダー、あるいは工場全体の衛生管理や検査担当者など、特別な作業者だけが色付きの頭になると目立つ。工場内では皆が帽子とマスクで顔が分からないので、こうすると目視でどこにリーダーが居るかがわかったり、赤い頭は重要なCCPを担当している、とすぐに認識出来る。

色を効果的に使うことで作業環境をよくすることが出来