O-157対策 (登録2009/09)

投稿日: 2013/04/05 0:32:54

0-157の食中毒報道が相次いでいる。

チェーン店2件、イベントで1件、学校で1件と報道されている。

O-157の食中毒は、国内では井戸水、牛肉、牛レバー刺し、ハンバーグ、牛角切りステーキ、牛タタキ、ローストビーフ、シカ肉、サラダ、貝割れ大根、キャベツ、メロン、白菜漬 け、日本そば、シーフードソースなど。海外では、ハンバーガー、ローストビーフ、ミートパイ、アルファルファ、レタス、ホウレンソウ、アップルジュー スなど、多くの食品から感染している。

報道は一つの事件が起るとそれに集中してしまうので、急にO-157の食中毒が増えたように見えるが、実際には淡々と発生している。

腸管出血性大腸菌による食中毒の発生状況(厚生労働省のデータから)

O-157は牛からが多い

O-157は牛からが多い。牛の糞便から出ているが、牛の屠畜で、体表に付いている糞便や、解体時に枝肉表面に付着したりしたものが、肉について流通してしまう。

このため、衛生管理の行き届いたと畜場では、1頭を処理するごとに熱湯消毒したり、2本のナイフを交互に横の熱湯槽に入れたりしている。

牛の数%がO-157を持っているようだ

色々なデータを見てみると、牛の数%がO-157を持っているようだ。

かなり以前だが、米国のあるフィードロット(牛の集中生産場所)の調査だかで、冬場は牛の2%程度、夏場だと四十数パーセントの牛がO-157を持っていたという。夏場の牛は危ないようだ。

やはりだいぶ前、オーストラリアの牛肉加工工場で「O-157が無いというギャランティー」について聞いたら、明確に「不可能」と言っていた。

肉の内部に入ったO-157が問題

肉の表面についたO-157は、ステーキやバーベキューで焼けば、肉の中はレア(生焼け)でも、表面は十分に加熱されるので殺菌されるので問題は無い。

角切りステーキや、結着ステーキ等で、調理加熱不足によってO-157の食中毒になるのは、肉の内部にO-157が入っているからだ。

硬い肉を軟らかくする為に、テンダーライズと言って、細いサーベルのようなナイフを数十から大型の機械は数百本付いた道具を肉に刺し込み、スジを切る方法がある。

この方法は簡単に肉を軟らかくする良い方法だが、道具を良く洗浄して使わなければならない。

テンダーライザーの表面にO-157が付いていると、それを肉の中に刺し込むことになる。

一つの肉のブロックの表面にO-157がついていると、その肉をテンダーライズしたら、その後テンダーライズする肉すべてに、テンダーライザーについてしまったO-157を、次から次へと刺し込むことになる。

こうなると、その肉をステーキや角切りステーキにした場合、肉の中にO-157が入り込んでいる為、表面を焼いただけでは中のO-157は殺菌されないので、食中毒になってしまう。

結着ステーキも同じで、グラインド(ミンチ)にしてから圧力をかけて結着したり、スライスして、そのスライスを積み重ねて結着して作ったステーキや角切りステーキは、中にO-157が入り込んでしまう。スライスすれば、スライサーの刃がO-157に汚染されていれば、スライス肉にO-157がついてしまうからだ。

加工器具に付いたO-157が増殖し他の肉を汚染

テンダーライザーやスライサーにわずかのO-157が付着して、それがどうしてその後の多くの肉を汚染するのか、そんな大量にO-157が付いてしまうのか、と言った疑問があるかもしれないが、わずかなO-157が付着すれば、付着面には肉の脂肪がたっぷり付いている訳だから、O-157はどんどん増殖する。増殖する温度は6℃以上だが、一般的に加工場は20℃、低温でも15℃程度だから、十分増殖する条件は整っている。増殖し続けるO-157は次から次へとテンダーライズやスライスする肉を汚染し続けるのだ。

こういった肉は中心まで加熱(75℃)する必要がある。

O-157に汚染された水を飲んで埼玉県の幼稚園児二人が死亡したこともある。こういった水を使って野菜を水耕栽培すれば、その野菜がO-157に汚染されることになる。

米国でほうれん草でO-157食中毒が広範囲で起きたことがあるが、これはO-157を持ったイノシシが畑の中に入り込んだという推定もされている。

防止するには「フードチェーン」での衛生管理

防止するには、生産場所、加工場所、そして調理時、流通する各工程での衛生管理をすることだ。まさに「ファーム to テーブル」「フードチェーン」での衛生管理になる。