投稿日: 2013/04/05 0:44:37
0-157による食中毒は散発し続けている。
http://www.foodesign.net/O-157taisaku.html
ある比率の牛はO-157や今回の0-111を持っている
牛は二十年以上前からO-157や今回の0-111を持つようになってしまっている。
これは、BSEのように、経済環境面なのか、大腸菌の変異なのかなど、いろいろな意見があるが、原因はよくわかっていないようだ。
十年ほど前だったかの米国調査データを記憶しているのだが、冬場で数%、夏場だと四十数%の牛がO-157を持っていたという。
屠畜とカット作業で衛生管理をしなければならない
腸管出血性大腸菌は牛の腸管にあり、屠畜した時に、腸も含めた内臓は最初に除去され、枝肉とは別の生産ラインに回されるが、この時何らかの交差汚染(例えば腸にナイフで傷を付けて内部の一部が漏れ出る、牛の体表についた糞が屠畜前の洗浄で落ち切れずに残って肉に付着)で、腸管にあった菌が枝肉に付着する可能性がある。
このため、屠畜の際、一頭を処理したナイフは「83℃以上」という基準の熱湯槽に浸け、その前に浸けてあったもう一本のナイフに替えてから、次の枝肉を処理するようにする。これは、ある一頭の枝肉が汚染されていた場合、ナイフを交換しないと、その汚染があとから処理する肉にどんどん伝わっていってしまうからだ。
これをしても、わずかな確率で汚染された枝肉が出て来る可能性はある。
汚染された枝肉を、カット業者が今度はロースやバラといった、十数の部位に分けると、ナイフやまな板が汚染され、広がることになりかねない。
汚染されるのは肉の表面だけだが内部に挿し込まれることもある
この汚染された肉が流通しても、汚染されているのは肉の表面だけなので、内部は問題無い。ロースやヒレ(関西ではヘレ)といったステーキ用の高級部位だけでなく、全ての部位で、表面を加熱すれば殺菌されるので問題はない。「血のしたたる」レアのステーキでも、表面を炙っただけのタタキでも、表面は加熱されているので、全く問題はない。
しかし、スジを切るために、テンダーライザーという肉のスジ切り器や、ナイフの先でとんとんとスジを切ると、表面の汚染を内部に菌を挿し込むことになる。
肉を軟らかくするためにオイルに浸ける「マリネ」でも菌は内部に入り込むことがあり、2001年にマリネ処理をしたローストビーフで食中毒事故が起きている。
ユッケの調理はどうする
ユッケの場合、
表面のトリミングをする
専用のまな板とナイフを使う
という作業が必要になるのはこのためだ。
しかし、専用のまな板とナイフを使ってトリミングをしても、汚染された肉があった場合、そのナイフとまな板は汚染されるので、これを防ぐには、一つ一つのブロックを処理する毎に、ナイフとまな板を洗浄殺菌しなければならない。面倒な仕事になる。
表面を直火で焼いて殺菌出来る
もう一つの方法は、ブロック肉の表面をバーナーで焼くことで、これはタタキと同じことになる。
表面を直火で炙り、殺菌すれば、内部は問題無いので、これなら生食専用のまな板で、複数のブロックを処理しても大丈夫だ。
出来た皿に乗ったユッケは、よく見ると一部に焼けたあとが残ることになり、完全な生ではない。「そんなのユッケじゃない」と言うかもしれないが、これが安全にユッケを楽しむ方法だ。実際この方法で調理をしている店もある。
0-157の出現で生焼きのハンバーグは無くなってしまった
0-157が出現する前、30年前以前に米国のステーキレストランではグラインドビーフステーキというメニューがどこでもあった。牛のひき肉をそのまま固めた、いわば牛肉100%のハンバーグだ。これを注文する時にサービスは「焼き方は?」と聞くので、私はいつもミミディアムレアと頼んでいた。しかし、0-157が出現してから、これは無くなった。ひき肉にするのだから、円板状に固めたハンバーグの内部に0-157が入っている可能性があるからだ。
半生のジューシーなグラウンドビーフステーキは無くなり、全てがウエルダンのよく焼きになってしまった。ウエルダンとは、中心が75℃以上となる。
しかし、生焼きのハンバーグを食べる方法はある。ひき肉にする前のブロック肉の表面を直火で炙り、それをきれいなひき肉器に入れて挽くか、殺菌をした専用のナイフとまな板でみじん切りをすればいい。この方法で提供しているレストランもあると聞く。
では、ユッケはどう安全に調理するか
ユッケを安全に楽しむためには、
衛生管理が行き届いた屠畜場
衛生管理が行き届いたカット場(カット業者)
衛生管理が行き届いた店
表面を炙るタタキ式表面殺菌したユッケ
ということになる。
判断の基準はHACCPあるいはISO22000
衛生管理しているかどうかの判断は、専門家が監査しなくては分からないが、外からの判断基準になるのは「HACCP」あるいは国際規格「ISO22000」を導入しているかだ。
ユッケの本場韓国では、全ての食肉処理場や加工場が最新の「HACCP」(ハサップ=危険度分析に基づく重点衛生管理)の手法を取り入れた解体や保管の手順を義務付けられている。
HACCPを導入しているかどうかは、その組織なり会社なりのホームページにアクセスすれば大体分かる。