ガラス片、プラスチック片の混入対策

投稿日: 2013/05/05 4:06:59

先日フライ製品の回収があった。

記事によると「フライヤーの上に取り付けた10センチメートル角の照明設備内側のガラスカバーが半分ほど破損していて落下した」というもの。

これとは別の事故でも、製造機械の計器を保護しているガラスカバーが割れて混入、というものもあった。

11月の初めから3週目までの間、新聞の社会面の食品回収や代金返還などの広告の約半数は賞味期限誤記などのラベル印字間違いであった。つまり製品に問題が無いにも係わらず、表示ミスによる回収だ。

それ以外では異物混入が多く、その中ではガラスとプラスチック片の混入が最も多い。

電灯本体ではなく関連設備の危険性

ISO22002の6.6 照明の項では「照明設備は破損の際に、材料、製品、又は装置を汚染しないことを確実にするため、保護されていなければならない」とある。

審査や工場チェックなどで、照明の非破散対応に対して、天井に取り付けた照明は、何かをぶつけでもしない限り割れないのに、うるさい指摘をされるようになってきた、と考えている工場は、口には出さないまでも多いようだ。

しかし、たった3週間の広告でこれだけの異物混入事故を目にし、広報されていない事故も含めると相当な数になるだろう。

ガラスやプラスチックは毛髪や虫と違ってケガをするから、細心の注意を払わなくてはならない。

さて、ある工場の電球を外してみたところ、電球を点灯している時には見えにくいのだが、反射板を取り付けているネジが2本とも緩んでいて、一本は落下寸前であった。反射板の周囲の塗装は剥がれている途中で、小さい破片は着々と落下して行くだろう。白い反射板の表面塗装も一部が浮いてきていて、これもそのうち剥がれ落ちるだろう。

別の照明も見たらこれはひどいもので、反射板の塗料の一部は既に落ちている。

食品工場は、かなりの数の照明がある。その周辺は高温や低温といった過酷な環境、更にミストとなって飛び広がる油や蒸気、機械の振動……。大変な環境にあるのだから、電球や蛍光灯の破損は無くとも、かなり危険な状態にある。

対策

食品がむき出しになっている場所の総点検:

原材料保管庫から、下処理、組み立て、調理、そしてパッケージが終了するまで、一連の製造工程で食品がむき出しになっている場所の上と周囲を集中して点検する。

これを行なう時、電球を外してその裏側まで見てみる。プラスチックや塗装などの劣化による破損や落下、目線より上にあって見えにくい機械装置の天井(振動で異物が移動して端から落下する)、装置の計器カバーや保護ガラス、棚柵の劣化、測定器の劣化や傷……

危険が発見されたら、それを無くすことが出来ないか、出来なければ安全なものに替えられないか(例えばガラスから軟式樹脂に)、保護出来ないか(例えば照明破損防止フィルムを貼る)

原材料のプラスチック、ビニールパックの扱い:

これらが混入しない対策をする。調味料や野菜が入ったビニール袋片が入る事故は多い。ある工場では、ハサミで端を切り落とさずに3センチほど残して中身を出し、ゴミ袋に入れる時その端が付いているかを確認して捨てるようにしている。また、透明でない袋に替えられるなら替えてもらう。数種類以上の調味香辛料を使っている場合、主要な製品レシピについてミックスした袋入りにしてもらえば、危険は数分の一になるし、計量の手間が無くなることでミス防止と作業のコストダウンにつながる。

電球はLEDに替える:

LED照明の価格は大分こなれてきた。前述の傷んだ照明設備をLEDに替えた所、これなら照度はかなりあるし、照明本体と周辺からの落下は全く問題が無く、埃の付着も無い状態になった。(写真)

ある中型工場ではFSSC22000認証に向けての活動を始めており、その中で照明の破損保護対策になった。現在の照明は一般の蛍光灯なのだが、一本が切れたので試しにLED型に替えてみた。業者が持って来た一本は単に付け替えるだけのタイプなので、工事費不要。ガラス管では無く、軟らかめの樹脂管なので、飛散の危険は無い。取り付けたところ、照度たっぷりで、蛍光灯と替えた為の違和感は全くなく、おまけに低誘虫。

コストは以前と違ってちょっと高い程度だが、本数が多いことだ。しかし、ISOの考え方の基本は目的を決めて改善をして行くこと。そこで、一気に替えず、数本を購入し、切れたり暗くなったら取り替えて行くようにした。この工場の天井はそう高くなく、脚立で取り替えられるので、順次交換して行けば、2年ほどで全部入れ替えられるだろう。その間、更に低価格になって行くだろう。LEDは電気代が1/5程度になるし、15年ほど持つ。

天井が高くて業者でないと交換出来ない場合は、作業室ごとに順次替えるなどの対策をとれば段階的費用の発生ですむ。また、リースで対応も出来る。自治体によっては補助金もあるので問い合わせてみると良い。