安全対策キャンペーン
投稿日: 2013/04/26 1:57:24
交通安全週間には、交通事故は減るという。それならいつも交通安全週間をやっていればよいではないかとなるが、それなら「安全週間」にならない。現実は、時々強化する期間を設けて「安全週間」を行なっているわけだ。特に期間を設けるから、効果が上がる。安全対策、異物混入対策は、常に行なっていなければならないものなのだが、活動内容は、リアルで具体的な方が鋭く効果がある。
「ミキサーの上の清掃」強化週間 毎月第1週
ケーキなどの洋菓子を作っているメーカーでは、毎月第1週を安全対策強化週にしている。
毎週テーマを決めて強化対策を行ないたいところだが、以前これを行なったら、毎週やっているとマンネリになってしまって、集中して対策をするという緊張感が無くなってしまった。そこで「いつもやっているからマンネリになる」のだから「時々交通安全週間みたいにやれば、緊張するのではないか?」ということになった。
ある月は「ミキサーの上の清掃」だった。
ケーキ工場では、小麦粉、牛乳、砂糖、着色剤などの添加物、といった原材料をミックスするミキサーが多い。
HACCPチームは毎月「安全パトロール」をするが、あるときミキサーの上、ローターを動かしているモーターが入っているボックスの上にゴミと埃が溜まっているのを発見した。この状態だと、その下のボウル型コンテナーでミキシングしている食材の中に落下する。実際にケーキの中にゴミが入っていたというクレームがある。こういったところから入るのだと判断した。
そこで工場内にある全てのミキサーの状態を調べてみたら、ある程度のミキサーの上はかなり汚れていた。油が黒くしみ出て、そこにゴミがこびり付いているのまであった。
そこで来月の強化内容が「ミキサーの上の清掃」と決定した。
第1週の月曜日の朝、「ミキサーの上の清掃」の強化策が発表された。どうしてこの強化策を行なうかが朝一番の朝礼で説明される。
ミキサーの全体写真がプロジェクターで投影される。下にボウル型のコンテナがあり、その上から撹拌するローターが入っている、その上にモーターボックス。
従事者はそれが工場内のあちこちで使われているミキサーとわかる。
「このコンテナの上はオープン状態です、ローターで撹拌していますから」
当たり前だ、いつも見ている。
「ところで、この上のモーター部分ですが」
モーターボックスの上の写真に切り替わる。接写したのを大きくスクリーンに映し出すと、ゴミが拡大され、リアルな映像になる。ゴミだらけだ!
スクリーンは最初の写真に戻る。ミキシングコンテナの上に、ゴミだらけのモータボックスがある。
「あのゴミは、ここに乗っかっています。ミキサーは振動します。ゴミが落下します」
全員に恐怖感が走る。これではいけない!
「今週は、作業開始する前に、ミキシングコンテナを外した状態で、上のゴミをきれいに清掃してふき掃除をしましょう」
一週間強化をしていると、コンテナ以外の機器の上も清掃するようになった。この習慣は強化後も続いていった。
コンベアの清掃強化 隔月ごとの強化
ある弁当やサンドイッチを製造する工場では、かなりのコンベアラインがある。
HACCPの構築活動を始めてからしばらくして、工場内の汚染状況を調べるために、スタンプ検査を工場全体でやってみたところ、コンベアの汚れがかなりひどいことがわかった。これでは大変なことになってしまう。でも、実態がわかってよかった。
清掃の実態はどうかと調べたら、コンベアを動かしながら、表面を布巾で拭いているだけだった。裏側はやっていない!
旧式のコンベアだと裏側の清掃がそのままでは出来ないタイプが多い。分解すればいいのだが、分解しにくいので、どうしても表面だけの清掃になってしまう。それも布巾で拭くだけだったわけだ。
ではどうしたらいいかとなったのだが、この工場ではHACCP活動を始めてからしばらくして床の清掃のために泡洗浄の機器を入れた。これを活用しよう。
まず、コンベアだけもう一度スタンプ検査をした。コンベア全ての検査をしていなかったのと、事前事後の効果検証をするためだ。
そして、「コンベア洗浄」を1ヶ月間の強化検証月間にした。
まず、床の泡洗浄をする日に合わせて、1回泡洗浄をしてみた。
コンベアを動かしながら、泡を吹きつけていく。コンベア全体が泡だらけになってから30分ぐらい放置し、汚れが浮き出るのを待つ。そのあとブラシを使って洗浄し、水で流した。これなら裏側まで洗浄できる。見違えるようにきれいになった。今まで良く事故が起きなかったもんだ。
1週間、一つのコンベアラインだけ、毎日スタンプ検査をしてみた。これは、毎日やらなければならないか、それとも週に2〜3回程度でいいのかの検証のためだ。というのは、作業に結構時間がかかるため、出来れば少ないほうが良いと考えたからだ。
結果、当然のように、洗浄後は次第に汚れていった。やはり週一回では駄目だ、甘かった。結局毎週3回泡洗浄をすることになった。
その後、コンベア清掃強化月間の残り3週間で、使用するブラシ、泡の吹付量と時間、吹き付け後の放置時間、水洗いの時間と方法(洗車用のノズルを購入して、ノズルのパターンのどれをどれだけ使うか)、などを、スタンプ検査を重ねながら最良の方法にしていき、さらに乾燥のための扇風機の購入もした。最終的にこれをマニュアルにした。
効果は抜群のものがあった。そこで、翌月、パトロールをし、次の強化ターゲットを決めることになった。強化ターゲットを決める月と、それを実施する月と、隔月に衛生安全対策を進めることになった。