1054号 微生物制御の実際:ソース入りハンバーグの例で-12 ハンバーグとソースの加熱後の冷却問題

投稿日: 2020/10/09 2:26:45

工程13はハンバーグの冷却だが、ここがある意味でCCPよりも重要で、細菌汚染の大きな危険がある工程になる。

(09)

まずは冷却するためのセットだが、バットや鉄板、あるいは網などに乗せるが、それが汚染されていたら、せっかく加熱殺菌したハンバーグを汚染してしまうことになる。

この冷却パンだが、ステンレスや鉄板などの金属だと冷却能力が高まる。家庭で冷凍するとき、食材をアルミ箔でしっかり包んで入れると早く凍るので、これがコツだと主婦向けの解説で時々書いてあるのを見かけるが、これと同じ方法だ。

冷却パンは専用にして、清浄な状態に洗浄できる手順を拭き取り検査で確かめ、その手順通りに洗浄した記録を残すなど、慎重に扱う必要がある。

冷却は急速冷却が基本で、これは真空冷却やブラストチラーで行うとよいのだが、小型の工場で設備が整えられない場合、普通の冷蔵庫での冷却になることもある。

この場合、ただ単に冷蔵庫に入れるのではなく、入れる前に扇風機で予冷し、冷蔵庫の負担を少なくする。

予冷する場所にも注意が必要だ。きれいでない環境で汚染してしまわないように、その場所の清掃を特に慎重に行う。

冷却庫に入れる状態は、予冷した時の状態のまま素早く入れられるようにする。ここで積み替えなどの作業が入ると、そこでまた汚染してしまうからだ。

冷却庫内もきれいな状態にして置かなければならない。庫内は冷えているから大丈夫だと考えても、そうではない。低温でも細菌は増殖しないだけで、存在はするのだから、汚染されてしまう。

工程14のソースの冷却も同じ注意が必要だ。

この工程13,14は、ISO22000におけるOPRPにもできる重要な工程で、加熱後の冷却工程でいかに汚染を防御するか、そして増殖を抑えるかになる。ここで細菌汚染されると、このあとの殺菌の工程はないまま出荷になってしまう。