機器の校正

ある食肉のパック工場では、ブロック肉をスライスしてパッケージするまでの間に肉の温度が上がると、変色とドリップの問題が発生するので、作業室温度の14℃、パッケージする直前の肉の表面温度を6℃以下、といった温度を重要な温度として運営している。

この工場では数本の温度計を使っているのだが、ISO22000の活動を始めてしばらくして温度計の校正確認をどのようにするか考えたが、とり合えず3本の温度計を並べて一緒にスイッチを入れたら、2本が16℃で、もう1本が12℃だった。

14℃の温度計が狂っていることがわかったが、ごくわずかな確率で16℃の2本の方が狂っていることも考えられるので、別の1本を持って来てみたら、16℃だったので、やはり14℃のが狂っていると確認した。

 

マーフィーの法則の一つで問題が発生する

ある人がドライブにでたら、スピード違反で捕まった。がっかりしたが続けて走り、目的地に着いたら混んでいて道路端に停めておいたら駐車違反のラベルが貼られていた。腹立って帰ろうとUターンしたらUターン違反で捕まった。

悪い時には悪いことが重なる、というマーフィーの法則の一つだが、食品危害の発生も同じだ。前述した温度計の2度の狂いでは、この測定温度の対象が72℃以上といった高温なら誤差の率は低くなるが、低温の状態では大きな差になる。

食品製造における測定装置は、温度、pH、ブリックス、重量、塩度、塩素濃度など多岐にわたる。それぞれが重要な工程や過程の測定確認なので、誤差があると不良品の発生に直接繋がる。

それぞれの測定数値間の直接の関係はほとんどない。例えば塩度が2%と9%の違いがあっても、それと測定温度4℃以下と10℃以下との関係は全く無い。その為、数種類の測定を行なっていても、その一つが狂っているだけで、不良の発生につながってしまう。


確認は頻度と使用前 

ISO22000の、8.3 モニタリング及び測定の管理 のa)には「定められた間隔または使用前に、国際または国家計量標準にトレース可能な計量標準に照らして、校正または検証すること。そのような標準が存在しない場合には、校正または検証に用いた基準を記録すること。」とある。

温度計の校正確認は、一般的には毎月が多いが、適正な頻度を決めて行なう。しかし例えば金属探知機やX線検査機は、毎日使用前にテストピースを流して正常に動くかを確認する必要がある。複雑な機械なので、昼休みのあとも確認する必要がある。検査対象が替わる度に微調整が必要になる場合も、その都度確認する必要がある。


 0PRPCCP関連を特に慎重に

測定器の中で、0PRPCCPに関する工程に使用するものは特に慎重にする。当然だがこの工程の測定が狂っていると危害発生に直接繋がるからだ。

頻度を多くする、力量のある担当者に限定する、マニュアルを毎年見直すなどの対応を考える。

この為、数多い測定器についてのプログラムを作成する。頻度、使用前、使用中、中には使用後があるかもしれない。これらを表にする。

 

温度計の校正

温度計の校正は何処の工場でも最低必要なものだが、費用がかかるものもあるのと、製品の性格や規模に応じても柔軟に対応する必要がある。3段階ほどのレベルの方法について説明する。

1.標準温度計を使う

ISO22000の要求事項「国際または国家計量標準にトレース可能な計量標準に照らして」に対応させる為には、標準温度計が必要になる。

標準温度計はもちろん正確なものでなくてはならない。

その為の組織機関に「JCSS(Japan alibration ervice System)<http://www.jcsslabo.or.jp/>という、国際標準化機構及び国際電気標準会議が定めた校正機関に関する基準(ISO/IEC 17025)の要求事項に適合しているかどうか審査を行い、校正事業者を登録する制度がある。

正確な標準温度計を工場内に保持する為には、この機関に登録しているところが出している標準温度計を使ったり、工場の温度計を年に一度などの頻度を決めてメーカーあるいは校正機関に出す必要がある。

標準温度計も各種あり、価格も様々、また校正そのものの方法と価格も含めて調べるにはウエブサイトで「標準温度計 校正 価格」で検索すると複数の業者組織が出て来る。

工場内で温度計を数多く使っている工場では、新品を標準温度計にする方法もある。

新品の温度計は当然校正されており、1年間の保証が付いている。そこで、毎年1本の温度計を購入してそれを1年間標準温度計として使う。

多くの温度計を使っていれば、壊れたりして使えなくなるのが出て来たり、同じ製造をしていてもハザード分析を進化させて行くとより多くの温度計が必要になってくる。そこで、1年間使った標準温度計を現場に下ろして、標準温度計として使う新品をまた1本購入するのだ。

デジタル式の温度計は今では1万円程度で買えるが、これをメーカーに出して校正してもらうと数万円かかってしまう。それならば毎年1本を購入した方が安上がりだし、簡単だ。

 

2.沸騰水と氷水を使う

水を沸騰させれば100℃、氷をしっかり入れた水なら0℃。これどちらかあるいは出来れば両方で確認すればいい。

3.複数の温度計を比較する

最初に述べた3本の温度計を比較する例で、この場合最低3本が必要になる。2本で温度が違うとどちらが正しいか(あるいは両方が間違えているか)わからないが、3本ならほぼ大丈夫だろう。更に4本以上なら確率的にほとんど問題無いだろう。

「校正」という言葉は「計器・測定装置の目盛と標準となる計器・測定装置の目盛との差を測定」<http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%A1%E6%AD%A3>ということになるので、この複数の温度計を比較するのは正確には校正とは言えないので、文言を正確に使うのだったら「精度確認」という言葉を使えばいい。

また、標準温度計を使っての校正の方法は最もレベルが高いのだが、その標準温度計が非常にわずかな確率や事故で狂うことも考えられなくはない。この対策として複数の温度計を比較する方法を併用すれば、問題発生の確率はほとんどゼロになる。

細菌検査機の校正(あるいは動作確認)

細菌迅速検査機が各種出て来ている。

これは培地を使って培養し、カウンターで数えて数を調べる方法に比べて、機械的に行なえるのと、データがデジタルで出て来たり、そのデータをパソコンで管理して変化の傾向を簡単に見ることが出来るので大変便利だ。

この迅速検査機の校正は、その機器によって違うので、メーカーのマニュアルに従うか、メーカーに問い合わせること。そしてその校正あるいは作動確認方法を標準作業手順書にし、担当者を決めておくこと。

ある迅速検査機の場合、校正ではなく、正常に作動しなければデータが出てこない、という単純なものになっており、これならデータが出なくなるまで正確、ということになる。


細菌検査の精度管理

培地を使った培養による細菌の内部検査などは担当者の技量によって差が出てくる。

個人のスキルによって誤差が出るわけで、この誤差がかなりあるのを知らずに内部検査を続けているとハザード発生への確率も高くなる。

これを防ぐ為には、

1.外部検査に頻度を決めて出す

毎日検査をしているならば、例えば四半期に1回、内部検査と同じ検体を複数、公的機関などの外部機関に出し、内部検査のデータと比較する。

いわば、内部検査の精度を外部に検証してもらうわけだ。

2.スキルアッププログラム

細菌検査の個人スキルをアップする為のプログラムがいろいろある。

セミナー、実習といった一般的なものから、サンプルをスキルアップ対象者に検査してもらってそれを機関に送り、その差を見る、というのもある。

ウエブサイトで「細菌検査 精度管理」と検索するといろいろ出て来る。

サブページ (1): CCP温度記録フォーム
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