1.斜面施工はぜひ名人に
床の斜面施工は、排水機能との関係で、重要だ。傾斜を付けても、途中凹があれば、そこに水が溜まってしまい、乾燥しにくくなる。水が溜まってしまうようなら、洗浄後、ワイパーを使用しなければならない。ワイパーを使用しないで水が溜まったままいつも放置しておくと、湿度が下がらない。湿度が下がらないとカビの増殖につながってしまう。湿度とカビの増殖の関係は、理想的には湿度43%以下に、毎日3時間以上キープすればよい。少なくとも60%以下にはしたい。
傾斜は少ない方がよいが、あまり少ないと施工が難しい。1/50程度の傾斜なら、そう難しくないようだが、傾斜がきつく、製造作業がやりにくくなる。1/100になれば違和感なく製造が出来るが、施工が難しいようだ。一般的には1/75程度が可能が範囲で良いようだ。
ある工場で、床の施工について「重要なので、ぜひ技術のある人を」という注文をしたら、どういうわけか沖縄出身の人に名人が多いという。その人にわざわざ来てやってもらったところ、照準器を持ってきて慎重に行なっていたという。
終了後洗浄作業を行なったところ、正確に出来ていて、試しに終了後放っておいたら、短時間にきれいに排水された。おかげで水切りワイパーは不要になった。これにより作業時間の短縮とコストダウンができた。
2.製造内容による性能選別
熱湯や加熱された油、オーブンや釜がある作業室では耐熱機能のある床材でなければならない。下処理室では水を多く使うが、耐熱機能は必要無い。倉庫は水を使わないから耐水機能はそれほど必要ない。月に1回洗浄作業をする程度の耐水で良い。塩を多用したり、塩水が床に流れる製造場所もある。
これらそれぞれの状態にあった床材を部屋ごとに選択すると、耐熱対応の床材は高いが、軽い包材などを入れる倉庫は安くすむ。一つの工場内で、その作業に応じたレベルの床材を選定して組み合わせると、コストダウンかつ耐久性のある床が工場全体で出来上がる。
あるパンの製造工場は、自動生産機器を多用して、製造量の割に人員は少なくて住む設計をした。そのため、ほとんどの床は従事者がスニーカーで歩く程度の強度で良いので、低価格の床材にした。しかし、パンのドウを練って、これを自動機械に入れるラインのところは、かなりの重量のキャスターが常に行き来する。そこでこの部分だけ最も高価なステンレス床材にした。この場合一番注意したのは、ステンレス床と普通の床の境目の施工だった。
別のパンの自動化が進んだ工場は、全てをステンレス床にした。これは、この工場を数十年単位で使う思想で設計したためだ。コストは高いが強固な床にして、半永久的まで持たせたいということだ。
3.何色を使うか
床の色をどうするか質問が多い。
まず、ゾーニングを分かりやすくするという目的だ。
ゾーニングは、一般、準清潔、清潔ゾーンに分かれるが、これに対応する色によく使われるのは信号に合わせることだ。一般ゾーンは赤、準清潔ゾーンが黄色、清潔ゾーンが青、というようにしているところが多い。
次に、色による心理効果だ。
赤、黄色、オレンジなどの暖色は、人に暖かい印象を与える。同じ温度でも温かく感じるのだ。そこで、生鮮のパッケージ作業など、低温の作業室には、暖色系を使うと作業者が心理的に楽になる。逆に、加熱作業室などの温度が高くなるところでは、青色を使うと、涼しく感じる。
そして、扱っている食品の色との関係だ。
これは、食品の色の反対色を使うと、汚れが見えて良い。逆の同系色を使うと、汚れや小さい破片が落ちていても目立たないので、清掃が徹底出来ない面も出てくる。
例えば、野菜を扱っている工場でグリーンの床にしたら、野菜の小さな破片が落ちていても目立たないので、汚れの認識が少なくなる。牛肉を扱っているところでは、赤や白の床でない方が良い。白がダメというのは、脂肪が白いからだ。豆腐工場は白でない方が良い。
どの色を使う場合にも、色は薄い方が良い。濃いよりも薄い方が汚れが目立つからだ。
4.排水溝と床のクラック
排水溝がその作業室の実態に合っているかを検討してみる。一般的によくあるのは、そんなに排水溝は必要ないのでは、ということがある。
排水溝が作業場の真ん中にいくつも走っていると、移動作業がやりにくいだけでなく、排水溝と床との間が多くなる。そして接合部分から床のクラックが始まるのだ。いったん出始めたクラックは、そこから徐々にスピードを上げて拡大して行く。
ある工場では、大きな溝式の一般的な排水溝を無くし、排水マス部分だけにしてしまった。これで十分排水機能があると判断したからだ。おかげで作業はやりやすくなったし、洗浄も楽になった。
同時に、幅木部分もクラックが無いように仕上げる。幅木のパーツは、中が空洞になっていると、つなぎ目のわずかな隙間から汚染されたり虫が入ることがある。軟らかかったり弱いと、割れたり塗りがはげたりしてこれもクラックの元になってしまう。
5.排水溝は浅いU字溝に出来れば清掃が便利
排水溝は蓋があると清掃に手間がかかる。浅いU字溝に出来れば清掃が楽だ。壁際だったら蓋は要らない。中央の場合、キャスターや人が通るところだけ蓋を乗せ、後は開けておくと良い。この方式、次第に増えてきている。

6.排水溝の下から奥まで一緒に改修
床の改修と一緒に、排水溝の中から、外につながる方まで改修してしまうと良い。傷つき、古くなった排水溝は、汚れが溜まりやすくなっている。ここを塗ってツルツルにしたら、汚水が引っかからずにきれいに流れ出る。臭いの問題もなくなる。