「ウチの工場は老朽化しているので、HACCPは出来ないと思っていた」とか「あなたの工場は古いし、導線とゾーニングも出来ていないから、HACCPは出来ないといわれた」ということをいまだによく聞く。
先日聞いたとんでもない話は「HACCPは箱ものだから、あなたの工場では出来ない」と、魚介類加工工場の社長にISOの審査組織の人が言った。「だからISO9001をやりなさい」と、結局9001取得の営業になった。
「HACCPは箱もの」というのは、施設設備が衛生管理対応にしっかりできていなければHACCPは出来ない。ハード面で出来ていなければHACCPは出来ない、ということを言っているのだが、これは全く間違いで、こんな間違いを、プロである人が言っているのだから、困ったことだ。これに近い話や質問は相変わらず時々耳にする。
HACCPは施設設備といったハード的な「モノ」ではなく、方法、工夫で行う。
老朽化した工場でHACCPは出来ないというのは間違いだ。工場が古い新しいに関係なく、HACCPは出来る。
HACCPは、食品に内在する(するかもしれない)食中毒などの危害を除去する方法だ。
食中毒菌が入っている場合、それを殺菌して安全にする場所が無いか検討をする。製造の初期、例えば下処理で食中毒菌が入ったとしても、ここでは殺菌が出来ない。どこか途中の行程で殺菌が出来たとしても、そのあとでまた菌が入ってしまう可能性があるので、最も最終で殺菌するのが一番いい。それなら、加熱殺菌をする食品の場合、そこで75度C以上に加熱すれば殺菌が出来る。その場所が分かったら、そこをCCPにして、確実にできる調理方法にし、そうなっているかを確認するために測定をする。これで食品から危害を「除去」できる。
HACCPは、食品から危害を除去できる場所を探して見つけ、それを実施し、効果があったことを測定して確認する「方法」だ。
この方法、考え方に置いて、工場の老朽化や導線ゾーニングは、理想通りで来ていなくても出来る。特に古い工場では増設や変更でハード的にうまく行かなくなっているところが多い。導線とゾーニングを最初から考えて造っている工場は、古い工場ではなかなか無いものだ。そういう工場でも、また、衛生管理を考えた最新の工場でも、CCPの場所を見つけ、その安全管理を実施し、効果を確認する、という方法は同じだ。
だから、工場が古くても新しくても、HACCPは出来る。HACCPはハードではなく、ソフト、方法だからだ。
HACCPを行うのは、CCPを見つけること(考える、危害分析をする)、実施すること(例えばオーブンで加熱を確実に行う調理方法にする)、効果を確認すること(温度計で計測をする方法)で。すべてが「方法」だ。「箱もの」ではない。
著作:株式会社 フーズデザイン 加藤光夫