構築手順

提案構築手順(現場のISO22000)から



ISOとは

日本で作った機械を、例えば米国に輸出して、しばらく使っていたら、ボルトが欠落してしまったとする。ボルト一本だから、工具店などに行って買ってくればいい、簡単だ。
しかし、もしボルトのねじ山の規格が、各国で勝手にやっていたら、こうはいかない。そのボルトを日本から取り寄せなければならない。
この問題を解決しているのがISOだ。
国際的な統一規格を決めているおかげで、グローバルな交易が出来ている。日本国内ではこれをJIS、日本工業規格として普及している。
カメラを持っていて、夜景を取ろうと思ったとき、シャッタースピードが遅いから、ブレないようにするため三脚が必要だ。三脚が無いとき、もし雨傘を持っていたら、先端を外して、そのネジ穴にカメラを取り付けることが出来る。同じ規格だからだ。傘が臨時の一脚になる。
では、ほとんど全てISOの規格で世界は成り立っているかというとそうではない。
長さ、重量の規格では、メートル法が世界的な標準だ。1メートルという長さを決める前は、国別どころか、同じ国の、同じ都市の、業界別に、別々の規格を使っていて、混乱このうえなかった。
そこでフランスが、二人の科学者を中心とした地球の赤道から北極までの距離(実際には、その一部の長さの、フランスの北端からスペインの東端まで)の測量プロジェクトを、7年かけて行ない、1メートルの長さを決めた。
新しいことに変わるときのいつもの民衆の抵抗にあいながらも、メートル法は世界に広がった。しかし、いまだ、経済大国で受け入れていない国がある、米国だ。ポンド、マイル、ガロンで成り立っている。何度かメートル法移行の動きはあったのだが、全部挫折。
これで、大失敗した有名なプロジェクトは、以前、NASAの火星探査機が行方不明になったことがある。原因を調べたら、メートル法で行なっていた部署と、マイルでやっていた部署があって、距離規格の違いで失敗したわけだ。
食品もグローバルだから、統一規格が必要になってきた。


マネジメントとは

さて、モノの規格からスタートしたISOは、その後、マネジメント規格に発展してきた。
マネジメントとはISOの用語解説で「「組織が方針及び目標を定め、その目標を達成するためのシステム」
そして、システムは「方法」ともいえる。
野菜中心の加工食品を製造している工場「菜っ葉屋(仮称)」では、毎月数件、年間数十件の異物混入クレームがあった。この工場では低農薬の野菜が中心なので、野菜に付く虫や、木製樽のささくれ破片、毛髪、ゴミなどが異物混入として絶えない。
ある年、異物混入クレームを何とかしないと、取引に関わる時代になったので、積極的に取り組もうということになった。
そこで、目標を定めることにした。
年間数十もあるクレームを、いきなりゼロにすることは無理だ。そこで、可能な目標にすることにした。
「クレーム半減」
前年のクレーム件数を、今年は半分にする。これを毎年続ける。
昨年は50件だったから、今年はクレームを25件以下にする。これが目標だ。
「組織が方針及び目標を定め」は、漬物工場が、クレームを対策を積極的に行なうという「方針」で、クレーム件数を昨年の半減にするという「目標」を定める。
「その目標を達成するためのシステム」は、具体的にそれを達成するためのシステム(方法)を「計画(プラン)」し、実行(ドウ)し、達成状況を「チェック」し、出来ていたら維持し、出来ていなかったら計画を変更するなり目標を変えるなりしてふたたび行動(アクション)することになる。
計画Plan→実施Do→評価Check→見直しAction となる。
これを「PDCA」サイクル、と呼んでいる。
達成したら維持し、達成していなかったらやり直して、目標を達成する。この方法がマネジメントシステムの要素だ。

異物混入対策のPDCA

現場のISO22000-3.異物混入対策のPDCA

新しい仕事を始めるには、計画を立てるところから始まる。
しかし、異物混入や安全対策をするには、最初に計画ではなく、クレームが来たり、不良品が多かったり、というところから始まる。
異物混入を減らすためには、まず、どのような異物混入があるのかを分析するところから始める。これは、計画「P」ではなく、評価「C」になる。
PDCAのCから始めることになる。
「菜っ葉屋」では、異物混入の評価Checkを行った。
過去の顧客からのクレームを分析評価したところ、毛髪が約半分、もう半分が、虫、ゴミ、その他いろいろで占めていた。
この中身は、顧客からのクレームだけだ。しかしよく考えてみたら、工場内の製造中に異物を見つけて、その場でつまんで捨てたものがかなりあるので、これらも入れてもう一度見直しActionしてみようということになった。
見直しの方法は、アンケート調査だ。
全従業員に対して、
「製造中に異物を見つけたことがありますか? それはなんでしたか? どのような状態で入っていましたか?」
「そして、どうしましたか?」
これをやったら、続々と過去の埋もれていた異物混入が出て来た。
何が入っていたか、それはどのように入っていたかを見直し、その従業員の作業場所と一緒に考えたら、どの製造場所でそれが入ったかが大体わかってきた。
トレイに入った食品の上にきれいに異物が乗っかっていたら、盛り付けからパックの間。食品の上にしみ込むような形で異物が付着していたら、味付け漬け込み工程。食品の中に紛れ込んでいたら、下処理やミックスの工程。
結果、大変なことがわかった。
製品の製造工程は、製品ごとに違うが、大体20工程ほどになっている。この工程の中間に入っている「味付け漬け込み」工程で、何と80%ぐらいの異物が入っているようだ。そういえば、フーズデザインのセミナーで「問題の8割は、工場の2割の場所から発生している」といっていた。
評価Checkをし、さらに見直しActionをしたら、「味付け漬け込み」工程に多くの原因があることがわかったわけだ。





クレーム激減に成功

「味付け漬け込み」工程で、どうして異物混入が多いのかを集中して考えたらどんどんわかってきた。同時に、対策も明確になってきた。
  1. 漬け込みのコンテナーに、以前から使っていた木製のものと、プラスチックのものが混在しているが、木製のものは古く、ささくれが落ちて混入することがわかった。この対策は、修理をして引き続き使うか、もう廃棄するか、どちらかに決める。
  2. 古い空調機のため、ゴミが吹き出されていた。これが落ちていたのだ。対策は、吹き出しにフィルターを付けて、ゴミが出ないようにする。
  3. 帽子が簡易タイプな上に、覆いかぶさって作業するので、毛髪が落ちてしまう。対策は、この工程の担当者の帽子を、頭巾型のしっかりしたものにし、ネットを被って着用するようにする。
  4. 照明が暗いために、異物を発見しにくい。対策は、照明を増加して、明るくする。
  5. この工程廃物が最も入る場所だということを、ここの担当の従事者に認識してもらい「重要な場所なんだ」とわかってもらう。
  6. 最終的には、目視発見が威力を発揮することを、従事者に認識させる。
これらの計画Planを立て、実施Doをした。
結果、1ヶ月後から、クレームは激減し始めた。そして3ヶ月後に、かなり低レベル、月によってはクレームゼロも達成した。
1年後、半減どころか、8割減にすることが出来た。これは活動効果があったと評価Checkした。
そして、活動の結果を、ルール、標準手順作業として、チェックリストにも盛込んで、継続活動Actionにつなげていった。
この、CA→PDCAは最近のISOマネジメントシステムのやり方にもなってきている。

安全は、工程で作り込め

マネジメントシステムは最初ISO9000(品質マネジメントシステム)シリーズがスタートして普及が始まった。
物を製造すると、不良品がどうしても出る。
不良品は、最終で検査をし、発見し、修理するなり廃棄するなりしていた。
しかし、いちばんいいのは、不良品の発生を少なくする、理想的にはゼロにすることだ。
これをするためには、多くの段階(工程)を経て造られている製品の、それぞれの工程内での精度を高めたほうがよい。工程内での不良、不具合の発生率を最低にできれば、最終製品の不良率が減る。これは大きなコストダウンにもなる。
「品質は、工程で作り込め」
そのためには、工程ごとに、精度の高い製造をするための方法(システム)を、管理(マネジメント)することだ。
ある総菜工場では、ポテトサラダにポテトの皮が時々入っていて、クレームになっていた。そこでこれを何とかしようと、評価Checkすることにした。
工程は、ポテトの皮むき→カット→ミックス組み立て→パック、となる。
最終のパック工程で、目視確認をし、異物が見つかったら取り除く。しかしこれだと中に入り込んだのは見つけられない。
製造手順、工程を見直しActionしてみた。
各工程は別れてはいるが、現場を見ると、大きな作業台の上で、皮むきとカットの作業を一緒にやっていた。両方とも作業はかなり早い、それはいいのだが、皮の端材やカット端材が散らばっている。両方の作業の境目は無いのと同じだ。
ここで混じるのではないか? 皮が、カットされたポテトに入ってしまうのではないか?
そこで、皮むきとカットを分けてみることにした(計画Plan)。
場所の余裕はないので、作業台の中央にパーティションを設け、その中央に窓を開け、皮がきれいにむかれたことを目視確認してから、その窓からカット作業の方に送り込むようにした。同時に、なぜこのようにするかを、現場作業者に認識させた。
実施(Do)して、一ヶ月。クレームは無くなった。成功と評価Checkされた。
そして、この方法をルール化すると同時に、他の製造工程もこういったことが無いか見直しActionし、計画Planすることにした。
「品質は、工程で作り込め」が、この例では「安全は、工程で作り込め」になったわけだ。

緊急構築

食品安全にじっくり取り組む方針は決まった。そうでなければこれからの我が社の発展はない。決心した。
とはいっても、短期間に構築できるわけではない。そこで、本音は、最初に、とりあえず最低レベルの安全を、短期間に確保できないか。
これは、多くの組織の素朴なニーズではないだろうか。
ISO22000をじっくり勉強している間、現場はそのままでは、危険は引きずったままだ。出来るだけ短期間にある程度安全にしながら、取り組みを進めたい。
これは出来る。
これを「緊急構築」としてやってみよう。
緊急構築は4つのものがある、
  1. 認識
  2. 問題の2割の工程の発見と取り組み
  3. CCPの最低レベルの管理
  4. PRP(一般原則、一般的衛生管理)の構築とOPRP(重要なPRP)の管理
順次行なってもよいし、緊急プロジェクトとして並行して一斉に行なうことも出来る。
1.2.3.を行なうことで、乱暴なイメージだが、危険度は半分程度になるだろう。これらに加えて4.を行なうことで、危険度は8割り減になるだろう。
安全をなるべく早くある程度確保して、ISO22000の規格(の理解と利用)、文書、記録、マネジメント、監査に取り組み始めればよい。その後、認証取得を考えてもよい。HACCPと一般的衛生管理を土台としたISO22000を利用することで、まず実践し、効果を得、その後認証を考える、という考え方だ。
緊急構築に数ヶ月、ISO22000全体の構築まで1〜2年というところだろうか。
もちろん、規格、文書を、スタッフが集中して作成し、認証に向かって短期間に作業を進めることも出来るが、書類上は出来てきも現場は全く知らずでは、何にもならない。

認識=コミットメントと大掃除

現場のISO22000-7.認識=コミットメントと大掃除
なぜ取り組むのかを、企業、工場、組織全体に知らしめるところからスタートする。
製品を安全にしたい、クレームを無くしたい、信用を得たい。全員がわかる明確な言葉で「宣言」を出す。
これは、
5 経営者の責任の中の、
5.1 経営者のコミットメント
5.2 食品安全方針
になる。
コミットメントは印刷し、全員が見れる場所に掲示すると同時に、関係社、取引先に告知することも効果がある。
コミットメントの発表の後、あるいは同時に、認識を実際のものにし、効果を高めるために、大掃除を行なうとよい。
工場内外、事務所にある不要なものを出すと(整理)、広くなる。そこで、必要なものの置き場所を決め(整理)する。こうすることで、認識を新たにすることが出来ると同時に、実際の効果があるので、一石二鳥だ。
認識をする、このことで衛生管理、安全管理への取り組みが出て来る。

問題の2割の工程の発見と取り組み

この連載の、3.4回のように進めるとよい。
まず、製造工程のフローチャートを作成する。(7.3.5.1 フローダイアグラム)
次に、今までのクレーム記録を全て出し、どこの工程でそれが起こったのかを、ミーティングや聞き取りで特定する。特定できないものも多いので、その場合は、複数の工程にわたっていれていく。(7.4.3 ハザード評価)
記録になっていないものはかなりあるはずなので、現場への聞き取りを行なう。
聞き取りの例
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作業中に原材料や商品に異物等を見つけたことがありますか?
  (見つけたことがある人は具体的に記入してください)
「商品名・入っていた場所・作業場所」
  1. 寿司・煮物商品をラップ作業中に髪の毛発見
  2. 揚げ物に髪の毛発見
  3. ご飯に髪の毛発見
  4. カートン皿の角に針金がついていた
  5. 刻み生姜にラップの端が入っていた。
  6. カニ風味サラダ髪の毛発見
  7. シャリの中にプラスチック片や髪の毛が入っていた。
  8. 袋からタッパーに移した刻み生姜に袋の端のビニールが入っていた。
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どの工程での問題が多いのか、分析する。
問題のある工程が出て来たら、その対策を検討し、直ぐに始める。
費用があまり多くかからない場合は思い切って直ぐに対策する。(7.2 前提条件プログラム(PRP))
これで、問題の多い部分の対策が出来る。

CCPの基本レベルの管理

製造している製品アイテムが多い場合、取りあえず、最も生産量が多いもの、あるいは最もクレームが多いものなど、製品の一つ(一群)を決め(4.1 一般要求事項)、それに対するCCPを決めて最低レベルの管理を始めだす。
CCPは、製品から、ハザード(危害)を、除去できる、製造工程だ。(7.6.2 重要管理点(CCP)の明確化)
揚物や焼き物の加熱調理製品では、加熱調理後、中心が75℃という温度をクリアすれば、食中毒菌は死滅する。劇的に危害を防止できるからCCPになる。
パッケージをしたあと金属探知器を通す場合、金属異物が入っていればはねることになるので、これは「劇的」に近く、ここはCCPになる。
寿司、刺し身、サラダなどの生食の製造では、細菌の除去は出来なくても、重要な管理工程はある。
例えばチルドの魚を原材料として仕入れ、刺し身用のサク状態に加工をする場合、原材料の温度が高ければ、細菌増殖危害が出て来るので、受け入れ時の温度は重要になる。
この場合の安全限界は、「入荷時の温度が4℃以下」ということになる。
これで入荷すれば、微小な汚染があっても、工場内の管理さえよければ危害にならないことになる。であるから、ここをCCPにすればよい。
4℃以下は危害細菌などを死滅させることは出来ないが、危害を食い止める重要なポイントなので、劇的では無いが、あえてCCPにすればよいのである。
活魚を刺し身用のフィレに加工する工場では受け入れ時「活きていること」をCCPにしても良い。貝類のむき身加工では、むき身にしたあとの洗浄水と冷却水の温度を「5℃以下」にすることをCCPにしても良い。
カット野菜の場合、洗浄殺菌をする水、例えば塩素殺菌の場合の濃度と水温をCCPにする方法がある。
この場所を見つけ、許容限界を決め(7.6.3 重要管理点の許容限界の決定)、測定する機器と方法を決め、頻度を決め(例えば、1時間毎、ロット毎など)温度を計測するなり、濃度を計るなりをし始める。(7.6.4 重要管理点のモニタリングのためのシステム)
一般的には既に行なっているところがほとんどなのだが。この場合でも、記録はしていない場合がある。
そこで、取りあえずノートでよいから、計測した数値を記録し始める。(4.2.3 記録の管理)
CCPは、安全を確保するためのとどめなので、文書はまだ作成しなくても、これを始めることで、製品の安全確保が出来る。

PRP(一般原則、一般的衛生管理)の構築とOPRP(重要なPRP)の管理

以下を、取りあえず始めたことになる。
  1. 認識
  2. 問題の2割の工程の発見と取り組み
  3. CCPの最低レベルの管理
これでかなり安全確保できた。
これから少し落ち着いて、ISO22000の基本であるHACCP、その土台となる一般原則(一般的衛生管理)のPRP(PP)と、その中の重要なOPRP、そして、既に実施を始め出したCCPについて解説する。

ISO22000の基本は、HACCPだ。そして、HACCPの土台は一般的衛生管理、あるいは一般原則と呼ばれている。
一般原則とは「5S」として、知られている。整理、整頓、清掃、清潔、躾のことで、
整理   要る物と要らない物を区別して、要らない物を処分する。
整頓   要る物を定位置管理すること。
清掃   見た目にきれいにすること、ゴミひとつ落ちていない。
清潔   見た目だけでなく、衛生的であること。
躾    当たり前のことが当たり前に出来ること。

これを、ISO22000では、7.2 前提条件プログラム(PRP)で扱う。
Prerequisite Programs=PRPまたはPP

これは、製造環境をきれいにすることだ。清掃や洗浄をしやすいようにし、頻度や方法を決めて確実に清掃洗浄すれば、異物混入の元になるゴミや埃、細菌が少なくなるので、安全になる。また、従事者の手洗いや粘着ローラーの使用でも危険を低減させる。そして、教育訓練を行う。

前提条件プログラム(PRP)の内容ISO22000のOPRPとは

ISO22000はOPRPという全く新しい用語が出て来ている。オペレーションPRPでOPRPだ。

HACCPを構築するには、土台となる一般的衛生管理を行なわなければ意味が無い。「5S」という用語が代名詞のようになっているが、整理整頓、清掃、洗浄といった、製造環境をきれいにすることだ。きれいにすれば、ゴミ、埃といった異物や、細菌が少なくなる。そうすれば、異物混入や食中毒の危険性が少なくなる。個人衛生によって従事者が工場内に持ち込む危害の元を少なくするが、これも含まれる。

少なくはなっても、わずかに残っている可能性があるので、それにとどめを打つことが出来れば良い。この工程や手段があれば、それがCCPになる。加熱殺菌で食中毒菌を死滅させ、金属探知器で金属異物があったら検知して除去するといったところがCCPになる。

CCPは普通2〜3ヶ所程度のところが多い。一般的衛生管理は数十とか、かなりの数になる。
一般的衛生管理はPPと言ってきたが、ISO22000ではPRPという。どちらも元は同じで、Prerequisite Programsだ。

一般的衛生管理で何をするかというと、製造環境から危害の元を減少させる。
CCPで何をするかというと、食品から危害を除去する。

環境、減少ということと、食品、除去、ということになり、この2つで安全な食品を製造することになる。

ISO22000では、OPRPが出て来た。
OPRPとは、重要な一般的衛生管理の部分を、科学的に検査して、ダメだったら修正して、正常にしてから製造を始める、といった考え方だ。

例えば、加熱殺菌後、冷却してから小分けしてパッケージをする場合、せっかく加熱して殺菌した食品を、そのあとの工程で汚染させてはなんにもならないので、加熱後の作業に使う、バット、トング、トレイ、容器、といった、食品が直接接触するものがきれいになっているかどうか、科学的な検査、例えばATPで測定をして、規程の数値、例えば500以下になっているかどうかを確認して、OKだったら作業を行なえる。という方法だ。

PRPとOPRPの違い

現場のISO22000-12.PRPとOPRPの違い

ISO22000で象徴的なのは、OPRP(オペレーションPRP)だ。
これは、全く新しく出て来た用語で、PRPとOPRPは、実によいシステムだ。

PRP=Codexの一般原則=PP=Prerequisite Programs→7.2.3の11項目
OPRP=モニタリングが出来て、製造環境から危害(ハザード)低減出来る→7.5 オペレーション前提条件プログラム(PRP)の確立

OPRPは「重要なPRP」(重要なPP)と位置づけることが出来る。
PRPは、施設設備のハード面と、清掃洗浄のソフト面、資材の管理、交差汚染の防止、防虫防鼠、個人衛生といったもので、安全対策の元になる、基本、インフラである。
作業室がある、製造機器がある、冷蔵庫がある、従事者がいる。これらを配置し、清掃洗浄、あるいは管理指導して、製造環境からの危害にならないようにする。といったのがインフラだ。
これらの中で、重要なものがある。一つは、食品に直接接触する場所(面)だ。ナイフやカッター、まな板、ミキサーの内側、食品を直接入れるバットなどの容器といったものだ。これらが汚染されていたら、食品を直接汚染してしまうので、洗浄し、消毒が必要になる。

OPRPは科学的な検査をする


洗浄、消毒をしたという確認は、目視ではなく、科学的な検査をすれば、より管理や改善がしやすくなる。例えばATP測定器やスタンプ検査だ。検査、監視をすることは、モニタリングだ。
例えば、カッターをATP測定器で検査して、許容基準が500以下だった場合、いつもは500以下なのに、あるとき検査したら、千を越えてしまった場合、洗浄方法なり、何か問題があったことになる。
原因を調べて、例えば洗浄担当者が変わって、マニュアル通りにやっていなかった、ということがわかれば、訓練するなりして改善ができる。
PRPの中で、モニタリングして改善ができる(オペレーションが出来る)のが、OPRPだ。
OPRPは危害(ISO22000の用語ではハザード)を低減させることが出来る。バクテリア、汚れを、低減させていることをモニタリングできる。しかし、除去することは出来ない。除去することが出来るのはCCPだ。

PRPの検討から、PRPとOPRPが出て来る

PRPは、施設設備から検討を始める。

図面を見、現場を回って、床、壁、天井、ゴミ置き場、外回り、といったところは、清掃し、目視で確認する。これは科学的なモニタリングが出来ないから(あるいは、出来るが、コストも含めてそこまで不要)、PRPになる。

食品が接触する、カッターやまな板といったところは、重要で、モニタリングも出来る。これはOPRPになる。
ISO22000の項目で言うと、「7.2 PRP」の検討の結果、「7.2 PRP」と「7.5 OPRP」が決まってくる。

ハザード(危害)分析から、PRP,OPRP,CCPが出て来る。

ハザード分析は、製造工程をフローダイヤグラムにし、各工程で、どのようなハザードがあるかを分析し、それぞれの工程で実施する安全管理を決めていく。
安全管理は、機器の配置やゾーニングで交差汚染を防止するならば、これは基本、インフラで、モニタリングできないので「PRP」になる。
この検討は、既にPRPで行なっているのでダブって出て来る。これはPRPの検討と、ハザード分析の、両方から出て来たPRPになる。ダブルチェックだ。
ハザード分析だけでPRPを出そうとすると、漏れが大分出て来る。製造工程には出て来ないが、重要な衛生管理、例えば、トイレ、ゴミ置き場、床壁天井は、製造工程に出て来ないので、ハザード分析の検討に入ってこない。

PRP.OPRP.CCPのレベル

OPRP=環境からのハザード低減 CCP=食品からのハザード除去

工程が、入荷→下処理→加熱殺菌→冷却→包装→金属探知機→梱包→保管と出荷、となっている場合、入荷はPRPになる。下処理は、交差汚染の防止策はPRPで、ナイフやまな板はモニタリングできるのでOPRPにすることが出来る。製造環境からのハザードの「低減」が出来る。
加熱殺菌は、食品から、ハザードの「除去」が出来る。これは「7.6.2 重要管理点(CCP)の明確化」だ。
加熱殺菌のCCPで食中毒菌を除去したあと、冷却工程で汚染させてはならないので、インナーパックするまではクリーンな環境にしておかなければならない。そのためには、清掃、洗浄、殺菌が必要になる。
この作業(オペレーション)が出来ているかはモニタリングするべきだ。これでハザードの除去は出来ないが、低減になるので、OPRPになる。
冷却したあと、包装が終わるまでは、汚染を低レベルにしておかなければならない。包装機も、食品が接触する場所を重点的にモニタリングしながら管理したほうがよいのでOPRP。
そのあとの金属探知機は、金属異物の除去になるので、CCPになる。
あとの、梱包、保管、出荷は、PRPで管理する。


OPRPの効果的な監視

ATP測定器で検査する場所を、重要なところに集中して、効果を上げ、コストを調整する。例えば、加熱殺菌工程のある製品では、加熱殺菌の直前の工程から、インナーパックまでの各工程で、食品が直接接触する場所、面を、OPRPにして、検査のコストパフォーマンスを良くする。


OPRPの例

製品へのラベルの印字間違いで、製品は問題無いのに、回収になってしまうことがよくある。日付間違い、原材料表示間違いなどだ。
これを防ぐ方法の一つに、複数の担当者による目視確認がある。これは重要なので、科学的管理とはちょっと違うが、「二人以上が、目視と、指差し呼称で確認」を、OPRPにしたところがある。
冷蔵庫の温度管理や、配送車の温度管理は、製品を安全に管理するために重要だ。この温度監視をOPRPにしているところもある。

検査と目視のダブルOPRP2008/04

OPRP = 重要な一般的衛生管理。食品が直接接触する場所や面の安全確認を、拭き取り検査や直前の殺菌等で行い、出来れば科学的に測定をし、確認をしてから製造を開始する方法。

検査と目視のダブルOPRP

弁当製造工場では、弁当容器の汚染が問題になる。
弁当容器が汚染されているかどうか確かめるにはATP検査でのふき取り検査を行えばよい。ランダムに数個の容器を検査することがOPRPに出来、何も検査しない状態で使っているよりも飛躍的に安全になる。


ある弁当工場ではこれをOPRPにしようとしたのだが、それでいいのかと問題になった。なぜなら、弁当容器の汚れというのは、容器が古くなるほど汚れが落ちなくなっていく。キズが増えていき、そこに汚染や細菌が溜まるようになっていくのだ。そうすると、たまたま新しい、まだ傷んでいない容器を検査した場合には大丈夫でも、古い容器が大丈夫なのか、という心配になる。
そこで、OPRPを二重にした。「古くなっている容器を選んでATP検査をする」と同時に「盛りつけ時にすべての容器を目視検査」とした。

盛り付け工程では、欠品や量目不足が無いようにするという品質管理を行っていたが、これに容器の汚れの目視検査が加わったわけだ。盛り付け作業は10人ほどが並んで行い、全員が容器を見ているわけなので、この目視検査は「認識」すればロスも余分なコストもなく出来る。

サイレンによる手消毒のOPRP

OPRP = 重要な一般的衛生管理。食品が直接接触する場所や面の安全確認を、拭き取り検査や直前の殺菌等で行い、出来れば科学的に測定をし、確認をしてから製造を開始する方法。

サイレンによる手消毒のOPRP
加熱殺菌が終わり、冷却が終わってから、手作業で真空パックなりトレイパックをする場合、人の手の汚染が問題になる。手洗いをし、消毒をし、手袋をし、手袋の上から殺菌してから作業に入り、その後30分ごとに手袋の上から殺菌をする、といった作業を取っている工場では、ここの部分をOPRPにできないかと考えた。せっかく加熱殺菌した製品を最終のパッケージで汚染してしまっては元も子もない。

そこで、2週間の間に数回、ランダムに、30分毎の手袋の上からの殺菌作業の後、細菌検査をしてみたところ、合格状況になっていることを確認した。

このOPRPは、記録をどうしたら良いかに悩んだ。

実際に行っている方法は、30分ごとにサイレンが鳴り、これを合図に担当作業者全員が行うのだが、この度に記録をするのは大変だし、従事者の一人がボールペンで記録用紙に書き込む作業での汚染の方が心配だ。そこで「お互いに殺菌したことを確認」することを管理手段とモニタリング手順にし、同時にサイレンが正常に鳴っていることが機械的に確認でき、記録にもなっているので、これを記録にすることにした。

同時に、ノロウイルス対応の消毒(アルコールよりもコストがかかる)を3回に1回行なうことにした。

作業前の空運転によるOPRP

OPRP = 重要な一般的衛生管理。食品が直接接触する場所や面の安全確認を、拭き取り検査や直前の殺菌等で行い、出来れば科学的に測定をし、確認をしてから製造を開始する方法。

作業前の空運転によるOPRP

チルドハンバーグを製造する工場で、整形した後、表面をバーナーであぶって肉汁を閉じこめ、その後トンネルスチーマーに入れる。ここがCCPで加熱殺菌になる。

この後、製品はそのまま同じコンベアーで冷却トンネルに入っていく。そこで、この冷却トンネルに入っていくコンベアーの表面が汚染されていたら、せっかく加熱殺菌した製品が汚染されてしまうことになる。

製造作業に入ってコンベアーが1回転してしまえば、コンベアーそのものが加熱工程を通ってから冷却工程に入っていくわけなので、コンベアーは殺菌されている。問題は最初の製造時だ。前日洗浄殺菌されているが、翌朝その状態が保たれていることは確認できない。洗浄殺菌が完全であるとは限らないし、環境からの汚染も十分に考えられる。

OPRPを考えたとき、この作業開始時の冷却工程の安全を確認することが重要だということになった。そこで、製造開始時にATP検査を行い、例えば百以下、という基準を設けるという方法が検討された。しかし、製造開始前、ラインを空で動かし、1回転(45分)させれば、コンベアーラインは殺菌されることになる。これの方が確実だ。

空回転でラインが殺菌されているかどうか細菌検査を数回行ったら、間違いないことがわかった。そこでここをOPRPにすることにした。

このOPRPのハザードは「製造開始時コンベアラインの細菌残存による製品への汚染」、管理手段とモニタリング手順は「コンベアーラインの加熱空回転による殺菌」、許容限界はISO22000の中では要求されていないがこの場合は規定できるので「50分間の加熱空回転」にして、始めたときと終わったときの時間と温度をチェック記録することにした。

CCPとOPRPの情報の違い

CCPとOPRPの違いは何かというと、必要な項目が一つ違うだけだ。 
CCPは、ハザード(例えば食中毒菌の生残)、管理手段(例えば、加熱殺菌)、許容限界(例えば75〜85℃)、モニタリング手順(例えば、中心温度計でロット毎)、修正.是正処置(例えば、再加熱や廃棄)、責任と権限(担当責任者)、モニタリングの記録(例えば、CCP温度記録表)になる。
これに対してOPRPはこの中の「許容限界」が無い。 
OPRPの管理例は、例えば、ハザード(盛り付け器具の汚染による細菌汚染)、管理手段(ATP測定)、許容限界は要求されていないが、実質的に例えば500以下、モニタリング手順(作業開始前にATPでの規程の検査手順を行なう)、修正.是正処置(再洗浄殺菌)、モニタリングの記録(ATP検査記録表)といったことになる。
CCPで許容限界を逸脱した場合、規程の処置(再加熱とか廃棄)がされていない場合、監査では「不適合」になる。
例えば75〜85℃のところが86℃になった場合、1℃だから大丈夫としてそのまま通したら不適合になる。 
OPRPでは、許容限界が決められていなくてもかまわない。 しかし実質的にはそれでは意味が無いので、例えばATP500以下とするわけだが、500以上になっていた場合でも(例えば600)、この程度なら大丈夫だと、現場の判断で作業を始めても不適合にはならない。
まあしかし、多くは許容限界を決めるようになると思うが。

CCPの文書化で、情報が要求されている項目は、
a) CCPにおいて管理しなければならない食品安全ハザード(7.4.4参照)
b) 管理手段(7.4.4参照)
c) 許容限界(7.6.3参照)
d) モニタリング手順(7.6.4参照)
e) 許容限界を逸脱した場合にとるべき修正及び是正処置(7.6.5参照)
f) 責任及び権限
g) モニタリングの記録

OPRPで文書化で、情報が要求されている項目は、
a) プログラムによって管理される食品安全ハザード(7.4.4参照)
b) 管理手段(7.4.4参照)
c) オペレーションPRPが実施されていることを実証するモニタリング手順
d) モニタリングが、オペレーションPRPが管理状態にないことを示した場合にとるべき修正及び是正処置(7.10.1及び7.10.2をそれぞれに参照)
e) 責任及び権限
f) モニタリングの記録



CCPとOPRPの項目

両方に必要な項目は、ハザード、管理手段、許容限界、モニタリング手順、是正処置、責任及び権限、モニタリングの記録、以上だが、これに、
「モニタリングの担当者」を入れることで分かりやすくなり、「検証」を入れることで、(7.8 検証プラン)にも対応することが出来る。


CCPとOPRPの実施運営

ここまでで、CCPとOPRPの内容がまとまった。
もう実施を始められただろうか?
CCPの、例えば加熱殺菌後の温度測定では、最初は温度が限界基準から逸脱しても、直ぐに逸脱しないようになり、更に安定した限界基準の中間程度になってきていないだろうか。
こうなれば、常に安定した製品にすることが出来ていることになる。
75℃から85℃ならば、80℃±3℃程度に安定して出来るようになれば、75℃以上という安全限界と、85℃以下という品質(美味しさ)限界の間に安定的に入ることになる。
これは、安全でなおかつ美味しい製品が出来ることになったことになる。

ATP測定では、「500以下」という限界数値よりも大きな場所が最初はかなり見つかっていたかもしれない。
しかし、その汚染がある場所は、もう1度洗浄したり、なぜ普通に洗浄してきれいにならないかを考え、洗浄方法を改善することで、次第に施設設備の全てが常にきれいになっているようになっていくことだろう。
これで安定してくれば、測定頻度を少なくして、コスト削減が出来る。
また、今まで測定していなかったところを順次測定していくことで、隠れた汚染場所を見つけることも出来る。

緊急構築をし、実施運営し始めたので、衛生管理の壺を押さえたことになる。
さてそれでは、これから、施設設備のインフラ、清掃や洗浄しやすいか、どのように清掃洗浄したら良いか等、基本的なところを見ていくことにする。
これは、7.2 前提条件プログラム(PRP)だ。

前提条件プログラム(PRP) 

これは、a)〜j)までの10項目と、k) 適宜、その他 のプラス1項目で成り立っている。「PRPの確立の為に、以下の点を考慮する」ということになる。

a) 建物及び関連設備の構造並びに配置
b) 作業空間及び従業員施設を含む構内の配置
c) 空気、水、エネルギー及びその他のユーティリティの供給源
d) 廃棄物及び排水処理を含めた支援業務
e) 設備の適切性並びに、清掃・洗浄、保守及び予防保全のしやすさ
f) 購入した資材(例えば、原料、材料、化学薬品、包装材)、供給品(例えば、水、空気、蒸気、氷)、廃棄(例えば、廃棄物、排水)及び製品の取扱い(例えば、保管、輸送)の管理
g) 交差汚染の予防手段
h) 清掃・洗浄及び殺菌・消毒
i) そ族及び昆虫の防除
j) 要員の衛生
k) 適宜、その他の側面

a) 建物及び関連設備の構造並びに配置

敷地と、周りの道路、工場建物本体、倉庫、排水処理施設、駐車場、事務所、等の、距離、長さ、高さ、容量、性能といったことを明確に。

ゴミ置き場からのハエの発生が、工場内に影響したり、倉庫から工場内までの間に、異物混入や温度管理上の問題がないか等、食品の安全性に影響がないか。問題がある場合、改善(PRPの確立)。

ある工場では、衛生的に気をつけているにもかかわらず、外から飛来するハエが多くて困っていたので調べたところ、3キロ離れたところにごみ処理場があった。ハエは5キロの範囲を飛ぶということなので、ここから飛来していることがわかった。そこで、工場の出入り口、ゲートのすき間をうめたり、ビニールカーテンで二重にしたら収まった。

ある工場では、においの問題が工場新設したときからあったが、夏になったらひどくなった。調べてみたら、工場裏の排水溝が原因だったので、修理した。

ある工場では、小さなハエや蚊が、工場裏口から入り込んでいて困っていたので調べたら、道路脇を流れているドブのトンネル内から発生していた。公共のものなので、市に交渉して直してもらった。

ある工場では、包材の倉庫が工場本体と数メートルだが離れたところにあった。いったん外に出てから包材を工場内に入れるため、段ボールのまま工場内に入れていた。しかし、これによって虫の新入の危険があるので、通路を作り、倉庫内で段ボールを開け、ビニールシートに入った中の包材だけを工場に入れるようにした。

ある工場では、周りの他の工場に比べて虫がかなり周囲にいるため、調べてみたら、虫の好きな、寄ってくる樹木、が多く、これが原因だった。工場緑化が必要なため、樹木を取り除くわけにはいかないので、虫の寄って来ないものに、工場ゲート付近だけ換えた。
虫が好む樹木は、桜類、杉、椿、つつじ、サツキ、クチナシなど。好まない樹木は、桧、ヒバ、楠、カシ、シイ、ジンチョウゲなど。また、ハーブ系には虫は寄って来ない。

ある工場では、工場が鉄道路線の横にあり、線路の横の雑草から虫が工場内に進入してくる。そこで鉄道側と交渉して、毎夏前に雑草を刈ってもらうことにした。

ある工場では、工場の裏にあるごみ置き場からハエが異常に発生していることがわかり、ここから工場内にハエが進入していたことがわかった。このごみ置き場には、生ゴミが多く置かれているのだが、ごみ処理業者が持っていった後、汚水が溜まったままになっていた。置き場が古く、お椀のように窪んでいるので、常に汚水が溜まっているのだ。そこで、この窪みを修理し、週に3回ごみを持っていった後、洗浄消毒をすることで、ハエはぴたりと収まった。


b) 作業空間及び従業員施設を含む構内の配置


工場内の詳細な図面を作成。
この図面を元に、
  1. ゾーニング図
  2. 製品の製造動線図
  3. 従事者の動線図
を、最低限作成。
この3つの図によって、
交差汚染の問題発見と解決の元にしていく。

c) ユーティリティの供給源

特に水について

使用する水には2種類ある。水道水と井戸水だ。それぞれの対応をここで行う。
水道水を蛇口からそのまま使っている場合には、水道水そのものが消毒されているので問題はないが、水道水を受水槽に受けている場合、蛇口からの水質検査が必要になる。受水槽にいったん入ると、そこである程度の時間ストックされるので、使用するまでの間に問題が起こる可能性がある。建物天井に受水槽を設置していて、定期的な検査で突然水の汚染問題が起こったので調べてみたら、受水槽の一部が壊れていて、そこから鳥が飛び込んで死骸となってそれが汚染したのだ。
井戸水の場合、水源と蛇口からの水質検査が必要になる。数年前に埼玉の幼稚園で使っていた井戸水にO-157が入っていて、これを飲んだ園児が死亡した事件があった。一般的な食品工場では半年に一度とかある程度の期間の頻度にする。
東北のある製氷工場では原料として地下水を使っている、井戸水が原料のすべてなので、毎朝原料水のチェックをしている。検査は24時間かかるのだが、氷が出来るまでに48時間かかるので、万一何か問題があっても間に合うことになる。
米国の水産では漁船に積む氷を作る原料水のチェックが厳しい、採った魚介が冷やすために氷で汚染されてしまってはならないからだ。氷は水の検査が最も厳しいが、一般的な食品工場では、定期的な検査を行うことだ。殺菌または浄水装置を使う場合、定期的点検と維持が必要になる。殺菌システムが故障していたら問題が出るからだ。
1982年、札幌のある大手スーパーで起きた、一度に7千人以上の食中毒事件の原因は、店舗一階の排水管のふたを締め忘れた個所があり、そこからし尿が混ざった汚水があふれ出して、付近の地中に浸透した。これが井戸水の槽にできていた亀裂から入り込み、この水が使われて食中毒になった疑いだ。この水は、野菜を洗い、魚を洗っていたために、一気に大量の食中毒になってしまったのである。
O-157は、家畜が起因になるのだが、カイワレやイクラの事件でわかるように、全く関係のない食品が問題になることが多い。これは、水が媒介になる可能性が高いからである。

d) 廃棄物及び排水処理を含めた支援業務

排水と廃棄物でまず行うことは動線が正しいかどうかである。
排水は工場内を流れている排水溝が正しく流れているか、方向が正しいかを点検する。
製品の流れというのは、原料入荷(汚染ゾーン)→下処理(準清潔ゾーン)→調理、冷却、パッケージ(清潔ゾーン)→箱詰め(準清潔ゾーン)→出荷(汚染ゾーン)という流れになる、汚染→準清潔→清潔→準清潔→汚染となる。
しかし、排水はこの流れとは違って、清潔→準清潔→汚染→外とならなければならない。
もし準清潔ゾーンで出た汚水がその後清潔ゾーンに入ってしまっていたら問題になる。
製品の動線が一直線になっている工場で、排水動線も工場内を同じように一直線に一方方向に流れている場合も困る。
この場合、汚染ゾーンで出た汚水が、準清潔ゾーンに入ってしまう、ここで一時処理などで出た汚水が今度は最も重要な清潔ゾーンに入ってしまうことになるのだ。
その後、汚染、準清潔、清潔の3ゾーンで出て来た全ての汚水が一緒になり、次の準清潔ゾーンを通り、汚染ゾーンを経由してやっと外に行くようになってしまうのである。
構造上このようになってしまっている工場では、これを直すのにかなり費用がかかることもあるだろう。排水溝の傾斜方向を簡単に直すわけにはなかなか行かないからだ。
しかし、汚水が清潔ゾーンに入ってしまうのは問題があるので、何とかしなければならない。
応急処置をするなりして、次の大改装などで直さなければならない。
排水溝の清掃がおろそかにされている工場はよく見かける、床を清掃した後排水溝まで手を回さないために、床は見た目にきれいでも、排水溝の中は時々しか掃除をしていないようで、汚い。
排水溝は外のドブと違い床の清掃と同じ頻度で行わなければならない。
一般的なガイドラインでは床清掃は一日一回以上となっているが、これと同じ頻度で排水溝の清掃が必要である。

e) 設備の適切性、清掃・洗浄、保守及び予防保全のしやすさ

保全のしやすさのポイント
清掃、洗浄を効率良く行えるようにする
清掃:清掃不要の場所を考える → 簡単に清掃できる方法を考える → 残った場所をしっかり清掃洗浄:食品が直接接触する面をしっかり洗浄する
清掃、洗浄、保守(メンテナンス)が、やりやすいようにする
清掃、洗浄の場所を無くす
汚れが付きにくく、落ちやすく改善する

f) 購入した資材の管理

特に、検収時の点検について

日付、数量、外観の状態といった一般的なことに加えて、温度管理の必要な原材料の検収では、到着時の温度チェックが重要である。チルドの食材の場合、0℃前後での到着が望ましい、これが2℃以上になっていたら要注意で、もし4℃以上にもなっていたらその車に入っている全食材が傷んでいる可能性が高い。このために最終的には「4℃以上になっていたら車ごと返品」とする必要がある。
しかし、今までの取引の中からいきなりこれを強行すると、取引上の問題も出るだろう。そこで、まず、なぜ到着時に温度が上がってしまっていたら問題かを説明し、その後で1月ほどどのような温度で到着をしているかのデータを取るといい。この結果、毎日入って来ている原料は、大体0〜プラス2℃程度で入っていることがわかったとすると、4℃というのは大問題で、普通には考えられないことだとお互いにわかる。この後、返品の話に進めたらいい。こうすれば感情的なトラブルもなくなる。検収時のチェックはこのような進め方でサプライヤーと決めていったらいい、同時にロジスティクスに対しては、自分の工場側とサプライヤー側との3者でHACCP対応のプロジェクトを立ち上げ、お互いの情報を出し合って進めて行くといい。

特に危険物の扱いについて

食品を製造するために必要なものだが、扱いを間違えると逆に危害になってしまうものは、機器メンテナンス部品、道具、機械用潤滑油、洗剤類、消毒剤、殺虫殺鼠剤、食品添加物(危害の可能性のあるもの)等がある。食品添加物以外は食品に直接入ってはならないもので、これらを分かりやすく「危険物」といったような名前で総称して、扱いを慎重にする必要がある。
危険物の扱いの基本はシンプルで、「一ヶ所にまとめて置く」ことである。まとめて置くことで、危険が拡散しない。ある魚加工工場では、階段下の斜めになった小さな部屋に置いていた。
そこから小さなボトルなどに移して各作業室に持っていくことになるが、このときにメモをすることで、使用の記録が出来ることになる。在庫も一目でわかる。

g) 交差汚染の予防手段

一般(汚染)、準清潔、清潔と、ゾーニングは一般的に3つのレベルに分けている。この仕切りをどのようにするか、工場の性格、大きさ、製造の状況、費用、従事者の移動状態や作業性などによって、変わってくる。
ゾーニングは、隔壁が完ぺきだが、作業性、コストなどによって、簡易的なパーティションの方が良い場合もある。
簡易ゾーニングには、ビニールカーテン、パーティション、チェーン、ラインなどがある。


h) 清掃・洗浄及び殺菌・消毒

このステップが最も手間がかかり、重要なところ。工場や厨房を衛生的にすることが土台で、ここを徹底すると異物混入クレームを激減させることが出来る。
今までは「しっかりと清掃しよう」あるいは「整理整頓」といった形で行ってきたのとHACCPはどのように違うかというと、HACCPの考え方では、「しっかりやろう」から「5つの項目を満たす」事によって実行を管理することになる。「5つの項目」とは、「作業内容、頻度、担当者、確認、記録」である。
例えばオーブンの清掃だと、今までは「オーブンをしっかりと清掃しよう」だったのだが、HACCP式だと、まず「内容」は「オーブンの清掃」で「頻度」は「毎日の洗浄」と「月に一度の分解洗浄」という事になる。

次は「担当者」で、誰がやるのかを決めておく。交代でやっても専任者がやってもいいが、これをきちんと決めておかないと忘れてしまったりすることになる。特に分解洗浄では方法を知っている人でないと出来ない。

次は「確認」で、これは洗浄を行った人以外が行う、蛍光灯の掃除なら「目視」となる。これがまな板などとなった場合、目視確認だけでもいいが、機械的検査が出来るならばこれも併用をする。バクテリアや汚れの検査にはある程度のコストや時間もかかるので常に行えるとは限らない、このような場合「頻度」は毎日とか朝、昼、作業終了後の3回、となり、「確認」は、その都度「目視確認」となる、これに加えて「月に一度ATPによる検査」を入れたりすることになる。
検査では数値が出てくるので、限界となる数値を明記しておき、実際に測定した数値を記入するようにする。そしてもしその数値が規定を外れていた場合どうすればいいかまで規定しておく。

「記録」の書き込みは作業担当者がやるが、この記録をさらに「監査」する必要があるのである。監査は例えば「副工場長」になったり、「HACCPチームサニテーション監視者」のような形になる。監査はどの程度の「頻度」で行うのかも規定しておく。例えば、毎日行うサニテーション作業だった場合、一週間に一度とか毎月「誰が監査をして承認するのか」を決めておくのである。

i) そ族及び昆虫の防除

特に、捕虫器取付方法について
  • 電撃式は使わない。
  •  出入口に平行に取り付けない(注1)。ドアの内側の上の壁に取り付ける
  •  製造ラインまでの距離が短い場合、虫の破片や微細片が、ラインに飛び散る可能性があるので、ドア内部の横に斜めに付けるなどの工夫が必要な場合がある。
  • 侵入した虫が生産部分に入る前に、出入口付近、廊下で捕まえるように取り付ける。
  • 生産ライン、コンベアーの上には取り付けない。ドア下の通路の中央に取り付けると、虫の破片や微細片が、通路下を通る食材(食品)の上に落ちる可能性があるので、端に寄せたほうが安全。
  • 隙間の多い窓、ドアの内側付近には取り付けないこと。逆に虫を誘引し、侵入を許すことになる。
  • 誘引ランプは明るいほどよく捕まる。
  • 殺虫器の皿は、月2回以上掃除をすること。
  •  屋外用を取り付けるときは、少なくとも15メートル以上離すこと。建物に接近して設置すると逆に誘引して、侵入数が増える。
低誘虫蛍光灯
白色で普通の蛍光灯にほぼ近い照度の低誘虫蛍光灯が出ている。これを外部との境目、例えばプラットフォームに設置すると外からの虫の誘因が少なくなる。
製造室の全てに設置すると、捕虫器の捕虫効率が高くなる(虫の目には蛍光灯の光は見えず、誘虫灯のみが見えるから)。
捕虫器は、虫が大量に捕まって喜ぶものではない、虫はいないほうがいいに越したことはない。目的は、どのような虫がいるかである、特に、外部から来たのか、内部発生かを分析して、対策をとることになる。

j) 要員の衛生

全従業員に対する衛生教育

全従業員に対する衛生教育である。対象は一般的には3つに分ける、まず新規採用者で、新入社員やパートアルバイトが入るときである。特にパートアルバイトは頻繁に入れ替わることが多いうえに、製造現場で食材に直接触ることが多いので、臨時雇用者が重要になる。2番目は一般社員で、臨時雇用者を管理する立場にもなる。3番目は管理職になる。「内容」はカリキュラムになり、これは企業ごとに実に色々だ、西日本の加工肉会社では臨時雇用者に対する教育は社員と管理職がそれぞれの立場から行っている。教育というのは自分の知っていることを人に教えることだが、人に教えるためには自分がかなり勉強しなければ出来ない。教材を作るのに今まで勉強したことをもう一度飲み込んでそのエキスを出すことになるからである。であるから、社員が臨時雇用者の講師になるにはかなり勉強しなければならない、これこそ社員の教育になり、一石二鳥になる。
東北のかまぼこ会社の社員と管理職に対しては、業界団体の行う定期セミナーや、年に1回の外部講師を招いての社内セミナーを行う。業界団体のセミナーにはHACCP専門家の養成コースがあり、これにはすでにHACCPチームメンバーの一部が出ているが、毎回開催されるたびに交代で未受講社員を出している、これによって社員のHACCP感覚が厚くなるようにしている。
あるファーストフードチェーンでは、アルバイトが入るとまず店舗内の事務所で20分のビデオを見せる、その後衛生的にあまり問題の出ない部署に配置して1週間ほど経ってから2本目のビデオを見せ、次の部署への配置に持っていく。あるレストランチェーンでは新入社員が入ってから基礎教育のあと店舗体験をさせてからしばらくすると1週間の衛生カリキュラムがあり、店舗での体験を元に、ゴキブリ対策や手の洗い方、機器の洗浄の方法などを教える。

少しづつ、繰り返し、定期的に教育する

効果的な方法のひとつとして「毎日の1分間ミーティング」がある。テーマをひとつに絞って、それだけについての教育をする。テーマというのは例えば「粘着ローラーの使い方」で、なぜ使うのかについて「髪の毛は普通の人で一日平均50本ほど抜けます、埃も着替えるときに作業衣に付着します、これを放っておくと製品に混入してしまいますから、粘着ローラーを丁寧に使って取り除く訳です」という事を教えたうえで、実際に髪の毛が混入クレームの事例を見せる。ただ粘着ローラーを使えというのではなく、なぜ使うのかを教えるわけだ。そんなことはわかっているだろうと思うかもしれないが、はっきりと教えることによって、強制的に使わせられるという感覚から「大切なことなんだ」という実感になり、使い方が違ってくるものなのである。
次の日には「粘着ローラーのかけ方」について1分間教える、次の日は今度は「手の傷やあかぎれについて」で、「傷には黄色ブドウ球菌があり、これが食品に混入すると急性の食中毒になります。事例のひとつですが2000年夏にあった牛乳事件では、この細菌が作り出したエンテロトキシンという毒素が原因で何千人もの食中毒が出たのです。ですから、手袋をするのです。あまりひどい場合には食品を直接触るラインに治るまで入らないように配置を考えますから言って下さい」という。
こういった形で毎日行なうのだ。毎日のテーマだが、食品衛生の本や参考資料、保健所などにあるパンフレットから作っていく。テーマは連続した話になる方法も良いが、これだとカリキュラムを設計するのが結構大変なので、ランダムに、脈絡が無くても良いから、気が付いたこと、とりあえず自分の工場にとって問題のあるものからはじめて行ったら良い。テーマはHACCPチームが作るわけだが、例えば100のテーマが出来たら、毎週5テーマづつ行なうとして20週分、5ヶ月近くの分が出来るが、これが全て終わったら、もう一度全く同じ内容をまた繰り返したら良い、くりかえして教えるわけである。あるいはそれまでの中で徹底されていないものを選んでそのテーマを選んでもう一度行い、これに新しい時事的なテーマを加えていく方法も効果がある。衛生教育を丸一日かけて集中的に教えるのもひとつの方法だが、まとめて教えても忘れてしまうし実感が伴わないことが多いので、少しづつ、毎日教えるわけである。

一点突破

ひとつのテーマに集中して長期的に行なう、例えば「毛髪混入クレームを無くす」で、このための対策を集中して行なう。対策は多岐にわたる、工場に来る前に家を出るときに髪をブラッシングをする、着替えの時のポイント、粘着ローラーの使い方、エアシャワーの掛かり方、作業中の注意事項、トイレや休憩での注意、常に目視での確認、製品パッケージ時の見付け方、といった作業の一連のことに加えて、パッケージ場所の照明を明るくしたりサニタリールームの設備資材の改善、原材料サプライヤーへの教育や監視などを並行して行なうのだ。
このひとつのテーマを徹底して行なうためには、半年や一年はかかることになるが、良く考えてみれば一般的衛生管理の多くを結果的に行なうことになるわけである。テーマはたったひとつなのだが、結局は一般的衛生管理の徹底につながる。毛髪について終わったら次は「異物全般」についてのテーマでまた一年徹底する、といった形で進めていく。
クレームの多い毛髪を始めとする異物混入から進める例を言ったが、もちろん食中毒菌対策に集中して、例えば「一般生菌数低減」のテーマで、数値目標を現場や製品、あるいは工程ごとに設定して進める方法も良い。大切なことはあれもこれもやらなくてはというと結局何をしたら良くわからず、あるいはやることが多すぎるというパニックやストレスにつながってうまくいかなかったりするのなら、たったひとつのテーマだけに集中して行なったほうが効果があるということなのだ。

大掃除、中掃除から

大掃除は年に2回行なったほうが良い、時期としては5月と11月で、5月は夏の食中毒シーズンの前、12月は年末の繁忙期の前だ。中掃除は例えば「毎週木曜日」といった形で、週の中で比較的清掃時間がとれる曜日があればそこで行なうようにする。大掃除中掃除を行なうと、やったあと気持ちが良く、こびりついた汚れが無くなるので毎日の清掃が楽に効率的になる。この中で一般的衛生管理の重要性が自然に教育されることになる。

ある総菜工場ではHACCPの構築を2年間で行なうという宣言をして、土台となる一般的衛生管理の構築からはじめたのだが、現場が反発したり言うこと聞かないで、こんなことでHACCPなんか出来るのかという状態だった。しかしそれでもめげずにHACCPチームは繰り返し、しつこく、いろいろな方法、1分間教育、ビデオ、初歩的なチェックリスト等を行ない続けていったら、約1年後に突然現場が「毎週木曜日に大掃除をする」と言い出した。これ以降全く自然にHACCPの構築が加速されていったのである。大型のトレーラーを動かすとき、最初の加速は大変でのろいが、スピードがある程度まで出て来たら、あとはスムーズに動きだす、これと同じだ。

入場と退場の手順

入場
  1. 着衣、着帽、長靴掃く。ポケットにものを入れない。
  2. 粘着ローラー。
  3. 手洗い。
  4. 乾燥、消毒。
  5. 長靴洗浄(機械式を使う場合はここで行なう。手でブラシを使って洗う場合は手洗いの前に行う。退場時に行ない、クリーンで湿度が低い長靴置き場に置く場合は、入場時の長靴洗浄は行わず、踏み込み式の消毒槽を通す方法でも良い)。手すりの付いた長靴洗浄機では、手首の辺りを乗せて指示するようにする、手で手すりを握らないようにする。
  6. エアシャワーは、手洗いの後の乾燥消毒を終えてからの工程のどこかに入れる。
退場
  1. 手が汚れている場合は、各作業室の手洗いで洗う。
  2. エアシャワーを通らないで、退場する。エアシャワーを通らなければ外に出れない場合は、エアシャワーはドアのある単なる通路として扱う、通過して通る。
  3. 退場時に長靴洗い機を通す方法は、工場内で長靴に付いた食材などを付着させたままにしないために有効。
  4. 長靴の保管場所は、乾燥した場所にする。

フードチェーンについて

今までで、土台となる一般的衛生管理(一般原則、PRP)と、OPRP,CCPの、緊急構築が終わり、これを実施していけば、基本レベルの安全管理が出来る。
少し落ち着いたところで、ISO22000についての少し詳しい解説をしばらく書いていってみる。
フードチェーンについて:メーカーだけで安全にできない



生産から製造までのチェーン

原材料由来が原因で回収になってしまう事故が多発しています。
長い間製造販売している製品に「アレルゲンが混入していた」ことがわかり、回収になると入った多くの事例では、加工品メーカーで問題は無いのに、これに入れる添加物、香料、副原材料にアレルゲンが入っていたことが多くの原因です。
自分の工場では大丈夫なのに、仕入れる原材料に問題があるということは、仕入れる原材料全ての安全性を検証する必要があります。
自社工場にとどまらない、この大きな範囲を、ISO22000では「フードチェーン」と記述しています。
食品が製造されるためには「作物生産者」「資料生産者」一次食品生産者」といった、大元の生産物があり、それが「食品製造業者」というメーカーに入って加工されます。この作物生産者から食品製造業者までの流れが一つのフードチェーンになります。この流れは1本ではありません。野菜と肉を一緒に加工するメーカーでは、多くの野菜生産者と、肉の生産者のフードチェーンがあります。更に、調味料や副材料のチェーンがあります。
メーカーに入る時点で、多くのフードチェーンがあり、これらの「関係者の一体となった努力」を通じて「食品安全」を「確保」する、というのがISO22000の基本的内容です。

ISO22000、ISO22002、FSSC22000に関する解説記事

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