石川県 ホテル旅館の食品衛生


社説 〔旅館の食品衛生〕 「ハサップ方式」に本腰を

掲載日:2002/07/07 媒体:北國新聞 ページ:5 文字数:863

 石川県は、旅館やホテルなどの大型宿泊施設に対して、厳格な食品衛生管理方法であるHACCP(ハサップ)に準じた衛生管理の導入を指導している。調理の各過程をきめ細かくチェックして食中毒を防止する狙いである。各施設は取り組みに本腰を入れ、食の安全性をより高めてもらいたい。さらに、ハサップの手法をよく理解し、実践できる調理関係者が増えることを期待したい。

 米国で考案されたハサップは、食品の材料搬入から加工、保存、流通の各段階で発生する恐れのある微生物汚染などを分析し、重点的に管理する事項を決めて監視するものである。

 日本では厚生労働省の承認制度があり、食品製造企業が導入を進めている。業種は異なるが、旅館などの大型宿泊施設はいったん食中毒が発生すると被害が大きいため、県は、料理手順などを調べてハサップを応用した旅館の自主衛生管理マニュアルを作成した。

 マニュアルには、食中毒菌の汚染や増殖を防ぐための具体策が記され、メニューごとに調理過程のチェック項目や設備の管理、作業上の留意点などが示されている。県は講習を通じて、施設に応じたマニュアルづくりを呼びかけているが、関係者は、これまでの作業手順と施設を点検して、不十分な個所を改善していかなければならない。県も適正な指導と監視を行う必要がある。

 石川県内には百人以上宿泊できる施設が約百七十軒ある。昨年、県内で発生した食中毒十七件のうち三件が旅館で、その患者数は二百三十五人だった。夏場に増える食中毒を防ぐために、どこに危険が潜んでいて、どうすればそれを防ぐことができるかを認識するハサップの考え方は、規模や内容にかかわらず、食品関係者に広く求められるものであり、浸透させたい。

 例えば、食品関連企業などへのハサップの普及を目指している北陸HACCPシステム研究会は毎年、実務に関係している人を対象にした講習会を開催し、今年も八月下旬に金沢市内で開く予定である。旅館やホテル関係者らも、こうしたより実践的な講習会に積極的に参加し、食品衛生のレベルアップを図ることが望まれる。


株式会社 フーズデザイン 加藤光夫