作業室の温度

2013/05/01 20:17 に 加藤光夫 が投稿

特に低温管理を要求される工場、精肉や魚介類のパック工場など生鮮を扱う、低温での管理や製造が必要な場合、何度に設定すれば良いか、あるいはその基準があるのか、といった質問があるが、公的な基準は無い。

これは、費用と効果の中で、3段階のレベルで考えると良い。

レベル温度費用製品の製造作業時間
冷房20℃素早く終わるサクの加工
10分以内のスライス盛り付け
中温15℃ある程度時間がかかる20分以内の小型盛り合わせ
同じく精肉のパック
サンドイッチやサラダの組立
冷蔵5℃かなり時間がかかる20分以上かかる刺身大型盛り合わせ
同じく精肉パック
枝肉の部位別分割とトリミング

冷房レベルは冷房機で設定出来る最低温度程度で、費用は最も安い。刺身用のサクやブロックの加工、刺身のスライスパックでも小型で10分以内の短時間で終わるような環境温度の影響が少ない作業なら、この温度で問題無い。

中温レベルは、冷房レベルでは温度の影響を受けて、ドリップや変色の直接的原因になったり、直接ならないまでも加工パック後早めに影響が出てしまう場合、例えば、パック直後は問題無くても、小売店に配送後早く変色やドリップが出てしまうような場合だ。喫食するまでに時間がかかれば食中毒の危険も出て来る。刺身なら時間がかかる盛り合わせ、精肉ならばしゃぶしゃぶ用のごく薄いスライスパックやひき肉製品を大量に製造する所などだ。
ある精肉パックセンターで、ドリップや変色といった品質レベルのクレームが年間300件ほどあり、「仕方ない、こんなものだろう」と、この大量のクレーム対策を真剣にとらずに放置しておいたが、次第に受注が減って行ったため調べたら、競争相手に次第に代わって行っていたことが分かった。そこで抜本的な対策を探って行った所、在庫の回転の悪さが一つ、スライスパックの温度管理の問題ということになった。
在庫の回転については、在庫管理、というよりも原材料倉庫の乱雑さによって原材料の鮮度が落ちていることが分かった。在庫管理を徹底したら在庫量は半減し、鮮度が良くなった。
スライスパックの温度管理は、作業のスピードと作業室の温度だ。冬場以外は20℃を十分に越えていた室温を、空調設備を強化して15℃設定にした。重ねて製造工程と手順の改善で、作業時間のスピードアップをした。
結果、変色やドリップのクレームは9割減になった。
設備は冷房レベルよりもかかるが、冷蔵庫ほどではない。最近この中温レベルの作業室を設置する工場が増えており、メーカも対応しつつある。

低温レベルは冷蔵庫と同じだ。作業室全部をこれにするにはそれなりの費用がかかる。枝肉を解体してブロック肉にする作業室で、アウトサイドスカート(ハラミ)やハンギングテンダー(サガリ)といった薄い、小さい部位を、鮮度良い状態で加工して出来るだけ高い価格をつけたい加工場や、例えば米国の日本向けの高品質牛肉の加工場などは、5℃設定にしている所が多い。

低温作業は低いほど良いが、設備費用の問題、そして従事者の「寒い」という作業環境を考慮して決める。

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