総菜、給食工場のHACCP

2013/05/07 19:31 に 松本リサ が投稿
総菜、給食、ケータリングなど、多くの原材料を使い、調理も多種類に及ぶ食品工場では、どのようにHACCPを構築していったら良いのか、方向がつかめないといった声をよく耳にする、質問もよくある。
HACCPの構築は製品ごとに行なうので、例えば50種類のアイテムがある場合、50品目のHACCPを行なわなければならないと考えるのだが、少量多品種がほとんどの工場が普通なので「現実として出来ない」と考えてしまう。しかし、そんなことはない。
FDAが1998年に発表したレストラン向けのリテイルHACCPでは、すべてのアイテム(メニュー)を3つに分けるという考え方である。
1:加熱調理工程の無い食品加工(サラダ、刺し身、寿司、サンドイッチ)
2:加熱調理して、その日のうちに提供する食品加工(揚物、焼き物、煮物、蒸し物)
3:複雑なプロセス(弁当などの電子レンジ加熱、スープ、ソース、弁当)
となる。総菜工場などでは、これをもう少し拡大して、調理群別にまとめて構築する。
例えば兵庫県の「集団給食・弁当調整施設」食品衛生管理プログラム認定基準では、米飯、煮物、焼き物、揚物、炒め物、蒸し物、和え物、サラダと果物、生食用鮮魚介類(刺し身・寿司など)、といった分類になっている。
調理群別ということは、調理機器システム別にすることになる。例えばフライ調理の場合、コンベアフライヤーで、天ぷら、唐揚げ、豚カツといった全てのフライアイテムを行なう場合、下処理はそれぞれ違うが、HACCPのCCPに当たる加熱調理殺菌は全て同じで、調理後中心温度が75℃以上、あるいは油の温度とコンベアのスピードといった連続的な監視、でHACCPを行なうことが出来る。グリルでも、全てをスチームコンベクションオーブンで行なっているならば、このHACCPを構築することになる。CCPは「75℃」で、内蔵の中心温度計でモニタリング、となる。
調理機械に入れる前段階は、下処理や調理直前のセットアップになるので、この工程は一般的衛生管理で行なうのだが、下処理室での一般的衛生管理は、個人衛生、清掃と洗浄、といった「5S」で行なうのが基本であるから、これは多種類のアイテムでも共通である。
例えば、グリルアイテムの場合、製造工程は、受入れ→保管→計量・混合→グリル→冷却→盛付け→冷蔵保存→出庫、といった工程になり、それぞれの工程の、危害の原因物質、危害の発生要因、発生防止処置、PP or CCP、管理基準、モニタリング方法、改善処置、検証方法、記録文書名、を設定していくことになる。
HACCPの構築は、例えば、煮物(蒸煮窯でのHACCP)、焼き物(スチームコンベクションオーブンでのHACCP)、揚物(コンベアフライヤーでのHACCP)、炒め物(回転炒め釜でのHACCP)、蒸し物(スチーマーでのHACCP)、和え物・サラダ・果物・サンドイッチ・刺し身・寿司などの生食(生食の低温室での組み立て管理、例えば10℃以下の保持と保管のHACCP)といったものになる。
この工場はどういった形がよいか、ひとつのモデルを解説する。原材料は、原材料群別と温度帯別に保管される。これが準清潔ゾーンになる下処理室に出されて製造作業の最初の部分が始まるが、これはその日の製造アイテムと製造順に合わせてスケジュールを作っておき、必要な量が下処理された後、品群別にパススルーの冷蔵庫に保管される。このパススルー冷蔵庫は普通の冷蔵庫でももちろん構わないが、調理室との間の完全な隔壁としても使えるし、衛生管理も徹底させることが出来る。
サラダやサンドイッチなどの生食の原材料は、他の原材料とは別に、生食ラインに直通の冷蔵庫に保管される。サラダで使われるトマトやレタスといった野菜が、煮物や着物用のポテトやタマネギ等と一緒に一時保管されるのは良くないからである。そのため、余裕があるならば、生食の下処理室は仕切ったほうが良い。
加熱の調理室は、ボイルとスチームライン、グリルライン、フライラインの3つのラインが並列に並んでいる。隔壁は、小型の工場ならば無くても良いが、フライラインだけは油煙による汚染を防ぐために隔壁で仕切ったほうが良い。大型の施設なら、全てを仕切ったほうが良い。
ゾーニングは準清潔ゾーンにする場合と、ここから清潔ゾーンにするのと、2通りの考え方が出来る。クックチルの場合なら、ここまで準清潔ゾーンにして、このあとの冷却の工程を清潔ゾーンにする考え方になることもあるし、調理後に放冷してからサンテナーにするのならば、ここから清潔ゾーンにする考え方も出来る。冷却、インナーパッケージ室は清潔ゾーンになる。
一方、生食の調理組み立てラインは、下処理室から引き出した原材料を組み立て始めるところから清潔ゾーンになる。加熱調理工程が無いので、低温に維持したまま調理組み立てからパッケージまでを慎重に行なう必要があるからである。
インナーパックが終わったものを箱詰め又はセットする作業室は準清潔ゾーンになり、製品保管庫から一般ゾーンになる。
病院給食などで食器が下膳されてくる場合、出庫側に近い専用のゲートから入れ、洗浄後、セット室に直接入れられる場所に倉庫を置く。真空パック用のフィルムやトレイの場合も同じ考え方になる。
このモデルでは、製造から出庫までの動線は一直線になっているが、土地や道路の状況に応じて、L字型、U字型の動線でも出来る。
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