ユニフォーム選定の10ポイント

2013/04/07 20:27 に 松本リサ が投稿   [ 2013/04/07 20:28 に更新しました ]

















異物混入対応 - 作業衣自身からと着用者からの異物混入防止

作業衣自身からは、ボタン、ファスナー、ほつれや糸くずといったものになる。ボタンは糸の脱落もあるので使わないほうがよい。ファスナーは、脱落しないものがよい。
着用者からは、わき毛、腕や脛毛などの体毛がある。これらの落下を防ぐためには、脇、ウエスト内部、パンツの裾のインナーネットがあったほうがよい。特に半袖の作業衣が必要な場合、脇下のインナーネットは必須だ。インナーネットは閉めすぎると腕に負担がかかるので、調整できるタイプが良い。
ポケットがあると、中に物をいれなくても、埃や、洗濯で異物が入るので、無いほうがよい。ロッカーが暗証やダイヤルではなく、鍵を使ったタイプだと、鍵を入れる場所が必要になるが、パンツのウエストベルト内側に、キー専用のマジックテープ留めタイプの小さなポケットを付けられると対応出来る。

素材対応 - 低発塵、低付着、非透視

繊維そのものでの対応は発塵で、激しい使用、接触やこすれ、老朽化による塵や繊維破片の脱落が無いものがよい。
次は付着対応で、埃やゴミ、毛髪、粉体を扱う工場では粉の付着などが無いほうがよい。静電防止機能等がある。
素材によっては下着が透けて見えそうなものがあるが、女性従事者が多い食品工場では着用を嫌がることになってしまう。非透視対応が必要だ。

バクテリアと臭い対応 - 抗菌消臭機能、汚れにくく、洗いやすく、汚れが落ちやすい

作業室は、無菌ということはありえない、また、作業者と作業環境からの臭いに対応した、抗菌消臭機能があったほうがより良い。
これは、食品工場の機能と同じことだが、汚れにくく、洗いやすく、汚れが落ちやすいものの方が良い。

環境対応 - 温度、湿度などへの労働環境対応

食品工場の温度、湿度は様々だ。同じ工場でも、高温になる加熱調理室もあれば、低温の環境もある。素材と関係するが、通気性と密閉性、清涼性と保温性といった、作業環境に対応した機能を持ったうえに、統一したデザインが出来るとよい。
ある弁当給食工場では、フライヤー、煮物、オーブン、炊飯室は、40℃以上にもなる場合もあるが、冷却室、盛り付け室は夏でも15℃以下の低温、そして、食器洗浄室は、洗浄の湯と蒸気で、高温かつ湿度は百パーセント近くにもなる。こういった極端な環境が一つの工場内にある場合、統一デザインのユニフォームを作るのは大変だ。

識別とカラー対応 - ゾーニング、作業意識に対するカラー対応

食品工場はゾーニングによって衛生管理、交差汚染の無い構造が望ましいが、作業衣もこれに対応したい。ウェアの色を変えたり、同じウェア色でも、肩、脇、腕の一部にカラーストラップを巻くとか、デザインを入れたパーツを使うなど、ゾーニング別に変えることが出来ると、衛生管理の認識もイメージでハッキリとなる。
例えば、床とウェアの色を同色にする。汚染ゾーンは薄いオレンジ、準清潔ゾーンはイエロー、清潔ゾーンは薄いブルーにする。この色の選択は、信号機の色をイメージしている。
どのような色にするかは、作業環境に影響する。暖色系は暖かさ、寒色系は冷たさを感じるので、低温作業室なら暖色系、高温作業室なら寒色系を使うことで、作業者の温度に対する負荷を軽減できることにもなる。

オプション対応 - 管理者用など、特別仕様に対応できる

作業従事者用はポケットは無いほうがよいが、管理者、監査、監視者などには、様々なオプションが必要になる。温度計等の測定器装着、構内携帯電話入れ、ネーム刺繍やラベル装着、ファイル入れなど、色々な要求に対して対応出来ることが必要になる。

キャップ、マスクとの一体化 - 作業帽とマスクにフィットしている

帽子との相互安全機能が無ければならない。顔と頭部には最も落下物がある。毛髪、1/3の人の鼻の穴の中には急性食中毒の元になる黄色ブドウ球菌があると言われている、ニキビ、吹き出物、肌荒れも同じ菌の温床だ。
頭部顔面からの落下を防ぐためには、キャップとマスクの組み合わせ、及び、作業衣と一緒にすることによる相乗効果があるとよい。キャップとウェアの接合が合わないと、漏れが出る。キャップから毛髪がはみ出ないように、密着するようになっていたほうがよい。高温作業室ではウェアが清涼タイプになっていても、キャップが対応していなければ、汗で毛髪が抜けやすくなる。マスクの装着が効果的になっていないと、作業者の負荷になったり、漏れが出る。
ある日配品工場では、作業衣とキャップを新しくしてから、毛髪混入のクレームが激減した。ところが6月になって暑くなったため「夏場だけ」ということで、以前のものに戻した直後、毛髪混入クレームの嵐になってしまった。一つのクレームに対応するコストと信用の失墜は、莫大なもので、直ぐに清涼タイプのセットに切り替えた。

提案対応 - 費用、ニーズに対応

食品工場側のニーズは様々だ。また、ニーズというのは、食品工場側が「我が社のユニフォームの機能はこれが必要」という形では出て来ない。ニーズというのは潜在的なもので、相談、状況、イメージ、今までのクレームといったものを、食品工場側とユニフォーム提案者側が話し合い、意見をやり取りしながら、ウェアの機能と製造技術がわかっているユニフォーム提案者側が「それなら、こうしたらどうですか?」と言い、「そうだ、それが欲しかった」という工場側の声が発せられたとき、「ニーズに対応」したことになる。ニーズはお互いのディスカッションから引き出すものだ。
ある生鮮センターが高機能のユニフォームを検討しているとき、その従事者数なら、レンタル又はリースにすると、費用が安くなるだけでなく、洗濯と、納品時のグループと個人識別対応もできるので、その方が良いのではないかとの提案があった。結局その方式にし、良好なので他の関連工場にも紹介しているという。

ソフトウエア対応 - 使い方、ルール、マニュアル、教育、訓練対応

安全にするには、ハードとソフトの両面で対応しなければならない。作業衣とキャップそのものがハードになるが、これの着用方法、使い方はソフト面だ。
高機能のハードを装着して機能を最大に発揮させるには、装着の手順、着方付け方、作業中と休憩時の方法、禁止事項やルール、保管の方法、粘着ローラーやエアシャワーのかけ方など関連の対策との連携など、認識と訓練が必要になる。
新作業衣への移行時には、全員、あるいはグループ別に解説と訓練が必要だが、その後の新従事者が入った都度、担当者による訓練、あるいはビデオやイラスト、マニュアル等で、定期的な作業衣関連の教育ができるように、メーカー側と工場側両方が共同で対応する必要がある。

スマート対応 - かっこ良さ、意識、プライドなどの精神面

スマートという言葉は「かっこ良さ」に「知性」を加えたものだ。
以前、米国の食品工場で「スマート」なユニフォームを見つけて、持ち帰った。それを持って、食肉と魚介類を加工パックしている生鮮センターに行き、試しに食肉作業室のユニフォームを同じタイプのデザインに変えた。
色はブルーで、肩にスマートなストラップラインが入り、コートタイプで腰のベルトがかっこいい。これに変えた途端、胸を張って誇り高く仕事をし出したことが目に見えてわかった。生産性まで上がってきた。そして、魚介類作業室から不平が出た「何で肉の方だけあれにしたんだ…魚の方もかっこ良くしたい…」
「あの制服を着たいから」という理由も学校の選択値の一つになっている。ファーストフードのアルバイト選択理由も同じ傾向だ。
機能的で、安全対応。同時に、スマートなデザインによって、従事者の募集から、やる気のある、意欲のある工場にすることが出来る。
ユニフォームのデザイン、選択は、安全性だけでなく、精神面の意識改革、プライドにもつながる。いいユニフォームで、素晴らしい工場にしよう。

〔月刊「食品工場長」原稿〕
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