原材料のトレーサビリティーを最低レベルで構築する

2013/05/19 22:25 に 松本リサ が投稿
異物の付着や混入、食中毒菌に汚染されているなどの原材料からの危害を防止することで、Codexの一般的原則では「3.原材料の生産」で、「3.1.環境衛生、3.2.食品の源における衛生的生産、3.3.取扱い、貯蔵及び輸送、3.4.原材料の生産時の洗浄、保守管理及びヒトの衛生」の項目になっている。

自分の工場内でいくら衛生安全管理を徹底しても、最初から危害や問題のある原材料を使っていたのでは、根本的な問題は無くならない。原材料が完全に近ければ我が工場のクレームは激減すると悔しい思いをしているところはかなり多いことだろう。安全性の確保のためにはまずトレーサビリティーを構築するのだが、ICチップなどの究極のシステムまでいかずとも、まずすぐに、最低レベルで構築するだけで、何もしていないよりも飛躍的に進歩する。

1.生産履歴

生産履歴を記録してもらい、ロット毎、季節ごとなどに報告をしてもらうように義務づけることになるが、生産者としてはいきなり言われても何をどうしたら良いのかわからないところも多い。そこで第一ステップとして「生産日記」なるものを付けてもらうところから始めたら良い。毎日対象作物に何をしたかを簡単に付けてもらうのだ。

ほ場を整備した、種を蒔いた、その後の毎日の天気、肥料、農薬を使ったらその量、収穫パッケージをし、倉庫内の出荷までの温度。ノート一冊あれば出来る。このコピーが納入先にいくようにする。これでかなり目的を達せられる。

出荷時のケースには、生産者か集荷する組合などのどこかで、最低レベルの情報を箱にラベルで貼り付けるなり、少ロットならば手書きでも良いから入れる。例えば「メークイン.美瑛.加藤光夫.10/4箱詰め」といった具合に。記号、イニシャルでも良い。

2.原材料加工工場

凍菜加工、ブランチング加工、洗浄カット後のパッケージング、ポテトやごぼうなどの洗浄皮むきカットなどの半加工品工場での管理になる。

原材料の生産履歴だが、このような加工工場では一ヶ所の農家からの原材料だけを使うことはあまりなく、いくつもの生産者からの原材料をミックスして、あるいは順次使っていくことになるので、それらロットがトレースできるようにする。

最低レベルを行なうためには、生産ロットを入れた原材料を仕入れるようにして、その日に使った原材料に記載されている情報をノートにつけることである。

これを、首都圏にあるデリカテッセン工場へ納入する皮むきポテト工場は、その日に加工した原材料の情報として、ラベルに印字するなり、それが出来ないのならば納入伝票に入れる。もしその日製造中にこのロットが無くなって、次の「メークイン.高橋守雄.10/6」に切り替えた場合、皮むきポテト製品への表示に反映されればもちろん良いが、生産ラインの中で混じってしまい、分離して正確に表示することが出来ない場合には、この二つのロットを並べてその日の製品情報に入れる。これでは完全な履歴にならないというかもしれないが、少なくとも二つの原材料のどちらかか、ミックスされた皮むきポテトだということまで絞り込める。

皮むきポテト製品にこの表示をすることが出来ない、あるいはかなりの手間になって難しい、という場合には、表示をしなくても良い。但し、その日に使った原材料の記録だけはきちんと取っておく。製品には日付は入るわけなので、納入工場からトレースデータを要求されたら、日付を言ってくれれば、その製品に使った原材料が工場でわかることになる。

その日に使った原材料をノートにでもメモしておくだけで、かなりのトレーサビリティーになることになる。増える仕事はたった一つ、使った原材料の箱にかいてあるデータをノートにつけるだけだ。

皮むきポテト製品は冷蔵庫で出荷を待つ。この冷蔵庫の温度が記録されていることと、製品の冷蔵庫に入れてから中心まで冷える規定の時間置かれていることが記録によって確認できるようにしておく。これは製品を冷蔵庫に入れる時間と、出荷の時間の両方が記録できていればOKになる。マニュアルには何時間以上冷蔵庫で冷却されること、という項目になり。一度確実に中心まで冷えているかを検証すればよい。

3.輸送

福島から東京のデリカテッセン工場までの運送中の温度を記録しておき、納入した時点での温度を計測して納入伝票に記入するなり、納入工場の検収で計測してもらう。輸送中の温度記録はタコグラフなりデジタルでの温度記録になる。福島の工場で積み込んだ時間と、途中の経路で例えば2ヶ所下ろしていったような場合でも、積み下ろし時間と温度記録を見れば安全性を検証できる。

4.そして追跡

東京のデリカテッセン工場では使った原材料のロット情報は全て記録をしている。野菜類の原材料は、カット、洗浄をする下処理室に入った時点で記録される。そこで、何らかの問題でポテトサラダに使ったポテトのトレースをすることになった場合、まず、ポテトサラダの日付を見る。そしてその日使ったポテトのデータで見たら、10/10だった。そこで福島に10/10の皮むきポテトは何を使ったのかを見たら「メークイン.美瑛.加藤光夫.10/4箱詰め」となっていた。そこで美瑛の加藤光夫さんに連絡をとり、そのポテトの生産履歴あるいは日記をファックスしてもらう。
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