原材料の検収と保管

2013/05/01 23:26 に 加藤光夫 が投稿
輸送時の温度チェック

食品や食材の偽装が次々に報道され、食品メーカーは自社が購入している原材料や製品が大丈夫なのかどうか、調査がいきなり大変になってきた。

自分の購入するものと同時に、販売先からのチェックもいきなり厳しくなってきている。

買う側も売る側も安全性、間違いについての監視、管理が重要になってきている。しかしこれは、金を出して購入しているのだから当然だ。

十年ほど前のことだが、米国の食品輸出業者が「日本のユーザーは自分が買った原材料の監視がずいぶん甘いけど、どうしてか?」と聞いてきた。

冷凍やチルドの食材をコンテナーで輸出しているが、ほとんどのユーザーがコンテナーに入れる温度計を指示してくるのに、日本のユーザーだけが何も言ってこない、ということなのだ。

この温度計は、食品の箱の中に入れ、コンテナーを閉めて封印をしてから、船積みされ、相手の国に着き、通関をしてから、ユーザーの倉庫に入るまでの温度を監視するもので、これがあることで、その食品の状態が正常に輸送されたことを証明する。

この温度計の費用はたいしたことはないが、もちろん輸出業者側が負担する。それなのに、日本のユーザーだけは、知らないのか関心が無いのか、指定する所は少ないというのだ。「まあ、その方が、こちらの費用は少なくてすむからいいけど」と、この業者は言っていた。

食材を輸入する場合、製造工場から自社ものになるまで、保管温度が大丈夫だったか検査すべきだ。この輸送時の温度チェックは国内の輸送でも簡単に出来るカード式の温度記録システムがある。

緊急に原材料の安全性を確保する方法

一般の多くの食材を仕入れている工場で、緊急に原材料の安全性を確保する為には、原材料をふたつの群にわける事から始める方法がある。

問題になる可能性が多いものと、そうでないもの、この2つに分ける。

問題が大きい可能性のあるものは、一般的には肉、魚、青果、豆腐などの冷蔵日配などだ。温度、鮮度管理が悪ければそれが製品に跳ね返ってくる。

今まではそのまま受け入れて保管に回し、下処理に入ってから経験的に問題を見付け、慌てて入れ替えるなり、使わないなり、代換え品にしたりといった処置をとっていたりしていたものだ。

もうひとつはこれら以外全てだ。調味料、瓶缶詰め、乾物など。

そして、問題の多そうなグループのチェックを決め、そうでないものは今までのままにする。こうすると、チェックを厳しくする原材料が、例えば2割程度になり、集中することが出来る。全ての原材料のチェックをいきなり厳しくすると、業務に支障を来したり、持続出来ず、結局一時的なものになってしまうよりも、2割に集中した方が初期の時点では効果的だ。

次に、集中してチェックする内容を決める。

期限、入荷時の温度、目視確認、臭いや香りといった官能検査、色、試食など、その原材料の安全性と品質を確認出来る方法を組み合わせる。

科学的な検査は、温度や液体原材料、例えば原乳や原液の調味液などではpHやブリックスなど、検査機器で数値として見ることが出来るもの。これに官能検査、いわば経験を組み合わせる。

多種類の原材料を入れている工場では、短期間に効果を上げることが出来る方法になる。

ある給食工場では納入されていた豆腐の温度が高い為原因を調べたら、ただ単に常温の配送車で混載していただけだったことが分かり、豆腐は保冷ボックスに入れるようにしただけで簡単に解決した。

ある惣菜工場では、生鮮原材料の納品時、多忙で温度測定がなかなか出来ないでいた為、温度計を搬入場所に置き、納入者に自主的に温度を測ってもらい、記録してもらうようにした。これだけだとちゃんとやってくれないかもしれないので、週に1度程度、温度チェックに立ち会うようにし、これを納入業者にも伝えた所、確実に出来るようになった。これで軽微な問題がいくつか発見され、解決もできた。

原材料の保管

原材料の期限問題の事件を受けて、全国の保健所では食品工場の原材料に期限切れが無いか、各地で緊急の立入検査をしているようだ。

西日本のある工場では、冷蔵庫で期限切れの原材料がこの立入検査で見つかった。

工場側ではこの期限切れ原材料は分かっていて、廃棄処分するようになっていた。ところが置き場所が他の問題無い原材料と同じ所においてあるので、対策を指示した。

これは、工場側で分かっていても、監査でそれが区別されていなければ、それが本当に処分されるものなのかどうか判断が出来ないから当然こうなる。また、区別していないと、間違えてそれを使ってしまう可能性は十分にある。だから問題なのだ。

対策は、使ってはならない原材料や不良あるいは不良の疑いがある製品、食品は、誰でも分かるように隔離することだ。

冷蔵庫を別に出来るならよいが、そうもいかない所も多いだろうから、パーティションやチェーンで囲んで「使用禁止」とでも大書して明確に区別しておくこと。

更に、簡単に出来る記録の工夫も必要だ。いつ、どこから入った原材料で、いつまでに使わなければならないかを、まず入荷時に記録をする。そのあと、何ケースが、どの製品向けに使われて行ったのかを記録して行く。そして最終的に、いつ使い切ったのかが記録される。

これによって、期限切れが使われていない証明になると同時に、トレーサビリティーにもつながる。


著作:株式会社 フーズデザイン 加藤光夫

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