薬剤、化学物質を使わない防虫

2013/04/10 20:59 に 松本リサ が投稿   [ 2013/04/11 20:26 に更新しました ]
ポジティブリスト制度によって、化学物質を使用がかなり制限されたことにより、食品の安全性は高まった。
反面、食品メーカーや生産者は、農薬を始めとした薬品の使用を慎重にしなければならなくなった。自分の所だけにとどまらず、生産者は隣で使用している農薬の影響を受けるという「ドリフト」の問題もある。
たとえわずかの使用でも、最近の分析技術はごく微量でも検知出来るようになっているので、食品工場も生産者も、化学物質を使わない防虫システムが急務になってきた。

入出荷口でのシステム
ドッグシェルターは高価だが、虫の侵入を防ぐ最初の関所として有効だ。ドッグシェルターまで設置出来なくても、もう少し低価格で出来るシャッターや、ビニールカーテンとの連動、オートロックシステム、エアカーテンといったシステムを使い、入出荷口からの進入を出来るだけ防ぐようにする。
エアカーテンも、従来からの上から下に吹きつけるタイプとは別に、ゲートの左右の柱から、お互いに空気を交差させるタイプもある。これだと埃を舞いあげることなくガードすることが出来る。
シャッターやドアの下の隙間をブラシで塞ぐ場合、日光によるブラシの劣化が無いものを使わないと、ボロボロになったブラシの破片が異物混入の元になることがある。ゴムの場合、動く場所、例えばドアの下などに使うと、これもゴムが擦れて破片が出るので注意が必要だ。

気圧差
食品工場はゾーニングによって交差汚染を防ぐようになっているが、そのゾーニングのレベルに合わせて気圧を調整することで、外部からの虫の進入をかなり防ぐことが出来る。
ゾーニングは、原材料の受け入れと保管が「一般」または「汚染」ゾーンで、その次の段階の下処理で「準清潔」ゾーンになり、最終の調理からフィルムパックなどのインナーパックの所が最高レベルの「清潔」ゾーンになる。インナーパックをしたら安心なので、箱詰めをする所は「準清潔ゾーン」に落とし、製品倉庫と出荷の所が「一般」ゾーンとなる。
気圧だが、真ん中の清潔ゾーンの所に、フィルターを通したきれいな空気を最大気圧で入れ、その両側になる準清潔ゾーンはそれよりも低い気圧、外との接点になる一般ゾーンは最低気圧にする。この一般ゾーンの気圧は工場内では最低でも、外の気圧とは陽圧になるようにする。
記号でいえば、外の気圧が「±」の場合、一般ゾーンは「+」、準清潔ゾーンが「++」、清潔ゾーンが「+++」となるようにする。
こうすると工場全体が外に対して陽圧になるので、ドアやシャッターを開けた時、工場内から外に向かって空気が流れる為、虫が進入しにくくなる。
これが反対になっていると、外から工場内に空気が入ってきてしまうので、一緒に虫が入ってきてしまう。一度外との接点の風がどちらに向かって吹いているか調査してみたらいい。

捕獲とモニタリングの使い分け
虫を捕獲して、虫の種類や、外部進入か内部発生かをモニタリングする機器は一般的に使われている。分析によって防虫活動を行なえるので、効果的だ。
これとは別に、とにかく虫を捕獲殺虫するのに特化した機器も使うようにしたらいい。というのは、いくら対策を強化しても、ある程度の進入は避けられない。そこで、入荷口、出荷口といった、外部進入が明らかな所に、虫を捕まえるだけの為の大型の機器を設置するのだ。殺虫した虫の数を自動的にカウントする機器もある。

樹木、ハーブ、ニーム
防虫の為に食品工場の周りに樹木は無い方がよい。しかし、工場緑化法対応などでやむ終えなく樹木を植えなければならない場合、虫の好まない樹木を植える。
虫が好む樹木は、桜、杉、椿、つつじ、サツキ、クチナシなど。好まない樹木は、桧、ヒバ、楠、カシ、シイ、ジンチョウゲなど。(なお、工場緑化法は緩和の動きがあるようだ)
畑の周囲に、ハッカやカラシなど、ハーブ系の草木を植えているのを時々見かける。これは、ハーブ系は虫が嫌うので、虫を畑に寄せ付けない対策だ。オーガニックの生産等でよくやられている。
ニームというのは南方系の木で、イナゴの大群が来て農作物を食べ尽くされても、ニームの木だけは何ともない所から防虫に利用されてきており、近年、欧米を中心に天然で安全性の高い殺虫剤の成分として需要が高まっている。
効果は学術的にも証明されており、ポジティブリストで「使ってもよい」物質に指定されている。
ニームの木は8メートルぐらいの高さになり、その実の種の中が防虫に効果があり、これがニームオイルという形で輸入されている。
但し、純度の高いニームオイルをそのままゴキブリにかけてもすぐに死なず、2週間ぐらいしてから死ぬ。遅効性なのだ。
食品工場では即効性が必要だ。
日本でもいくつかの企業が防虫資材として製品化をしているが、その中でもデータと証明書を持ち、即効性があるのは、米国環境庁によると、日本エコロジアの「バイロハス」シリーズがある。
これはニームと他の天然素材を組み合わせて即効効果を持たせており、全く化学物質を使っていないので、ポジティブリスト制度に完全対応出来る。
使い方は、入出荷口周りに塗る(1〜3ヶ月頻度)、工場内の床や排水溝周りに撒く(毎週)という方法で虫が寄ってきません卵まで殺します。工場周囲の草木に撒いても効果があるので、青果農畜産物の生産場所にも使える。この製品はサンエスで販売を始めました。
Comments