洗浄水の温度

2013/05/01 22:27 に 加藤光夫 が投稿

ある魚介類加工工場では、近くの港湾卸売市場から仕入れた近海物の魚を仕入れている。産地明快。

朝一番で競り落とした魚介類は、主としてレストラン向けの半加工品に加工するため、氷詰めで工場に運ばれる。

クラッシュアイスをたっぷり入れた原材料は、理想的な温度に冷えている。これを、内蔵を取り、骨を外し、フィレ(骨無し半身)に加工する。あるいはフィレを更に刺身や寿司用の切り身にまで加工するのもある。寿司用は小売店や総菜ショップに納入され、シャリ玉に乗せられて寿司として販売される。

工場に入った原材料は、頭を取り、内蔵を取った段階、つまり下処理したあと、機能水で洗われる。制菌、殺菌をするわけだ。

ところが、この機能水は、工場の二階の装置でつくられるのだが、温度は常温なのだ。装置のある場所は普通の部屋なので、夏場はかなり高温になる。チラー水装置はかなり高価なものになるので、だいぶ以前この装置を導入するとき、入れなかったのだ。

ということは、漁港市場から氷で十分に冷やして最高の状態で仕入れたあと、下処理して、加工の最終段階になって、洗浄水で一気に温度を上げてしまうのだ。

工場では今まで機能水で洗浄するので、衛生管理、安全管理は出来ていると思っていたのだが、このことを指摘され、愕然とした。

温度を実際に測ってみたら、入荷時は4℃前後で理想的。そのあとの頭を取り、内蔵を取ったあとでも大した時間が経っていないので、6℃程度。そのあとが問題なのだが、機能水の温度は暑かったこともあり28℃、そしてこれで洗浄したあと、フィレにしてからの温度は、表面が15℃、中心だが、小型の魚は薄いので、10℃を超えているのもある。大型の切り身は厚さがあるせいか、それほど影響は受けていないが、それでも10℃近くになっている。

せっかく冷やしていた原材料が、下処理を終わった所で一気に温度を上げてしまっている。機能水洗浄による制菌効果ではなく、温度上昇、鮮度一気に劣化事態になってしまっているのだ。

このあとフィレは冷蔵して納品するが、一度温度が上がっているので、急には冷えないし、鮮度劣化してしまったのを慌てて冷却してももう元には戻らない。

更にこのあと寿司用の切り身に加工する製品は、もっと小さくなるわけだから、作業場の温度が5℃といった冷蔵庫レベルならともかく、普通の冷房レベルの作業室ならすぐに温度が上がってしまう。

要するに、せっかくのよい原材料があるのに、工場で鮮度を落としていたわけだ。

チラー水を使うことが必要だ。


著作:株式会社 フーズデザイン 加藤光夫

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