効果的な異物混入対策 最終段階の目視発見

2013/04/07 19:50 に 松本リサ が投稿
人に対する危害ではないが、多発すると工場の危機になるのが、毛髪、虫、ゴミ、埃、といったものである。
これらの対策はHACCP本体ではなく、一般的衛生管理で管理するものだが、抜本的対策はない、やさしく言えば、5Sを徹底して、皆で気をつけよう、ということに集約される。
とは言っても、何とか良い方法、アイデアはないものかと方策を探し続けているのが人情だろう。そんな中で、最終段階での目視を徹底する方法はかなりの効果を上げている。
 

点心製品を製造しているある工場では、最終的なパッケージ工程で、作業者がパックの上、下から一つ一つのパッケージをのぞき見て、異物が無いかどうか目視確認を徹底させている。
この工場ではHACCPの構築を始めており、1年間かけてHACCPの土台となる一般的衛生管理の構築を実施している段階。これからCCPを設定して本格的なHACCPに入るところである。
HACCP構築を始める以前には異物混入クレームはあったのだが、1年間かけた一般的衛生管理の効果で、現在はなくなった。

では、製造中段階での異物混入はなくなったかというとそうでもない。外からの虫などの侵入、清掃不足による異物、徹底しているにもかかわらず髪の毛の混入、といったものが、以前とは格段に減ったとはいえ、まだ時々はあるという。こういったものは実際百パーセント根絶するのは難しいものなのである。
クレームが格段に減った理由は、最終のパッケージ段階の目視であるという。パッケージの時によく見ている中で、異物の発見が結構あるとのことだ。
これらの異物は以前のようにただパッケージをするという作業コンセプトであったならば見過ごしてしまうようなものを、目視重視という精神でパッケージすることで発見が出来るようになったわけである。
要するにただ「パッケージ」という仕事ではなく「異物が無いか確認をしてからパッケージをする」というコンセプトになったわけで、これだけで劇的な効果を最終段階で行なうことが出来たのである。
 
ある量販店で販売する精肉のパッケージをしている工場でも最終段階での目視確認で効果を上げている。
ここも1年かけて一般的衛生管理の構築を行なってきたところで、牛、豚、鶏の精肉をトレイに詰め、最終的にラップフィルムをかける直前の段階での目視確認を重点的に行なっている。
毎日数千パックを製造するわけで、オートラッパーを通すのだが、ラッパーに投入する担当者が目視しているのだ。
具体的に集中させるために行なっている方法は、異物を発見したときに、
その状況、日付、商品、どのような状態でその異物が入っていたのか、そして発見した異物そのものをオートラッパーの横に置いてあるノートにセロテープで貼り付けてレポートしているのである。
「異物発見ノート」ということになる。
このノートを見てみると、筋や肉片、脂片といった、製品そのものが異物になったものや、髪の毛などが多い。筋や肉片などは、製造工程で異物となってしまったものが入り込むのが原因だろう。髪の毛は個人衛生からになる。この工場でもやはり以前に比べたら異物混入クレームはなくなっており、HACCP構築の効果はしっかりとあるのだが、それでもまだ少しは異物の混入がある。
それを最終工程での目視重視で、工場から出る異物入りパックを激減させているのである。一般的衛生管理の構築とそれに加えての最終段階集中目視の相乗効果が効果を上げているのである。

3つ目の事例はスーパーマーケットの総菜売り場である。総菜、パン、ファーストフードといった業態の店内厨房とそこに供給する原材料や半製品を製造するセンターがある。従業員は3千名以上になるので、かなりの店舗を行なっている。ここで行なっている方法は、同じように最終段階で、バックヤード(厨房)で製造した製品をパックする段階、フィルムでパックしたり、大きなパッケージでは透明プラスチックの蓋をする。売り場に出す直前、このときに、目視重視で発見するわけだ。
ここでの集中させるための方策は報奨金である。
金額を明かすわけにはいかないが、異物を1つ発見すると報奨金を出す。お金は発見した個人にやるのではなくてその職場、店舗の総菜部門宛、といった形で渡す。もらった職場ではそれを休憩時のお菓子にするなり、ためておいてパーティーに使うなり、それぞれで工夫して使っているようである。

これらの事例で分かることは、目視できない内部の異物はどうしようもないが、目視で発見できる製品、表面に異物が付着することがある製品の場合、最終段階での目視検査が結局はかなりの効果があるということになる。
もう一つ明らかなことは、単に「目視をしっかりしなさい」というだけではなく、目視を重点的に行なうために「集中」させる何かがあると良いことである。「異物発見ノート」や」報奨金」といった発見活動を強力に行うための具体的なシステムがあると良い。報奨金については異論や疑問がある人も多いかもしれないが、事例の職場では確かにうまくいっている。ノートについて興味深いことは、これを行なうことはどうも「潜在的」な心理ではあろうが、やっている本人は意識しないで、1つのコレクションのようになっている面を感じる。異物発見コレクションノートがあって、また発見した!という心理状態になっているのかもしれない。こんな潜在的心理であってよいのかという疑問を持つ人もいるかも知れないが、結果的に劇的効果が出ているのである。
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