再投入

2013/04/25 0:33 に 松本リサ が投稿   [ 2013/04/25 0:34 に更新しました ]
製造ラインからいったん出して、別の管理下に置き、そのあと再び元の製造ラインに入れることを再投入、あるいはリワークと呼ぶ。

牛肉のカットをし、トレイパックをする製造では、下処理の工程で、スジと脂肪をトリミングする。このとき、低価格の国産牛肉の脂肪は脂屋さんに持って行ってもらう。
スジは廃棄物になったり、スープ用として卸すのもある。
しかし、和牛の脂肪は高品質なので、ステーキにしたパックにステーキオイルとして角切りにして入れたり、ハンバーグの材料にしたり、和牛の脂肪としても結構高く売れる。
ということは、下処理室からは、廃棄物と再投入する和牛脂が一緒に出て来ることになる。
低価格の牛脂を和牛脂に入れるとクレームになる。反対になると損する。

さて、和牛脂をいったんラインから外して、再投入する場合、その管理を間違えると、危害やクレームになる危険がある。
作業室の横に放っておけば、温度が上がり、細菌増殖や異物混入。冷蔵庫に入れても日付が経ってしまえば鮮度劣化。バットに入れただけで蓋やフィルムをしないとやはり異物混入。
廃棄物になる分も、作業室やゴミ庫において時間が経ってしまったら、細菌増殖や虫の発生につながってしまう。

サンドイッチの製造で、組み立てた後パッケージし、計量と金属探知機を一緒に通したとき、重量不足ではねられた分をいったんラインから外しておき、後からパッケージを外してフィーリング(具)を加え、再生する。再投入だ。
この時、はねた後、再生作業をするまで、温度の高い作業室に置いておくと、時間が経てば鮮度劣化になる。
再生作業では、フィルムを破く、開ける、具を持って来て追加する、再び挟んで、フィルムパックする、という複雑な作業になる。異物混入と細菌汚染の危険が大きい。
この作業はライン作業に従事している人全部が出来るとは限らないので、特別な作業として、力量がある人がやらないと、心配だ。再生作業が誰が出来るか、分かっていなければならない。

ミキサーを使った作業で、例えば30分ほどで出来る作業を、終わってからへらで簡単にはがす程度で、同じ作業を続けている場合、一日中やっていたらどうなるだろうか。この日製造した製品の一部に異物、例えばビニールとかプラスチックの破片が出て来た場合、この日製造した製品すべてが回収対象になってしまう。

最終のミックスを、明日の製造に回すことになり、このロットをいったん冷蔵庫に入れることがあるかもしれない。再投入だ。
この時これが細菌に汚染されていた場合、ミキサーはすべての作業が終了したのだから洗浄するが、翌日に回されるミックスしたロットには細菌がいる。そして翌日、朝から再び一日中作業をした場合、この日のロットすべてが細菌汚染されてしまう。
更に、この状態が何日も続き、数日後、出荷した製品が細菌汚染されていたことが分かった場合、回収対象は大量なものになってしまう。
途中でこの再投入が無くても、再投入されたかされなかったのか記録がなかった場合、証拠も根拠もないので、やはり全ロットが回収対象になってしまう。

97年の夏、米国のハドソンフーズ製造のパティがO-157に汚染されていて十数万トンが回収になった事故の例がある。工場は再生できなかった。

洋風弁当を毎日製造しているが、毎日の注文数が常に違うので、長時間煮込んで作るシチューは、予想より多めに作り、余った分は冷蔵庫に入れて翌日用に保管している。翌日は冷蔵庫に入れて置いた前日製造のシチューを、新たに作るシチューに入れて製造している。味が安定熟成して美味しくもなる。再投入だ。
ある日、最初に前日のシチューを釜に入れないで造ってしまい、出来てから気が付き、慌てて最後に投入した。出荷し、そして芽胞菌の食中毒事故になった。
前日のシチューに菌が入り、それを翌日、製造の最後に釜に投入したが、急いで造ったので加熱が足りなかったのだ。
再投入するシチューは、平バットの上を2センチ程度余裕を持たせて入れる。早く冷えるのと、翌日再投入するときには早く加熱されるからだ。しかしこの時は指示されたパートが分からず、深鍋に入れたのだ。
保管用の入れ物が違ったのと、翌日の作業手順の逆転が重なったのだ。
大きな固まりになった再投入シチューは、中心部までしっかり加熱できず、たぶん増殖にもっとも適したぬるい温度のままになり、菌が増殖したのだろう。

再投入はやってはならないというのではない。
くさやの製造など、昔から大事に持っているつけ込み液に、百年以上もの再投入をやっている。
最終の組み立て調理に入るとき、数が急に変わったり、他の製品に回してしまったり、下処理量や種類を間違えた場合、慌てて新たに下処理する場合も再投入に近い。イレギュラーな下処理なので、洗浄不足で芽胞菌が入る危険。下処理部門が全員帰ってしまい、なれない加熱室担当者がやることもあるだろう。
重要なことは、
  1. 製造で、再投入があるか、確認する。
  2. その再投入は、安全確保できているか、確認する。
  3. 再投入をしたりしなかったりしている場合、記録をする。
ということになる。
そのために、製造工程フローチャートを書き、その中に再投入がないか見てみる。
現場に行き、再投入がないか確認してみる。
各製造工程スタッフに再投入問題の説明をし、無いかどうか検討する。
というチェックをしてみることだ。

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