温度と検証対応方法

2013/05/20 0:32 に 松本リサ が投稿

生鮮の下処理室や非加熱製品の温度

最も良い温度なら5℃ということになる。細菌の増殖を止めるためにはこの温度以下にすればよい。増殖しないので、安全性だけでなく鮮度的にも良い。米国の食肉加工工場の多くはこの温度である。しかし日本では従事者が耐えられないだけでなく、施設とエネルギーコストも大変なことになってしまう。

では現実的に何度が良いかだが、まず、設備グレードとコストに左右され、18〜20℃あたりをが1つの境目になる。これよりも低くすると空調のための設備機械は一般的な冷房のレベルを超えるので高額になる。そのため、これよりも高くても、それほどの影響がない場合は、20℃程度に設定する。例えば処理量が少ないので、早く終わってしまう。肉魚類の生食、例えば刺し身や牛肉タタキなどの生食はなくて全て加熱になるのである程度緩和しても問題はない。生鮮野菜の下処理をしてからサラダにするが、氷を使って最終急冷した後冷蔵庫に入れて一時保管し、組み立ててからすぐに冷蔵庫保管するので、20℃程度で問題ない。といった場合である。

これに対して、刺し身の最終切り身までスライス加工してパッケージし、チルド又は急速凍結して出荷するなど、温度に敏感な製品の場合は、出来るだけ低いほうが良い。とはいってもあまり低くては作業者の負担になるので、15℃といったところだろうか。この場合、防寒の作業衣、靴などを支給することも必要になる。

加熱調理室

フライ、グリル、スチーム、ボイルなどの加熱調理室の温度は相当高くなる。そこで何度ならこれらの作業室は良いのかという質問も来るのだが、従事者の安全を確保することがまず重要だ。対策をとれば、無理に温度を低温にする必要もない。無理に低温にしたら製造効率が悪くなる。

総菜工場やフードサービスのキッチンでは加熱調理機器が密集してしまい、従事者も多いところがあるので、この場合は従事者のために温度を調整する必要がある。しかし、機械による自動調理の部分が多い場合、従事者の立つ位置に局所クーラーを設置するなどの対応をすれば、全体の温度を下げる必要は無い。

大型のフライヤーがある場合、油煙が工場全体を汚染するのを防ぐために、フライ部分だけを囲えることが出来ればそうしたほうが良い。工場全体の清掃効率が良くなる。

冷蔵のデリバリー

冷蔵では0から2℃といった所が理想だが、ルート配送で何度も降ろしたり、混載物があったりと、複雑で理想通り行かないところも多い。5℃以下にしたいところだが、まず最初に行なうことは実態調査である。検収時の温度は何度以下なら良いのかを決めるとき、まず、1ヶ月間程度チェックしてみる。

ある病院給食工場では、クックチル方式で、センターから病院のサテライトまで冷蔵車でデリバリーをしているが、HACCPの構築で、サテライトに到着したときの温度は何度ならよいのかの検討に入った。一般的なガイドラインでは10℃以下なのだが、出来ればもっと低いほうが安心だ。そこで1ヶ月間実際の到着時の温度は何度なのか測定してみた。結果は、3から5℃で、1回だけ6℃近くのがあった。そこで「7℃以下」にした。これよりも高かったら「異常」になるからだ。

加熱調理製品の中心温度

これはCCPになる。揚物焼き物製品では一般的に調理後の中心温度は75℃から85℃のところが多い。しかし、美味しく、売れる製品を、安定して製造することが企業としては重要なのだから、独自に安全かつ理想の温度帯を追及すべきだ。

あるフードサービスで、豚カツの温度を調査することになった。今まで調査したことなど無かったので、どの程度の時間揚げるのか全く数値が無かったのだが、調査は単純に行なった。油の温度は自動調整されていて180℃になっている。

まず調理長がいつものように豚カツを揚げ、時間を測定すると、200秒。中心温度を測ったら83℃で、さすがシェフだ。次に、この時間よりも30%少ない140秒で揚げて温度を測ったら、73℃。そして今度は30%多い260秒揚げたら94℃になった。これは1枚での測定で、今度は同時に2枚、3枚、4枚と同じように行なった。更に「何度が美味しいのか」の試食も行なった。調理時間と温度の関係だけでなく美味しさの官能検査もやったのである。

結果的に最も美味しいのは80℃で、これよりも3℃狂うと味が違ってしまうという恐ろしい結果が出た。80℃にするためには、1枚の場合で185秒となった〔この温度と時間は実際に行なった調査を脚色してある。揚げる前の温度と厚さによって違うので、それぞれの調査が必要〕。これを元に、管理基準を決定した。

ある漬物メーカーでは今まで行なってきた真空パック後の加熱殺菌を、HACCPの構築を機会に検証することになった。記録機能の付いた超小型の温度計を製品パックの中心にいれてデータをとったところ、パッケージの形によって、適性な温度になっているアイテムもあれば、かなり高温になってしまっているのもあった。

高温過ぎるのを改善することは簡単なのだが、出荷後の時間経過の中で、細菌の増殖と、美味しさがどう変化してしまうのかが未知だ。味が今までのものと違って行き、たとえそれが美味しいほうに良く変化していっても「味が違う」という不安やクレームになってしまう可能性があるからである。そこで継時変化の検証に入った。
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