衛生管理がしやすい工場とは〔弁当工場の例〕

2013/05/02 0:04 に 加藤光夫 が投稿

食品工場の基本は、きれいなことだ。きれいということは、ゴミ、埃、虫などの異物が少ないことと、細菌やカビが少ないこと。そして、そのための清掃、洗浄、従事者の管理、ソフト面が必要だ。これらは一般的衛生管理だ。

衛生管理は、古い工場でも、5Sでできる。HACCPのためには施設設備面に大金がかかると勘違いしている人も多いが、そうではない。

さてしかし、企業の大きなステップアップとして、工場を新しく造るとなったら、衛生管理のしやすい設計にすべきだ。このためのコンセプトは3つある。

1.清掃洗浄する場所が少ない

2.清掃洗浄がしやすい

3.製造環境が良い

三重県桑名で一日数千食の弁当を作っている工場では、創業30周年になったと同時に、大きなきっかけがあり、新工場を建設し、2006年正月からスタートした。

工場建設にあたっての基本的考え方は、この3つのコンセプトだ。このために設計実施されたいくつかのポイントをあげてみる。

1.動線とゾーニングに加えて、事務所と作業場所が一体

動線の一方向化と、清潔レベルに応じたゾーニングは基本だが、この工場ではさらに製造現場と作業場所がお互いに「見える」様になっている。

具体的には、事務所を中心にして、原材料仕入れから製造出荷までの工程が右回りになり、さらに、中心部が清潔ゾーン、その外側が準清潔ゾーン、そして最も外回りが汚染ゾーンと、明確になっている。そして、事務所と入場室、盛り付け作業室の間が大きな強化ガラス張りになっている。

事務所は、営業、管理、そしてメニュー設計を行っているが、顧客や原材料サプライヤーなど多くの関係者が出入りする。その事務所から、入場中の粘着ローラーや手洗いを行なっている場所と、コンベアーで弁当箱に盛り付けている清潔ゾーンが見えるのだ。

この作りは計画時に「現場作業者がいやがるのではないか?」という危惧もあったのだが、実際スタートしてみたら、相互に良い状態になった。

2.清掃洗浄しやすく、泡洗浄中心、低湿度維持

従事者の外履きはロッカーに入れるが、そのロッカーは壁に埋め込んである、シャッター上部の巻き込み袋は天井とつなげてしまっている、こういった方法で埃溜まりを少なくした。長靴とスニーカーは、パイプを組み合わせて作った挿し込み式になっているので、乾燥が早く、カビが生えない。盛り付け時に使う食材を置くキャスターも同じなので、汚れにくい。この洗浄は重ね並べて泡洗浄。排水溝は浅いU字型なので清掃簡単。

工場内は泡洗浄が中心。作業が終わったら、大型中型の二つのタイプの泡洗浄機で、泡を壁の腰位置から下と、ダクトなどに一斉にかける。20分ほどで汚れが浮き出てくるので、水で流し、水切りをしてお終い。乾燥は空調で行われ、しばらくしたら湿度40%台に落ちる。これでカビも生えない。

3.弁当容器自動洗浄殺菌乾燥

弁当製造で今まで問題だったのは容器洗浄後、濡れていること。サンテナーに空気が通るように入れて、乾燥機にかけるか乾燥室に置き、乾いてから容器保管庫に入れるという手間とコストが大変だし、衛生上の問題も残る。

ここでは、顧客から返ってきた弁当容器は、蓋を乗せたまま洗浄機に入れる。

洗浄機では自動的に蓋が取られ、中の残った食べ物、箸などがひっくり返して除去される。ゴミは生ゴミと箸などの普通ゴミに自動的に選別され、生ゴミは9台あるバイオ消滅式処理機に行く。

容器は洗浄ラインのあと、この工場の要請によって全く新しく開発された3メートルほどの自動乾燥機につながっていく。大変な試行錯誤の末に完成した85℃の熱風殺菌乾燥トンネルを通って出て来ると、食器別に分けられる自動積み重ね機に落ちる。サンテナーに入れて容器保管庫に入れ、あとは翌日の製造まで保管される。これで、場所、時間、コスト、安全性がクリアになった。

4.従事者に優しく

発熱する調理機械には、エアカーテンで囲うダクトが使われているので、加熱調理室はそれほど暑くならない。工場の地下に2メートルにわたって埋めてある炭や、清浄な空気に調整するシステムなどで、作業者は環境の良い状態で仕事ができる。

5.パソコン管理

従事者が入場するとき、チェックシートではなく、モニターでチェックする。原材料検収場所にもモニターがあり、その日に入る食材のリストデータと照らし合わせ、数量や温度測定などのデータをタッチパネルで入出力操作できる。

調理室と盛り付け室には空港の表示に使っている大型モニターがあり、ここに製造製品、メニュー、レシピ、イラストによる盛り付け指示などが表示される。これもタッチパネルになっているので、種々の操作が現場でできる。

従事者の教育はセミナーなどを行うが、近々このモニターを使った毎日の「一分間教育」を計画している。

6.水は3系統

調理に使う水は、電子水というクラスターの小さい水を使っている。これで炊飯すると水が米の中まで入り込むので、ふっくらおいしく炊ける。調理に使う水はこれを使う。その次は水道水で、調理機器作業衣などの洗浄に使う。そして地下水は、床洗浄やトイレ用。これで水の合理的効果的使い分けに成功。

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