水の供給

2013/05/01 20:23 に 加藤光夫 が投稿

飲用不適水の使用範囲

ISO22002の6.2水の供給では「氷、水又は蒸気(厨房の蒸気を含む)を含む、製品の材料として使用される水、又は製品、又は製品面と接触して使われる水は、特定の品質及び微生物学的な要求事項を満たさなければならない。」とある。 
また「清掃・洗浄用水又は間接的な製品接触(例えばジャケット付き容器、熱交換器」のリスクがある場合に適用する水は特定の品質及び適用に関連する微生物学的な要求事項を満たさなければならない。」ともある。 
飲滴の水を製品に使わなければならないのはもちろんだが、洗浄する水においても、その洗浄水が製品に接触する部分を洗浄するなら、飲滴でなければならない。接触しない部分を洗浄する場合、床なら問題無いが、食品機械の洗浄の場合、例えば釜やオーブンの洗浄では、釜の内側やオーブンの食品に接触する部分では無い、外側の部分を洗浄する場合でも、洗浄水は飛散するので、飲滴の必要がある。 
したがって、飲滴でない地下水を使っている場合、その使用場所を、床、工場外側など、使う場所を特定し、その他は全て飲滴水を使用するよう規定しなければならない。

機能水を正しく使う

電気分解やpH調整、あるいは塩素などを使用した殺菌効果がある機能水は多くのメーカーが製造し、かなり普及してきている。性能、特性、価格と、製品に合わせて広範囲の選択が出来る。最近の工場は、上水道水、地下水、そして機能水と、3系統の水を使い分けている所が多い。こういった場合、コスト、機能、用途をしっかり定めておく必要がある。

ある工場で、機能水を導入してから、導入前の状態と比較検証してみたところ、作業室や場所、洗浄対象によって、より清浄になった所はかなりあったが、逆に汚染傾向になってしまった所も散見された。どうしてこんなことになったか調べたら、新しく入れた機能水は殺菌も一緒にやる魔法のような水なので「適当にやれば」機能水をかけておけば大丈夫、と、過信し、洗浄作業を手抜きしていたことが分かった。これでは本末転倒だ。

機能水で錆

塩素系の機能水は殺菌効果が高く、多くの所で使われているが、酸化、錆の発生という新たな危害が出ている工場もある。 
ある工場では入荷する食肉原材料を機能水で洗浄してから工場に入れているが、この回りのフック、レールがすぐに錆び、その錆が原材料に落下する危害が出て来た。鉄製のものはすぐに錆びるので、高価だがステンレス製に替えれば問題無いかというとそうでは無く、ステンレスも黒く酸化していく。
この問題に対処するには、酸化促進しない普通の水、あるいは機能水にするか、強力な防錆剤を使うかということになりそうだ。 
酸化促進しにくい機能水の一つとして、次亜塩素酸ナトリウム水を独特の混合システムでpH調整し、pH6前後の弱酸性にした殺菌力のある機能水もある。コストはジアソーだけを使った場合より装置導入での使用で2割ほど高くなるが、小型の装置で大量に供給出来るというメリットがある。

2系統の飲滴水

震災で使用水を2系統確保する対応が続々と出て来ている。 
震災後水道がストップしてしまった埼玉県のある病院では、特別な地下水を併用して飲滴水として使っていたので問題無く、病院で使用するだけでなく、周辺への水供給の拠点ともなり、地域への貢献もしたという。 
特別な地下水というのは、地下水を汲み上げ、強力な膜フィルターを通して完全な飲滴水にする装置で、この水を8割、上水道を2割混合して使用水にしている。全部この地下水にしても良いのだが、リスク回避の目的で、上水を少し入れているのだ。この装置は中規模の浄水装置とフィルターも含めたメンテナンス費用がかかるが、実際には費用無しで出来る。 
というのは、地下水はタダなので、上水道との差の費用が浮く。その浮いた費用で装置とメンテナンス費用を出し、浮いた費用の半分を供給メーカーがもらう、という面白い方法だ。実施している大手リース会社とメーカーに震災後問い合わせが殺到しており、今まで全国で800件が導入済み。 
このシステムは地下水が出るということと、その地域の水道代という二つの条件が合った場合に成り立つ。地下水が出るか出ないかは、技術的にかなり出来上がっているようで、場所を調べれば分かるという。そして水道代は自治体ごとに違う。成り立つかどうかは調査ですぐ分かる。 
こういったシステムに限らず、食品工場にとって重要な水の供給とコスト対策、危機管理として、上水と地下水の併用は考慮してみるべきだろう。地域によっては地下水で地盤が浮き上がる状態を防ぐために大量の地下水を汲み上げて捨てている所もある。自然を効率的に使用する治水もあるのだ。

ボイラー用化学薬剤

ボイラーから蒸気を供給している場合、その蒸気が直接製品に当たる場合、例えば蒸気が加熱調理に直接使われる場合、その蒸気が汚染されていれば食品を汚染することになる。蒸気の元は水だが、ボイラーでその水を蒸気にし、その供給に使われるのはパイプで、そのパイプ内を清浄に保つためのパイプ内清管剤は食品専用かどうかを確かめる。 
食品専用でない場合、化学物質の汚染の危険がある。清管剤のパックには食品専用かそうでないかの表示が無い場合もあるようなので、無い場合メーカーに確認し、問題無い場合でも製品規格や証明書をもらっておくこと。

著作:株式会社 フーズデザイン 加藤光夫

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