食品工場に入る前の衛生管理

2013/04/11 16:32 に 松本リサ が投稿
工場の更衣室に入る前まで
工場に異物や食中毒菌が入る原因は、原材料、工場のすき間などの構造、そして従事者になる。従事者が持ち込むのは、毛髪、ゴミや埃、そして食中毒菌になる。
人の毛髪は一人一日50〜70本が抜け替わっているので、毛髪を持ち込まないためには、まず、工場の玄関に入るまで、あるいは入ってから更衣室に行くまでの間に、自宅から工場までに来るまでに抜けた毛髪、それに途中でついたゴミや埃を除去したほうが良い。
そのためには、玄関から更衣室に行くまでの通路や階段に、一人ずつのブラシを設置してブラッシングする。あるいは玄関にエアカーテンや簡単なエアシャワーを設置するなどの工夫をする。
人の頭にはもう一つ問題がある。フケだ。「朝シャン」をしてから来てくれればいいのだが、全員に強制は出来ない。フケには黄色ブドウ球菌があり、急性食中毒になる。フケがサンドイッチやサラダ、刺し身、和え物などの非加熱食品に落下てしまう。液体中に落下して、例えば10℃以上の状態で放置された場合、黄色ブドウ球菌は毒素を作り出し普通の加熱では無くならない。大阪の牛乳メーカーで起きた大食中毒事件は、この毒素が入ったパウダーミルクを使って、乳加工製品を作ったことによる。

 

ユニフォームと帽子
両方とも高機能のものを採用することで、異物混入の減少に直接つなげることが出来る。
帽子は毛髪の落下防止機能がついたものを使う。額からこめかみの前までの、毛髪の生え際のところを圧着して落ちないようにしてあるものが必要だ。帽子を被るだけだと後頭部から毛髪が落ちるので、頭巾型の方が良い。
以前、ある納豆工場で、簡易的な帽子から高機能の頭巾型に変えたところ、毛髪のクレームが激減した。ところがしばらくして初夏になり、暑くなるにしたがって耐えられなくなったため、以前のタイプに戻した。戻してすぐに、毛髪クレームが殺到したことがある。このような場合、最近は清涼タイプのものも出て来ているので、それに変えたら良い。
ユニフォームは、埃の付きにくい素材、静電気が起きない素材などを使っていたほうが良い。ボタンは欠けたり落ちたりするので、ジッパーの方が良い。袖の先が絞り込まれているほうが体毛の落下が押さえられる。半そでを使う工場では、わき毛の落下を防ぐ絞り込み機能が付いたタイプが良い。
ポケットがあると、何かを入れてしまい、その混入の恐れが出てくる。何も入れないルールにしたとしても、ゴミが溜まるわけなので、管理者用以外はポケットは無いほうが良い。これはエプロンについても同じだ。
ズボンのポケットも無いほうが良い。ロッカーのカギを入れることが必要な場合、ズボンの内側に粘着テープで落ちないようにした小さなキーポケットが付いたものを使うと良い。

これらの洗濯だが、業者に出したり工場内だと、コストが結構かかる。また、クリーニングに出す頻度は各自の判断の場合、女性の場合はまめに出すため経費の増加につながり、男性は交換頻度が低く非衛生。
自宅で洗うと、おむつ、下着、靴下、ペット衣料などとの交差汚染、洗剤残留、外で干すために虫や農薬埃などの異物問題が考えらる。
そこで、ある工場でリースを検討した。
  • 一人へのレンタル枚数(上着3、ズボン3)、週一回クリーニング契約
  • 最新高性能仕様での統一された衛生基準で管理
  • 「全員週1回クリーニング゙出し」ルールにより経費・衛生のコントロール可能
  • 手元に常に2着(1つは着用、1つは洗濯済)、残り1つはクリーニングに出されている。
  • 人員の増減では、週単位で契約変更の対応可能
  • 最小在庫保管管理や分類納品により簡単に探せる
  • 無料補修
と言った多くのメリットがあり、経費でかなり安くなることがわかり、すぐに導入した。この方式は、業者によっていろいろなので、メリットがあるかどうか検討してみたら良い。

粘着ローラー
粘着ローラーは、毛髪や埃を除去するために、徹底してかけるようにする。これが最も重要なポイントだ。
頭→肩→脇→腹→背中→ズボンの外側→内側、とかけたあと、どの位埃が突いているか、自分の目でテープを見て確認をすると、どれだけ埃が付いているかがわかる。毛髪がついてることも多い。
柄の長さが適当で、背中もかけやすく、テープも失敗せずに簡単にはがすことが出来るものも出て来ているので、検討してみたら良い。

ハンドウォッシャー
秋も過ぎて寒くなってくると、毎年のことだがノロウイルスによる食中毒が増えていく。ノロウイルスを撲滅するには、手洗いが最も基本的な対策だ。ノロウイルスを持っている人が大便をしてもし手を洗わなかった場合、億単位のノロウイルスが手に付着しているという。このノロウイルスが付いた食品を食べると食中毒になるのだが、これにはノロウイルスが数十個あればいいのだということだ。
また、指輪と指の間に能ウイルスがついていて、その人が学校給食のパンのパッケージをしていたため、集団食中毒になってしまったこともある。
高機能の設備にするには、費用がかかる場合が多いが、最低レベルでも、洗い方の徹底によって、かなり清潔な状態で入場できるようにすることは出来る。
手順、指の付け根の汚れが残りやすいなどの状況を考慮した洗い方、「30秒間もみ洗い」として一分時計を置く、などを、マニュアルと訓練で徹底すると良くなる。
次に、30秒もみ洗いの徹底をすると、すすぎの時間も入れれば一分近くにはなってしまうので、温水が出るようにすることは重要だ。
高機能の設備に出来るなら、洗剤出し、もみ洗い、すすぎ、乾燥の手順が一体になったり、それぞれに時間管理が自動的にできていたりするタイプなど、費用によって色々な機能がついている。教育と高機能の手洗い設備で、最も多い手からの危害を食い止めることが出来る。

エアタオル
手洗いのあと乾燥させておかないと、この後アルコール消毒をする場合、効かない。
ハンドウォッシャーにエアタオル機能がついているものもあるが、付いていない場合、設置を考えたら良い。
エアタオルは、出来れば吹き落としタイプの方が、エアタオルそのものを洗浄消毒しないで済む。

エアシャワー
最終の仕上げとしてエアシャワーをかける。
効率の問題と裏腹になるが、時間は出来るだけ長いほうが良いのはもちろんだ。大人数が一斉に入る場合には、あまり長くは出来ないが、許せる範囲ぎりぎりまで長くする。ばらばらと、一斉に入らない場合は、結構長くすることが出来る。
朝や、昼食後などは一斉に入るが、それ以外はばらばらと入る場合、2つの時間設定の切り替えが出来るのならばそうしたほうが少しは安全性が高まる。一斉入場が終わったら、時間を長く設定するわけだ。
エアシャワーが止まってすぐ、あるいは止まる直前に作業場側のドアを開けてしまうと、まい飛んでいる埃が工場内に流れ込むことになってしまう。止まってから2秒ほど、気流が落ち着くのを待ってドアを開けるようにセットする。手で開けるタイプならば「ゆっくり2つ数えてからドアを開ける」といったコメント、マニュアルにする。

補虫器
捕虫器は、虫を捕りまくるためのものではない。どのような虫が、どれぐらい居るのかを捕獲して調べ、その内容と変化を検査して、対策をとるために使う。
例えば、小蝿が毎月十匹ぐらい居る作業室なのに、ある月に、突然数十匹捕獲された、などというときは、その作業室内のどこかに小蝿の発生源が出来たと予測される。そこで早速調査したら、電源ボックスの中に見つけて駆除した。といったようになる。
捕虫器の設置場所は、下に食材が置いて無い場所、人が通らない場所が良い。食材が置いてあれば捕獲になる虫が食品に落ちる危険がある。人が通れば、その人の上に虫が落ちる可能性が高まって、それがそのあと食品に混入したり、他の作業室に拡散することになるからだ。
このような設置になってしまっている原因を見ると、単に電源が近くにあるからという理由に過ぎないことが多い。設備を作る側は、このことを考慮して、捕虫器用の電源の場所を決めてもらいたい。
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