サプライヤーの監査

2013/04/25 1:37 に 松本リサ が投稿
問題のある原材料が入った為に、自社の製品が回収になることがここ数年多くなってきた。原材料の欠陥や、不正、ごまかしも含めて、重要な活動になっている。ごまかしをした企業のおかげで、検査費用もかかるようになってきた。
食品工場では、自社の安全衛生体制を構築しつつも、サプライヤーからの原材料由来の問題が起こってしまえば、せっかくの活動も無駄になってしまう。その為、サプライヤーのチェック、監査をどのようにしたらよいか、効果的な方法を模索している。

サプライヤーの監査は、検査組織などに委託する方法と、自社で直接行なう方法がある。大手のフードサービスや流通では、検査組織に委託する方法が多いようだ。
検査組織に委託する場合、年に一回といった定期的監査の場合と、問題があった場合に監査に入る方法がある。
検査組織が監査に入る場合、拭き取り検査、細菌検査を行ない、実際の数値がどのようになっているか、科学的な検査をすることが出来る。しかし、検査の結果が悪い場合、どこにその原因があるのかを特定したり、どのように改善したらよいのかといった、コンサルティング部分まで突っ込むことが出来る組織はあまり多くないようだ。

ある惣菜工場が、コロッケ製造用のパン粉付け機を導入した。しばらく使っていてから、検査組織の監査が入り、コロッケの細菌検査結果が悪いという結果が出た。衣付け機の一部の拭き取り検査データも一緒に出てきたが、それは問題が無い。ではどこに問題があるのか。
このような場合、検査組織は、もしその原因を探れそうな力量のあるスタッフがいた場合でも、もう一度そこの工場に行って、詳しく検証をしなければならないので、費用的に難しいことにもなってしまう。また、そこまで出来る検査組織は多くないだろう。
このコロッケの場合、社内で食材や機械の洗浄後の拭き取り検査をやってみたが、なかなか原因が分からなかった。散々調べた結果、機械内部のベルトコンベアーの裏側が洗浄出来ない構造で、そこに次第に汚染が溜まり、一般生菌が増殖をして行ったことがわかった。汚染する部分を洗浄出来ない構造では、その機械は使えないので返品にした。

この例では、検査組織が監査した結果、問題があったが、原因追跡はその監査業務には入っていない。結果を得て、自社で原因を突き止めたわけだ。
こういった例は多い。さてそこで、どのような方法でサプライヤーの監査をやったら、効果的なのか、よい方法は無いか。

まず、検査組織による監査は、例えば毎年としても、それだけではほんの一時の検査でしかない。検査組織による監査に加えて、サプライヤー自身による監査を自主的にする必要がある。
自主検査は、拭き取り検査と、簡易細菌検査で行なう。
拭き取り検査は、専門の検査組織と協議して、定点検査の場所を決める。特にクリーン度が要求される所、例えば加熱殺菌語の冷却から、インナーパックするまでの工程の間の、食品が触れる場所や面に重点を置く。
この場所が例えば10ヶ所になったとしたら、検査の頻度、例えば「毎週1回、何曜日か決めないで」といったようにする。曜日を決めると、その時だけ特に洗浄をしっかり、といった偏った実態になる可能性があるからだ。
そして、この定点検査個所以外に、ランダムにあと10ヶ所を検査する、というようにする。ランダムということは、検査者のその日のアイデアで、テーブル、取っ手、スイッチ、調理道具など、色々な所を検査するのだ。そうすると今まで気が付かなかった汚染箇所を発見することが出来る。

簡易細菌検査は、フィルム式で、簡単に出来るキットが各種発売されているので、それらを使う。検査者のスタッフがどこも限られているだろうから、同じ検査者が、拭き取り検査と別の日に行なうなど、工夫をする。対象と頻度は、拭き取り検査と同じように、なるべく広く、多くの製品や場所を検査出来るようにする。
このようにすると、検査組織による詳細な検査を年に一回と、費用の安い簡易検査を年に50回ほど出来るので、かなり広範囲の検証をすることが出来る。次第に悪くなっている、良くなってきたといった傾向もわかる。
細菌検査では、数十の検体をを6時間で行える「D0X」というシステムがある。これを使えば、製品の細菌検査だけでなく、原材料、中間製品を、複数、同時に検査できるので、安全性に大きく寄与できる。予算があれば、検討しては如何だろうか。

次に、問題が発見されて、その原因を探るには、サプライヤー自身が行なうことになるが、わからない、難しいなどの場合、納入される側も協力して、一緒に考えると良い。積極的に考えることによって、お互いにノウハウを蓄積して行くことが出来る。
一方、納入を受ける側も、定期的な、例えば毎年、二年に一度といったサプライヤー訪問を行なう。
ふき取りと細菌検査は行なっているので、この訪問は、動線、ゾーニング、教育の状況、現場視察、経営者と工場スタッフとのミーティングなどを中心に行なう。
複数のサプライヤーを抱えている所も多い。この場合「相互監査」というシステムもある。

盛岡市に本部を置くいわて生協では、自分の肉と魚のパッケージ工場2つを含む21工場の相互監査を行なっている。
21工場を、3工場ずつの7グループにわけて、毎年5月と10月に監査を行なう。A工場をBとC工場が監査をし、BをAとC,CをAとBが監査をする。監査の結果は、点数と監査メモという形で出てくるので、それらを集計して、監査の翌月に評価セミナーを行なう。
年間2回の相互監査を終えると、翌年はこの組み合わせを変える。これによってお互い監査指摘しあえると同時に、多くの工場の工夫点も見ることができる為、サプライヤー全工場の安全衛生管理の力量が上がっている。
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