認識によって安全になっていく理由

2013/04/23 2:55 に 松本リサ が投稿
ATP検査を購入し、最初に大量の検査用綿棒を使って工場中を調べたある生鮮パックセンターは、今まできれいだと思っていたところが全然そうではないことが分かって呆然とした。特に、機械のスイッチ、ドアや冷蔵庫の取っ手やハンドル類など、気が付かないところがかなりひどい。取っ手やハンドルは多数の従事者がさわるので、汚染されている従事者が一人さわれば、それが多くの従事者に伝染してしまう。

まず、汚れているところを、従事者全員に「認識」してもらうために、汚れているところをすべて数値と共に発表した。かなりの数だ。

汚れている場所は結構単純なところがほとんどなので、洗浄消毒マニュアルを作成するまでもなく、実施したことは、まめに拭く、出来るだけ指で触らない、押しボタンは指の背関節で押す、ぼろぼろになっているところは修理してつるつるにする、といった対応をした。従事者全員がそれぞれの工夫を始めた。

その後、ATP検査を毎週一回、検査用綿棒を10本使い、以前汚れているところと、検査者のその日の気分でランダムに検査を続けた。

以前汚れていたところは、全員注意しているので、問題はほとんど無くなったが、ランダムに検査したところからどきどき不合格が出て来た。ナイフ研磨スティック、一部のまな板の縁など、意外なところが見つかったりしていたが、その都度不合格箇所を「認識」のために発表していたら、汚染箇所つぶしがゲームのようになり、検査担当者が検査場所に苦労するようになった。そこで今度は検査者を毎週交代した。見る目が変わるので、また時々不合格箇所が見つかった。

まるで楽しみの様なATP検査を数ヶ月続けた。今ではどこを検査してもほとんど一桁で、たまに二桁が出ると「どうした?」などとなってきた。

「認識」を続けていくことで、工場内が劇的にきれいになったわけだ。そして製品の細菌検査データを見たら、一般生菌数が激減していた。製品のクレームはどうかと見たら、以前は年に数件ほどあった毛髪などの異物混入はゼロになり、ドリップ、変色といった品質クレームもほとんど無くなっていた。

「認識」をすることで、成功したのだ。

西日本のある練り製品メーカーが大量に納入しているユーザー側で抜き取り検査をしたら、異常な量の一般瀬菌が検出された。そこで他のパックを調べたところ異常はない。しかし原因不明なので、止めた。原因が分からないのでここも簡易クリニックに呼ばれた。
練り製品は蒸煮しているので、これ以降のパッケージまでの工程のどこかで異常があったはずなので、この間を調べたところ、冷却後個包装をする機械の上に結露がかなりあり、それが包装前の製品1個に落下し、そして大当たりのようにこのパックが抜き取り検査に引っかかったのだ。この結露を調べたらかなり汚れていた。
応急処置はこの包装機の上にカバーをつけて結露が落ちないことだが、工場内を見回すとかなり汚い。このままではまた事故が起きるので徹底した清掃洗浄が必要だと提案した。
この後、報告を聞いた本社トップがすぐにこの工場にきて、全従事者を集め、怒りを込めて言った「仕事しなくていいから、掃除しろ!!」
乱暴だが強烈な「認識」だ。


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