マーフィーの法則とパレートの法則

2013/04/11 18:24 に 松本リサ が投稿
印字間違いを無くすためのシステムを構築しておく
悪いときには悪いことが重なるのをマーフィーの法則という。

天井の清掃をしていたら蛍光灯を割ってしまい、破片を回収したつもりが、パッケージマシンのほんのわずかな場所に残っていたようだ。
しかし気がつかずにいて、マシンの上の毎月一度の清掃もたまたま忘れてしまい、二ヶ月後に破片が製品に入っていたというクレームになってしまった。
多分マシンの振動で落下し、たまたま製品内に入ってしまったのだろう。という実際あった事例である。

日付の印字をいつもは二人で確認していたのに、たまたま一人が休んでいたので、もう一人が行ったのだが、たまの徹夜で疲れて間違え、梱包担当者も臨時作業者が行っていて気づかないで、出荷してクレーム回収になってしまった。
これも事例だ。

HACCPを実施していると一般的衛生管理との組み合わせで大小合わせたいくつもの関所を通ることで危害を食い止めるようになっているのだが、クレームや回収事故の原因を分析してみると、マーフィーの法則そのままのことがよくある。
この背景を分析してみると、二つの状況で多いことがわかる。
一つは「いつもと違う状況」である。従事者が変わった、特別に製造量が多いあるいは少ない、製造装置の一部が変更になった、シフトが例外的なものだった、といったものである。
もう一つは、新しい製品やシステムが入ってトラブルが続いたがやっと落ち着いて安定した製造が出来るようになった矢先、である、安心したところで起こる。このような状況で製造をする場合に「マーフィー警告」でも出せるシステムを作っておくとよい。
「いつもの製造状況」を今日の製造状況を事前に照らし合わせ、いつもと違う製造時にダブルチェックする、全行程に「いつもと違う状況」情報を出す。これによって安全を確保する。


異物混入の無い作業方法を確立する

パレートの法則は別名「80:20の法則」と呼ばれ、100人の営業マンがいたら20人が8割の売り上げをあげているとか、売り上げの80%はアイテムの20%で占めている、といったものである。
これがHACCPでは危害分析と工程に当てはまる。
「危害の80%は、20%の工程から発生する」、10の工程だったら、そのうちの2つの工程から8割のクレームが発生している、となる。

ある漬物工場では毎月10件程度の異物混入クレームがあり慢性化していた。HACCPの構築を始めて危害分析の段階になり、「最も困っているクレーム」として異物混入だけに集中して分析をすることにした。過去のクレームを元に、どこで異物が混入するかを推定も含めて追跡をしてみたのである。工程は、

1.受け入れ→2.冷蔵庫保管→3.整形→4.塩素殺菌→5.洗浄→6.漬込み→7.冷蔵庫保管→8.手洗浄→9.計量・包装→10.仕分(検品)→11.冷蔵庫保管→12.出荷

分析は、クレームとして来た異物がどの工程で入ったかを追跡した。間違いなくこの工程だとわかるものはいいが、わからないものは「多分この工程だろう」という推測をしたり、複数の工程が怪しい場合には両方の工程にいれ、最終的にカウントしたところ何と「6.漬込み」工程に90%が集中したのである。

この危害分析結果で私は「しめた!喜べ!」と叫んだ。HACCPリーダーは何でこれが喜ぶべき結果かわからなかったようなので言った「いいか!問題の工程がわかったのだ!この工程での対策を徹底してゼロにすることが出来たら、クレームの90%が無くなることになるんだ」。気が付いたHACCPリーダーは、この工程担当者の作業衣と帽子を変え、教育によって認識をしっかりとさせ、作業場所を危険ゾーンとして明確にゾーニングし、明るい照明と目の良い担当者に変え、漬け込みから取りだすときの目視検査を徹底し、関係するコンテナーやサンテナーを新品に変えたうえに毎回の洗浄を徹底する、といった集中的な改善をした結果、クレームを激減させることに成功した。

パレートの法則は工場全体の製造工程の中だけではなく、一つの工程、一つの作業室の中でも起きている。例えばフライ製品をコンベアオーブンで揚げる工程は、

衣を付けた下調理済みの材料を冷蔵庫から出す→コンベアフライヤーまでキャスターで運ぶ→フライヤーに投入→フライ→フライ終了後引き上げ→油切り→次の工程(例えば冷却、あるいはサンテナー投入、あるいは弁当組立室へなど)

という作業になる。
この中で、その作業室から異物混入クレームが出ているのならば、どの工程が問題なのかを分析する。作業者の位置、フライヤーの形態や設置状況などによって同じ作業をしていても工場ごとに全く危害の元が違ってくるが、調べた結果「フライ終了後引き上げ→油切り」の工程で異物混入の8割が集中していることがわかれば、この部分の作業者と作業方法、あるいは作業場所などからの問題を解決すればよい。
この手法では、マクロとミクロな両視点で進めていく。マクロからは、工場の大きな工程から追跡していき、2割に相当する工程を突き止める。ミクロからは、各作業工程の中の問題を見付ける。

異物混入も含めた危害を100%無くすことは不可能だが、確率を少なくしていけば問題は着々と減っていく。
パレートの法則を知り、対策を集中することで、クレーム激減を成功させることが出来るだろう。
そして第二ステップとして、残った問題の解決に進めていくのである。「2割の工程に由来していた8割のクレームを無くして大きな実績を上げ、そして残った8割の工程から出る危害を地道に無くしていく」ことになる。
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