金属異物の混入防止と緊急連絡網の構築

2013/05/20 0:30 に 松本リサ が投稿
04年10月に、乳製品メーカーでチーズへの金属異物混入事故があった。フィルターの破損と発表されていたが、塩を均一に振るためのステンレス網と聞いた。この事故は発生元のメーカー工場にとどまらず、販売先のいくつものメーカーの原材料としても販売していたり、PB製品にもなっていたために、広範囲の回収になってしまった。
針金、あるいは細いケーブル状態になったステンレスは、小さいものは金属探知機で反応しないことがある。長さがあっても、金属探知機を通る角度によっては、棒状ではなく点状でしか判断しないので、反応しないことになる。同じような事故としては、破断した電線や、金網の破損など、多くのものがある。

こういった事故を無くすための方法は、製造機械の点検になる。一般的衛生管理の「施設設備の維持点検」である。

構築の第1ステップは、製造ラインを追って見て行き、金属異物が混入する場所を特定することだ。カッター機械のビス、ナイフそのもの、蓋の破損。コンベアーのメッシュ、ビス、接続部分からの落下や破損。パイプラインならジョイント部分。フィルター部分とそのメッシュ。食品がむき出しになっている上の部分、例えば天井を走るパイプや電線あるいはそれらをつり下げている金具やビス、ボルト。パッケージ機械の製品がまだパックされる前のラインの機械内上部のボルトや部品、あるいは稼働部分の破損や破断の可能性。
この方法で製造ラインを見て行くと、危険な個所がかなりあってびっくりすることが多い。実際に著者がHACCP担当者と見回って寒気がした例では、コンベアフリーザー投入口上部に落ちていたビス、数カ月前の取り換え時に落として割ってしまった蛍光灯の破片がまだ残っていたパッケージ機の天井、カッティングテーブル上の電源コンセントをつり下げていた破損寸前の針金、サビと塗料がはげ落ちそうになっていたパッケージ機投入口上部、サビだらけのエプロンハンガー〔サビ破片がエプロンに落下付着して、そのエプロンをして作業をすると食品に混入する危険がある〕、調理台の真上にぶら下がっていたホチキス、破損寸前の干物乾燥用網板、等、きりがない。


第2ステップは、問題の有る個所を、改善改良することが出来るかを検討し、可能ならば直すことだ。餅のメーカーで製造ラインの網を、細い金属製のものから、ステンレス製で、端を折り曲げたうえに綴じ込み式にして安全を高めた例などが有る。


第3ステップは、その危険個所とその理由〔例えば、ビスの落下、フィルターの破損など〕をリストにして、それぞれの点検頻度を決め、頻度ごとのチェックリストを作成して点検を始める。
頻度は重要だ。最低レベルの頻度は毎日にする。毎日例えば作業終了後の洗浄時に、問題が無いかをチェックしていて、もし問題が発見されたら、その日に製造した製品を保留する。あるいは分解洗浄後乾燥庫や冷蔵庫に入れて翌朝まで保管するならば、作業開始時に点検しても良い。製品を翌日になって出荷するならば問題が無い。

毎日でない場合、例えばロット毎とか、2時間毎など、より高レベルにチェックするようにできればその方が良い。例えばフィルターを、製品ロットが変わる度に点検するとか、連続して一日中製造するならば、2時間毎の休憩時間が終わって、再稼働する前、といった頻度である。より緊密に点検が出来る。製造に支障が無いレベルで点検が出来る頻度を危険個所ごとに決めることだ。


第4ステップは、点検頻度に応じた製品管理を明確にすることだ。毎日終業後に点検する場合、もし点検で問題があったら、その日の朝から製造した製品全てが問題の対象になる。しかし2時間毎に点検している場合、問題が発見されたら、その前の2時間の間に製造した製品が対象になる。この対象がすぐにわかるように保管できるようにしておくことである。

製品庫で一時置き場を作り、次の2時間で問題が出ていないのを確認してから、正規の置き場に持っていく。あるいは、連続して保管していっても、区切りの間にラベルなどを貼るなどして簡単にわかる方法をとる。これならば問題が出たときにも2時間の製造分が最悪無駄になるだけですむ。


緊急連絡網の構築

金属異物の問題に限らず、全ての何らかの事故があった場合、連絡が遅くなればなるほど被害やダメージは大きくなる。素早く連絡が取れて市場や出荷へのストップが出来れば、公報する必要が無いので、社内の処理だけで済ませることが出来る。

今までは、現場→部門長→工場長→トップといったルートを通り、この後半の過程で取引先への連絡と行動に移ることになる。しかし、トップへの連絡に時間がかかるとダメージを拡大する原因になる。

このようなことが無いようにする最速の緊急連絡方法は既に有り、どこでもすぐに出来る。メールの一斉送信だ。

問題の性質によって、グループをあらかじめ作っておく。工場長、担当部長へのグループ送信リスト。次にこれらに加えてトップも含めたもの。さらに自社関連のグループ全工場。さらに製品毎の販売先緊急連絡先も加えたもの。といった、レベルに応じた一斉送信リストに送信する。問題が出たらグループリストに送信するだけで、一瞬で全ての関係者に連絡することが出来る。関係者は電話に出れないことも多いが、携帯へのメールなら会議中でも見ることが出来る。
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