HACCP12ステップの1-5

2013/05/19 22:59 に 松本リサ が投稿

12ステップの1-HACCPチームの設置

HACCPチームの編成で、工場内を横断できる担当者、例えば品質管理者、工務担当者、衛生管理担当者、など、工場内監視者だけでチームを編成するとうまくいかないことが多い。というのは、HACCP活動の基本的単位は、各製造室で、各製造室でサニテーションも行なうし、記録も行うし、CCPに設定されているところではその管理を行なう。改善や検証も発信元は各製造室である。HACCPの重要な結果となり分析の元となる記録は、各製造室から出てきたものを、最終的にHACCPチームの管理するファイリングキャビネットに収められるが、この基本単位はあくまでも製造室である。ということは、HACCPチームの編成の基本は、各製造室からの代表がメンバーにならなければならないことになる。こういった仕組みなのだが、メンバーが工場内全体を見渡せる衛生管理担当者が中心になってしまっては、現場でのHACCP活動がうまく行かないばかりではなく、現場での不満になってしまうこともある。HACCPを行なうと言っても、どうせ上の方で勝手にやっているんだ、という見方を現場がしてしまっては、HACCPを実行する現場に関心が無くなってしまうことになる。これではHACCPはうまくいかない。QC活動は現場の各チーム、班が単位で工夫をし、考え、直し、改善を進めて行くのであるが、HACCPも同じなのである。

ではどういったメンバーになるかというと、例えば総菜工場だったとすると、製造室現場からは、下処理室から1名、揚物ラインから1名、煮物ラインから1名、焼き物ラインから1名、サラダサンドイッチラインから1名、冷却パッケージ室から1名、入出庫担当から1名、といったものになり、これに品質管理担当者が1名、リーダーには工場長、といった構成になる。これに加えてオブザーバーとして、社長、営業、原材料購入担当者、といった構成になる。揚物、煮物、焼き物ラインは同じ部屋で行っているのならばそれらのリーダーを代表して1名となる。そしてあまり人数が多いとまとまらないので、多くても10名程度にするといい。この例の場合で、揚物/煮物/焼き物から1名となると、メインメンバーが6名、オブザーバーが3名となる。これぐらいがちょうどいい。

チームが決まったら、組織図を作り発表をする。組織図は2通り作る。1つはチームだけのもの、もう一つは工場全体の中におけるHACCPチームの位置がわかる形のものにする。工場全体の中の位置は、オブザーバーに社長が入り、それに営業と原材料仕入れが入っているわけだから、これは工場全体にかかわる大きなプロジェクトだとわかるようになる。

12ステップの2〜3-製品についての記述と、意図する用途の確認

対象の製品についての詳しい情報を記述し、確認するために行なう。この2つのステップについて、厚生省の総合衛生管理製造過程では以下の形で統合して記述するようになっている。

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承認基準
(1) 製品説明書
ア 製品の名称及び種類
イ 原材料に関する事項
ウ 添加物の名称及びその使用量(使用基準が定められた添加物に限る)。
エ 容器包装の形態、材質(危害の発生防止のため、重要管理点において定める管理基準競設定の際に特に留意しなければならない場合に限る)。
オ 性状及び特性(危害の発生防止のため、重要管理点において定める管理基準設定の際に特に留意しなければならない場合に限る)。
カ 製品の規格
キ 消費期限又は品質保持期限及び保存方法(危害の発生防止のため、重要管理点において定める管理基準設定の際に特に留意しなければならない場合に限る)。
ク 喫食又は利用の方法(危害の発生防止のため、重要管理点において定める管理基準設定の際に特に留意しなければならない場合に限る)。
ケ 販売等の対象とする消費者層(危害の発生防止のため、重要管理点において定める管理基準設定の際に特に留意しなければならない場合に限る)。
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このうち「イ 原材料に関する事項」について、もし原材料の数が多く、一つの表の一部に書き込むことが出来ない場合や、生産地までの流通ルートなどを詳しくしておきたいという工場側の意向などがあれば、別紙に詳しく作成すればいい。産地や産地からのルートについては、イカのサルモネラ事件や、清涼飲料水のカビ混入事件などで、販売先を追跡することの重要性がわかってきているので、ぜひ注意深く作成するようにしたほうが良い。

12ステップの4〜5-フローダイヤグラムの作成

これからHACCPを構築するために必要な基本的な製品の製造工程を記述する。製造している製品についていきなり考えられる危害をリストすることは難しい、あまりにも多くのことが出て来てしまうからである。正確に確実に危害をリストしたり、これから進める作業をするために、まず、現在の製造工程を分解するところから始めるのである。製造をするということは、製造の工程が必ずあり、その工程を整理することによって、現在どのように製品を作っているかを明確にする。そして、製造工程がもし10工程になったとすれば、それぞれの工程ごとに、危害をリストし、その危害をコントロールするにはどうしたら良いかを考えるのである。一つ一つの各工程に分けて危害分析とコントロール方法を考えるのである。これによって問題を整理し、分析し、解決策を細かく確実に考えていくのである。HACCPの手法というのは、このように問題解決の手法として素晴らしいものなのである。

このフローダイヤグラムは工場内での製造動線の解析、ゾーニングの確認にも使われる。フローダイヤグラムが出来たら、それが現場で正しく並べられているか、正しい動線になっているかを見てみたり、新しく工場を設計する場合には、フローダイヤグラムに添って工場のレイアウトを設計していくことになる。このために、フローダイヤグラムは、正確に、慎重に作成していかなければならない。フローダイヤグラムを作成中に疑問が出たり問題点を発見することもある。問題を発見したら、それは製造システムを改善するためのヒントかもしれない、もうこの時点から問題に直面してしまうことになったら、喜ぶべきことである、善くするチャンスに早々と出会ったからである。ここで面倒くさいからと疑問を残したまま進めると、後々まで問題を引きずることになり、結局フローダイヤグラムから再スタートすることになった、などということもある。慎重に、正確に進めることだ。
総合衛生管理製造過程では以下のように規定している。
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(2) 製造又は加工の工程に関する文書
ア 施行規則第4条第1号ロ、乳等省令別表三の(一)の(2)に規定する製造又は加工の工程に関する文書には、次の事項が記載されていること。
(ア) 製造又は加工の工程
(イ) 製造又は加工に用いる機械器具の性能に関する事項
(ウ) 各工程ごとの作業内容及び作業時間並びに作業担当者の職名
(エ) 機械器具の仕様(危害の発生を防止するための措置に係る事項に限る)。

イ 当該文書は、実際の製品の製造又は加工の操業中の作業現場において当該製造又は加工の工程を確認する等により正確に作成されていること。
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