複合による危害の発生

2013/04/13 16:25 に 松本リサ が投稿
給食のメニューの1つの鶏の唐揚げに「中が赤い」というクレームが立て続けに来た。これは毎月取り入れられているのだが、今まで問題はなかった。いつものメニューを、いつもの加熱調理で行っているので、問題は出ないはずなのに、どうしてこんなことになったのか…… 
CCPであるフライ後の中心温度記録を見て見たら、75℃以上の基準に対して75.1℃と75.2℃の、ギリギリだが合格レベル。この時間は短いので2回の計測になる。 
何個かクレームになった、半分齧って歯形が付いた唐揚げを見ていたら、大きなピースが加熱不足になったのではないかと考えてみた。 
あるいは、冷凍庫から出してから半解凍してフライヤーに投入するが、この時解凍が進んでいなくて、規定よりも低かったという問題があるかもしれない。
しかし投入する前の中心温度記録を見て見たら問題無い。 
原材料のポーションが不安定では無いかについて、冷凍庫から現物を出して広げ、重量を調査してみたら、誤差はあるが、まあ点数でいえば70点レベルで、良くはないが問題あるレベルではない。 
その時、この箱を見ていた一人が「箱の外側に書いてある内容に違和感を感じ、違和感は、表示が違うことだと分かった。 
いつもは「加熱済み」と書いてある部分に、何も書いていない。そこで細かいスペックが書いてあるラベルを見たら「非加熱」とある。 
今までは加熱した鶏肉に衣を付けてある冷凍原材料だったが、この箱は非加熱の鶏肉に衣を付けてある製品だったのだ。 
これでは、以前と同じ加熱調理をしたら、中心まで加熱されないのは当たり前だ。 
どうしてこんなことになったのか、仕入れ担当の方に聞いたら、この工場で仕入れる原材料は、監督的な立場のある外部組織が決めることになっていて、そこから降りてきた原材料だったということだ。
そして、仕入れ担当者は、多くの原材料を管理していて、この違いに気付かないまま放置しておいたようだ。 
そこで今度はその監督的立場の方に問い合わせたら「コストダウンが出来るので、替えた」ということ。 
加熱製品と非加熱製品では、当然製造コストは非加熱製品の方が安いに決まっている安全性が分かっていない監督者は、今までの唐揚げ原材料よりも安いのを見付け、コストダウンの成果を喜んだようだ。

問題は複合で発生することが多い
この問題を整理すると、 
1. 仕入れ担当者の原材料スペックの違いについての認識不足。 
2. 仕入れ担当者と製造現場のコミュニケーション不足。 
3. 監督者の単純な〔コスト〕成果主義。 
4. 監督者と仕入れ担当者のコミュニケーション不足。 
以上が仕入れ〔購買〕に関する問題だが、この原材料のメーカーの問題が加わる。 
5. 誤解が起こる表示。 

これだけスペックが違ったら、「注意:非加熱製品」と、大書して確実に伝達出来るようにしておかなければならない。 
そして、CCPの記録が2回ともギリギリながら合格なっていた点だが、どうやらたまたま小さいピースを計測したのだろう、となった。複合がまた一つ加わった。
この問題では、上記6つが複合して起こった。どうしてこれだけ重なったのか、となるが、不良の発生は複合して起こることが非常に多い。

あるレストランで提供しているカレーから食中毒が起こった。 
この原因は、まず、いつもは前日残ったカレーを、新しく製造するカレーに加えるのだが、この残ったカレーの量が結構多かった。 
次に、残ったカレーは、平たいホテルパンに入れて冷蔵庫に入れて帰るのだが、量が多かったので、寸胴鍋に入れたまま冷蔵庫に入れていた。この為、中心部まで冷えていなかった。 
このような前日の残りを、当日新しく作るカレーに入れた。 
そして、いつものように調理したが、加熱不足になり、これを鍋に入れたままにし、店がスタートする少し前にスチームコンベクションオーブンで再加熱してオーダーを待つのだが、このスチコンの再加熱をするのに、担当者が休みだった為、よくわからない新米が、オーブン横にあるマニュアルを見ながらやったのだが、それがどうも違うメニューで、パワー不足だったようだ。 
残った量が多かった、緩慢冷蔵になってしまった、新米が間違えて加熱不足になった。この3つの複合で食中毒事故になってしまったのだ。

この対策だが、製造の各工程で、力量のあるものが安全のチェックをして、合格しなければ次の工程に行けない仕組みにしておけば、このようなことは起こらない。
これがHACCPの仕組みだ。この為に、余分なコストはかからない。

著者は先日、井の頭線の渋谷駅で自動改札を出る時、ピンポーンと音がして後ろの人が残高不足で引っかかった。
気にせず地下鉄へ乗り換えるのに、銀座線改札を入ろうとしたら、残高不足で引っかかった。
チャージ機まで戻ってチャージしようとしたら「駅に問い合わせてください」と出てチャージ出来なかった。
混雑混乱の中をよろよろ抜けて、駅員の所まで行って聞いたら、井の頭線を出る時に残高不足になっていたので、その不足50円を払ってください、という。ああそうか、あの残高不足は私のだったのだ。「それなら今とりあえず急ぐから千円をチャージしたい」といったら、「ここでは残高分しか受け付けられない」という。
仕方ないから50円払い、そのままでは6円しか残っていないから、また混雑の中を戻って、チャージ機に行って千円入れ、やっと乗ることが出来た。
おかげで待ち合わせに遅れてしまった。 
複合による危害の発生に気を付けましょう。
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