従事者からのハザード防止

2013/04/04 17:14 に 松本リサ が投稿

従事者入口

従事者から工場に入ってくるのは、毛髪やゴミ、細菌、ウイルス等、人に付着したものと、虫といったものだ。

虫は人に付着しても入って来るが、入り口が開いた時にも入って来る。搬入出口はドッグシェルターやインターロックといったのがあるが、従事者入口からも入って来る。

そこで、扉に加えてビニールカーテンや、費用があるならエアカーテンの設置でかなりの効果を上げることが出来る。

扉の下や横に隙間があると虫が入ってくるので、塞ぐ。

自動扉でない場合「開けたらすぐに閉める」ルールを徹底する。

この扉の外側と周り1メートルぐらいの壁にニームを使った虫の忌避材を塗ると虫が寄り付かなくなる。ニーム忌避材は毎月塗って効果を持続させる。(ニームの忌避材は<http://www.ecologia.co.jp/>を参照)
そのあと下足入れになるが、この部分に補虫器が設置出来るならした方が良い。これは捕獲する虫の分析(内部発生か外部からの侵入か)ではなく、入ってくる虫を捕まえる目的だ。

外に漏れる光で虫を寄せ付けないように、防虫フィルムや塗料を使う。そして低誘虫蛍光灯にすると良い。

この場所に余裕があれば、コートをかける場所を用意すると良い。コートにはゴミや毛髪が付着しているので、これをここから中に入れないように出来る。

更衣室での交差汚染防止

更衣室では私服と作業衣が一緒になるので、私服に付いた毛髪や異物が作業衣に付着し、工場内に入る危険がある。

ロッカーの中を点検してみると、着替えや汚れ物、私物、タバコ等、ごちゃごちゃの状態のもある。こんな状態だと工場内に異物が持ち込まれる。

ロッカーの使い方は、上に作業衣、下に私服が基本だ。逆や乱れていると私服のゴミが作業衣に移る。
着替え方は、私服を脱いでロッカーの下に全部入れてから、上段にある作業衣に着替える。一人にロッカーの上と下を与えて徹底している工場もある。

私服と作業衣の置き場所の分離例
従事者は工場入り口にコートをかけてから更衣室に向かうが、その間に一人1本ずつのブラシが用意してあり、軽くブラッシングする。毛髪は一日50〜70本場抜け替わっているので、ブラッシングすることである程度の毛髪を除去することが出来る。そのあと更衣室に入るが、入ったら自分のロッカーに私服を入れ、下着になってから、作業衣が置いてある離れた場所に行き、そこで帽子と作業衣を付ける。そして工場に入場する。
仕事が終わって帰る時は、ロッカーに入ってから作業衣と帽子の置き場で取り、自分のロッカーに行って私服を着て帰る。
作業衣を洗濯したものに取り替える日には、作業が終わって更衣室に入ると洗濯物入れが置いてあるので、これに汚れた作業衣を入れ、ロッカーに行って私服に着替えて帰る。翌朝更衣室には新しい作業衣がセットされているので、それを付けて工場に入る。
こうすることで私服と作業衣の交差を防ぐことが出来る。この方法は少しのスペースがあれば出来、費用は殆どかからない。

入場の順番

帽子と作業衣を着けたあとの順番だが、靴を履き、粘着ローラーをかけ(ローラー→靴の場合もある)、その後手洗い(ローラーと逆では、ローラーのハンドルで手が汚染されるのでダメ。ローラーをかけたあと手洗いでなければならない)、そしてエアシャワー(出きれば仕上げとしてあったほうが良いが、予算がなければ無くてもよい)となっているところが多い。

これで良いが、エアシャワーがあるところでは、手洗いはエアシャワーの前がよいかあとが良いかとなると、エアシャワー内では埃を吹き落とす、つまり埃が舞うわけで、それが手に付着することにもなる。それなら手洗いはエアシャワーの後の方が良いことになる。あえて費用をかけてこうする必要は無いが、もしどちらにでも出来るなら、エアシャワーの後に手洗いという手順も考えてみる。



帽子の機能

毛髪の脱落防止のためにはインナーネットを被ってから頭巾型の帽子を被る。

ある納豆工場で、旧式のものからこの高機能型に変えたところ、毛髪混入クレームがかなり減り、効果が確認された。ところが夏に入って暑くなって従事者が耐えられなくなり「夏の間だけ」ということで以前の帽子に切り替えた。結果、直後から異物混入クレームの激増になり、慌てて高機能型に戻した。

最近は清涼型の帽子や作業衣が出てきているので検討したら良い。


作業衣

わき毛などの体毛落下防止のため、袖の中にインナーネットがある型が良い。ゴミの溜まり場になるポケットは無いほうが良い。ロッカーのキーの収納場所だが、ズボンの内側にマジックテープで止める小さな専用ポケットが付いているタイプがある。

ボタンは欠けたり落下するし、止めてある糸がほつれるので、ファスナー型にする。ファスナーも欠けたり外れたりしない構造のものを採用する。

帽子も作業衣も、機能を試すために、まず最も重要な作業工程で試用してみて、効果、装着の良さなどを確かめてから全面的な採用を考えたら良い。複数のメーカーのものを取り寄せて併用してみる方法をとる所もある。

作業靴と置き場

食品工場では長靴、という考え方は昔からだが、そうでは無く、作業場所に合わせて選定すべきだ。長靴よりもスニーカー式の方が作業製が良く疲れも少ない。水を大量に使ったり、床がウエット、あるいはかなり汚れているといった所でなければ、スニーカー式の方が良い。工場の改修をきっかけに、長靴かスニーカーかを考えてみよう。

置き場だが、扉が付いていると汚れと臭いが溜まり、カビが増殖するので、オープン式が良い。扉が付いている靴置き場だと、人によってはかなり汚れているし、そういった所ほど錆が出て、靴そのものも汚い。錆は異物混入の原因にもなる。

扉を取り去ると、汚い靴が無くなり、カビ、汚れ、臭いも無くなる。

最近の靴置き場は差し込み式にしているところが増えている。もともとヨーロッパ系の食品工場ではこのタイプだが、それを日本でも採用するようになってきた。これだと長靴もスニーカーも一緒に置けるし、靴底の汚れもすぐ判る。

静電気対応

静電気を帯びていると、埃が付着する。作業衣の素材によっては、静電気を帯びやすいものもある。可能であれば静電気防止タイプにするとよい。

静電気を除去するための除電すだれというのがある。これをエアシャワーに入る手前にたらしておくと、エアシャワーの直前で静電気を除去してくれるので、エアシャワーで埃が落ちやすくなる。

手洗い設備

手洗いは衛生安全管理の根幹なので、改修で費用をかけられるなら、充実させたほうがよい。基本的には、手開けの栓やノブなどが無い、肘開け、あるいは自動作動タイプにする。手洗いのところで取っ手によって汚染してしまっては困る。

冷たい水だと時間をかけて洗わない人も出て来るのと、あかぎれにもなりやすい。あかぎれになれば黄色ブドウ球菌の発生につながってしまう。効率の良い洗浄のためには、湯が必要だ。

手順はいろいろなガイドラインに出ているが、ポイントは時間だ。長ければ長いほど良いが、人数が多いと効率の問題もある。そこで、検証をしてみる。

手順に添って何人かでやってみて時間を計測し、終わってからスタンプ検査をして、効果的な時間を突き止める。自動洗浄タイプではその時間にセットする。そうでない場合、秒針だけの時計を用意して「45秒確保」など、目でわかるようにしておく。

乾燥は、ペーパータオルかエアタオルにする。
エアタオルだが、壁面設置で手を差し込んで抜きながら乾燥させるタイプだと、内部壁面がどんどん汚染して行くので、時間やタイミングを決めて拭き消毒する必要がある。壁面が汚染していれば、それが手に付着してしまうからだ。ここがどの程度汚れているか、一度検査してみることだ。

エアタオルをこれから選定するなら、吹き落としタイプがいい。シンクに吹き落とせば機械の洗浄は不要だからだ。小型で強力なタイプに、台湾新幹線で採用されているものがある。これは音はかなり大きいが、性能抜群だ。<http://www.electron.co.jp/airtowel/airitem.html>

手洗い後の殺菌

手洗いが終わったあと殺菌する。ここから製造現場まで、取っ手に手を触れるところがないかどうか、点検してみる。

アルコールはノロウイルスに効きにくいため、ノロウイルス対応のものに切り替えるところも次第に出て来ている。アルコールに比べて費用は高くなるが、最近低価格タイプも出て来ているので、検討してみたら良い。たとえば食品添加物を使った製品も出て来ている。<http://www.ecologia.co.jp/ec/anti/index.html>

ウイルス対応として、ジアソーを使うところもあるが手荒れになってしまう人も多いので、手袋をしてからジアソー液に浸ける方法もある。手袋を付けるとき、素手で手袋の表面をいったん掴んでから装着することになり、わずかだが手袋表面への汚染問題が出てくるが、手袋装着後の殺菌なら大丈夫だ。

逆性石鹸を使う場合、手荒れがしやすい人向けに薄い液を別に用意しているところもある。

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