CCPかCCPでないか

2013/05/19 22:17 に 松本リサ が投稿

ハザード(危害、危害要因)を制御するレベルは三段階ある。
PP(一般的衛生管理)の、基礎レベルのものと、重要なPP。そしてCCP。
ISO22000では、PPの基礎レベルを「PRP」、重要なPPを「OPRP(オペレーションPRP)」と言っている。
OPRPは、食品が直接接触する面、食品機械のナイフ、内面、容器など、重要な場所を、ふき取り検査やATP測定器等でモニタリング(オペレーション)して、問題無いかどうかを確認できる「管理手段」があるものだ。
OPRPは「製造環境からハザードを低減」させる。
これに対してCCPは「食品からハザードを除去」する。
OPRPもCCPも、温度、時間、検査測定などの「管理手段」があるものだが、違いは「製造環境からの低減」と「食品から除去」と、大きな違いがある。CCPは「劇的」「とどめ」と言った表現もできる強固なものだ。
75℃以上なら食中毒菌を殺菌出来るからCCP。ミキサーの内面をATP測定器で検査して数値が500以下なら作業を開始してもよい、という方法ならばOPRPだ。

炊飯のCCPは?

大型の自動ラインで炊飯を行なっているある工場でCCPの検討に入った。普通に考えれば加熱工程がCCPになる。
さて、製品になる「炊いたご飯」の危害は「加熱不足による食中毒菌の生残」になるかというと、そうではない。万一加熱不足でラインを出て来てしまったら「ご飯が出来ていない」ことになる。
万一こうなったら、装置が駄目なので、修理するなりして正常に戻して新しく炊くことになる。
ご飯でよくあるクレームは「水っぽい」「ぐちゃっとしている」というのがあり、これは洗米段階や水の量の不良による。冬と夏の水温差で状態が違ってくる。水の量も、御飯の柔らかさ硬さに多いに関係する。どちらも危害では無いが、品質、味のクレームになる。
「ご飯が焦げていた」も、最近はクレームになる。お焦げは著者などは大好き大歓迎で、お焦げが食べたいから土鍋でご飯を炊くぐらいなのに、これがクレームになってしまう。ご飯が硬いことはクレームになる。
ご飯の問題は、品質クレームと、異物混入だ。
炊飯用の特殊な温度計はある。炊飯釜の中にセットをして、温度を測定し、炊飯後確認できるものだが、調理がうまくいっていなかったら、釜の蓋を開けて温度を確認する前に「ご飯が出来ていない」ことを発見することになる。商品にはならない。どんな状態で加熱されていたかをこの温度計で確認することは出来るが。
そこで、この工場では、過去のクレーム、全て品質クレームを、これから出来るだけ少なくするために、洗米工程の気候と米のタイプ(顧客ごとに米のブランドやブレンドが違う)に連動した対応と、異物混入監視の強化、最終の金属探知機(これがCCP)で管理をすることにした。加熱工程はCCPではないし、温度計も使わないことになった。
同じ考え方で、豆乳と豆腐でも、加熱工程はPPで、CCPは金属探知機だけにした工場も多い。

カット野菜、サラダのCCPは?

カット野菜やサラダの製造工程では、食品(野菜)から食中毒危害を除去できる加熱殺菌工程が無いので、金属探知機以外にCCPは無い。
あるカット野菜の工場では、カットした野菜を洗浄するのに、4連の自動洗浄ラインを通している。素洗いをした後、水道水よりも濃度の濃い塩素水で殺菌洗浄をするが、この塩素濃度と水温をCCPにした。その後普通の水道水ですすぎ洗いをしている。
ある弁当製造工場では、生野菜の洗浄を、塩素濃度の濃い水で殺菌洗浄するのは、人が食べるものを、塩素でかえっていったん危険な状態にさらすことになる、という判断から、機能水、酸性水を使って洗浄するようにした。
そして、CCPは、酸性水生成装置から正常に酸性水が出来ているかをモニタリングする部分にすることにして、このモニタリングの最も効果的な方法を検討中である。
ある総菜工場のサラダ加工工程では、野菜の洗浄で殺菌出来る特別の水の設備が無いため、水道水で洗浄後、氷水で一気に冷し込み、その後の組み立て、保管、配送、納品までの間を10℃以下で管理している。冷し込み以降の段階は全て温度モニタリングが出来るので、これらをOPRPにした。
その後、このOPRPの中で最も重要なポイントを一つ選んで、「食品からの危害の除去にはならないが」CCPに引き上げて管理をしようということになり、保管庫から配送に出す前の温度測定をCCPにした。劇的ではないが、他に無いので、CCPにしたわけだ。
ほうれん草などの野菜の和え物を製造している工場で、CCPの検討に入った。
和え物は、野菜をボイル、ブランチングした後、冷却し、他の食材や調味液とミックスする。
野菜の和え物における事故を調べてみると、学校給食で野菜の和え物の食中毒などがあり、原因は、和える、ミックスする際に汚染された例がある。ブランチングでの加熱不足よりも、冷却後の食中毒菌の混入と増殖の問題が深刻だとわかる。
そこで、CCP1を、ブランチングでの温度。CCP2に、冷却後のミックス工程で使用する機器道具全ての直前ATP測定器検査。CCP3に、金属探知機にした。
CCP2は、食品からの危害の除去にはならない。どちらかというとOPRPなのだが、この工程が一番危険だということで、あえてCCPにした。また、この工程でもう一つ重要なのは、従事者の手洗い、手袋と帽子、マスクの着用だが、これは個人衛生で管理することにした。

CCPは、現実的、合理的、効果的、かどうかを検討すべきだ。
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