500万年前の塩と精製工場

2013/05/06 19:48 に 松本リサ が投稿
WAソルト」の500万年前の塩と精製工場

西オーストラリアの奥地「デボラ湖」で収穫する、全く天然の、海からの塩です。
500万年前「Pliocene,鮮新世」に出来たものです。

塩には、大きく分けると2種類あります。化学塩(精製塩)と、自然塩です。化学塩は字の通り化学的に製造されたもので、純度が100%に近いものです。自然塩は、海水を原料とした塩や、天然の岩塩です。日本では昭和46年に「塩業近代化臨時処置法」によって塩田が無くなり、完全な形での自然塩をつくることが難しくなってしまいました。

自然塩は、一般的には海水の水分を蒸発させてつくりますが、これには時間とコストがかかります。そのため日本で生産される自然塩は、高純度の塩に、ミネラル分を加えて溶かし、それを乾燥させて作っています。したがって、価格も高いものになります。

さて、ここの塩ですが、地球の歴史が偶然に作り上げた非常に珍しいもので、他にこのようなところはありません。採取場所は、西オーストラリアのパースから東に向かって約450キロのところにあります。

まず、西オーストラリアには、海から内陸に向かって西風がいつも吹いています。この風が、西海岸の荒れる海の飛沫を内陸に太古の昔から運んでいました。現在も同じです。その海水を含んだ風が、海岸から450キロ東の、まるで両手を広げて風を受け止めるような独特の形をした山脈に当たり、せき止められ、さらに面白いことに、その下にあった浅い湖(さらに昔は川だった)に落ちて、沈殿し、塩とミネラルの粘土のような状態になって溜まりました。これをオーストラリア政府調査機関 CSIRO が調査したところ、約5百万年前のものだとわかったのです。

↑中央の部分。東西20キロ、南北8キロある。この面積の2%程度だけを現在収穫している。

↑ここに来るまでの地形は、全く平たん。途中にも小さな塩の池がある。

↑セスナからの収穫地域のアップ写真

↑車で来ると、途中から「速度制限無し」の道路になる、その道路標識。

この粘土状のものが、どのように塩になるかですが、この地域は、現在でも人の住む場所ではありませんが、砂漠的な場所で、雨期と乾期があります。まず、4月から8月ぐらいの雨期には雨が降り、もともとできていた表面10センチぐらいの塩の表層に、水分が粘土の中にある塩分をまた吸い出し、新たな濃い塩水の層ができます。そして、それが乾季に入ると、強烈な太陽光が塩の水分を乾かし、岩のような塩になります。この乾季の始めにできた塩は、実はまだ粘土状の中にあるミネラル分をあまり含んでいません。溶ける時間が、塩と、ミネラルでは違い、塩の方が早く溶けるからです。現在は、乾季の初期のこの塩を採取して、少しは含まれてしまっているミネラル分を洗い流して、99.9%程度の高純度の塩をとっています。工業用に使う塩は、純度が高くないとだめなので、ミネラル分は「不純物」になってしまうからです。

純度の高い塩が取れるのは10月から1月ぐらいです。今までは、この「高純度」の塩しかとっていませんでした。

さて、1月も終わりになってくると、そのまま乾季は続いているのですが、今度は、粘土の中に入っているミネラル分が、やっと溶け出し、毛細管現象によって、表層に染み出してきます。最初にカリウムなどの比較的早く溶けるミネラル分が出て来て、最後にもっとも遅いマグネシウムが出てきます。塩は、多くのミネラルが表層に出てくる2月末から3月初めごろに「収穫」します。

↑左は、収穫前。右が収穫後、塩が多少浮き出てきたところ。

↑表面に浮き出てきたミネラル分

↑塩の表面に出ているミネラル分を採集。これを料理に使うと最高。

異物除去にも成功しました

高純度の塩は、採取した後、ある程度入っているミネラルと、表面に時々落ちているブッシュファイアー(山火事)の燃えかすや草の破片などを洗い流して製品にします。しかし、「ミネラル・リッチ塩」は、ミネラルを洗い流したくないので、最初に表層を薄く削って、それを捨て、その下のクリーンな部分を収穫します。そのため、わずかに燃えかすや草の破片などが入るが入る可能性があります。化学塩と違い、全く天然のままですから、これは仕方ありません。最初の頃、この異物除去の問題は解決できませんでしたが、2000年初めの製品から、この問題は無くなりました。技術的には、いったん洗い、洗った水(ミネラルが入った水)からゴミをフィルターで取り除き、それを元の塩に戻す方法です。塩は水を直ぐに吸収しますので、ゴミ無しのミネラル塩になるわけです。
↑右側のトラクターで表面を削り取り、その後遠方右側の採取車ですくい取り、ダンプカーに放り込む。除雪作業と同じ方法。

↓収穫後、オーストラリア大陸横断鉄道でパースまで運ばれる。

↓塩専用の最高品質ステンレス製コンテナーで、加工、パッケージ工場へ

↓ごくまれに入る、トレーラーなどの収穫車両からの鉄分を強力マグネットで除去した後、巨大な風洞で塩を拡販しながら熱風を送り、水分を除去する。

↓さらにマグネットを通して、粉砕機へ。

再びマグネットを通して、メッシュを合わせる(粒子を合わせる)。マグネットは製造工程で5ヶ所ほどあり、目に見えないような砂鉄があった場合でも除去する。試験的に金属探知器で検査したことがあるが、全く検知されなかった。

↓コンピュータ管理で、25キロの袋にパッケージする


↑パッケージ。2重のプラスチックバッグに入れられ、パレットに乗せた後、さらにフィルムで全体をカバーされ、コンテナーに乗せられる。

成分
↑全く自然のものですので、収穫年、時期などにより、毎年いくぶんか違います。
(日本国内で出回っている塩にはかなりミネラルが多いのがありますが、これはミネラルを添加したもののようです)

Q&A

* 工場の品質管理はどうですか?
o 品質管理の国際基準「ISO9002」の取得工場です。オーストラリアと、ニュージーランドは、ISO9000シリーズを基本に品質管理をしています。


* オーガニックではないのですか?
o オーガニックは、人間が人工的に「栽培」「飼育」「養殖」などをしたものに対して行います。全く自然のものについては、オーガニックにはなりません。養殖の魚はオーガニックの対象ですが、漁船が漁業で捕った魚は、オーガニックの対象になりません。この塩は全く自然なものなので、オーガニックとは関係ありません。


* 小動物や鳥の糞の影響は無いのですか?
o 塩の平原には、餌になるものが全くありません。そのため動物が湖の中に入り込むことは皆無に近いそうです。鳥も同じです。時として横切るときはあるかもしれませんが、そこで糞が落ちたのをレスター社長は未だかつて見たことはないそうです。それと塩は下から上にゆっくり上がっていきます。ですので、仮に砂、糞があったとしても一番上の表面を削ることにより除去されます。中に砂が入る事はありません。鍾乳洞の中で氷柱状の鍾乳石が成長するようなものです。違いは、中からしみでてくるので、汚れは常に一番表面にあります。仮に入ったものを採取しても、乾燥工程で完全滅菌し炭化してしまいます。バクテリアカウントは、0です。


* 現在、川はあるのですか?
o 湖は古代の川に跡ですが、乾燥しきっているので川はありません。サイクロンで大雨が降っても湖に水が溜まるだけです。その水が他に流れ出すことはありません。


* 水質検査を行ったことはありますか?
o これは行ったことはないようです。が、雨が降ると地下の塩分が上昇して解けます。そして太古の高濃度の塩水になります。そして蒸発して塩が残ります。近くには、環境を汚染するようなところは全くありません。それと塩水であるかぎりバクテリア等の繁殖は難しいと思います。


* 近くに農場や工場はあるのですか?
o 一番近い農場は50Km先です。本当に小さい町ですが、カルグーリーという町までは150キロあります、大きな都市はパースですが、ここまでは450キロあります。農業の使用した排水が入り込むことは全くありません。近くに工場は全くありません。私も何度も行きましたが、塩の関係者以外の人に会ったことがありません。想像を絶する場所です。でも砂漠ではありません。鉱山が20Kmのところにありますが、ただの露天掘りでブルドーザーで鉄を集めているだけです。水も薬品も何も使わないそうです。


* 食用の塩の販売はいつごろからやっているのですか?
o 50年前から販売しています。この会社は家族経営です。親の代から継続しています。

* 電話はあるのですか?
o 衛星電話しかありません。


* 収穫期に、作業員はどうするのですか?
o キャンプがあり、そこで生活します。収穫期以外は、管理者のみ居ます。


* どうやって行くのですか?
o パースから車で行きます。国道の途中から砂漠の中の道になり、速度制限が無くなります。しかし、カンガルーが飛び出してくるので注意が必要です。この道を50キロほど行くと、塩湖への非舗装の道に入りますが、ここにはゲートがあり、一般車は入れません。ここからさらに20キロほど行くと、キャンプに到着します。そこからさらに収穫地に入っていきます。

パース空港から飛行機をチャーターして、約1時間のフライトで行くことも出来ます。塩湖から車で25分ほどいったところに非舗装の滑走路が作ってあり、そこに降り、キャンプから時間を合わせて迎えに来てもらいます。

塩の下にある粘土「泥」

なお、塩の下にある粘土「泥」ですが、この中には、塩分と、ミネラル分がたっぷりと入っています。この泥は色は濃い灰色、中には結晶化したミネラルがたくさん入っています。
↑塩の下にある泥のサンプル採集中。

↑遊びでつくった塩水池、浮かんだまま本が読める。浮かんでいるのはレスター社長。

※この塩は、1999年頃、フーズデザインが日本に紹介したあと、いくつかのルートで販売されています。
直接コンタクトされたい場合は、WAソルトにどうぞ。フーズデザイン加藤の名前を出していただければ、レスター社長は「ああ、懐かしいな」となると思います。
Comments