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週刊HACCP:過去の記事

東北産を、買おう、売ろう、応援しよう!

2013/10/29 22:22 に 松本リサ が投稿   [ 2013/10/29 22:32 に更新しました ]

東北関東大震災からの復興を応援するシンボルマークを、
日本トップクラスのCIデザイナー プラクシス原田進さんデザインしていただきました!

食材、食品、県産品、市場、物流、車両、観光などにご利用下さい。
著作権フリー、ご自由にお使いください。
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使用例




食品企業経営にとってのHACCP:衛生管理とHACCPはコストダウンにもつながる

2013/05/20 16:03 に 加藤光夫 が投稿   [ 2013/05/21 16:17 に 松本リサ さんが更新しました ]

1.HACCPは箱物ではない、古い施設で出来る


「HACCPは施設設備に金がかかるそうだから出来ない」と勘違いしている食品工場や厨房がまだかなりある。
HACCPは、老朽化した施設でも建物のすき間をふさいで虫の侵入を防ぐとか、設備機器のメンテナンス、清掃洗浄と言った、いわゆる一般的衛生管理をしっかりすれば出来る。
これらは、大きな改修は別にして、特に金のかかることではない。

ある工場でHACCPの構築を始めだし、最初にやることは整理整頓だった。
作業場所の清掃洗浄をやりやすくしようとしたが、作業台の下に、ぼろぼろの発泡スチロールボックスに入った大量の軍手、崩れかけた段ボールボックスに入った時々しか使わないトレイ、あまり使わなくなった道具が入った汚れたサンテナーなどがあり、清掃がしにくくなっている。作業台の上から泡洗浄をしたいのだが、これでは水もかけられない。
そこで「常に使うもの以外は、作業場の隅か外に置く」という整理をしてみたら、ほとんど無くなってしまい、きれになった。そこで泡洗浄が出来るようになった。
これには全く金はかからない。

2.作業環境をきれいにすることが基本

作業場所に、ゴミ、埃、カビがあると、これらが異物混入になる。汚れていれば細菌もたっぷりいるし、加えて湿度が高ければ、カビも細菌も元気に増殖する。

作業場所がきれいになれば、これらの異物混入や食中毒の元が少なくなるので、製造環境がかなり安全になる。

「整理」で、いらないものを捨てたり外に出すと、作業場所が広くなるので、清掃がしやすくなる。「整頓」で、残ったものの置き場所を決めれば、道具がないなど、無駄に時間を使って探すことはなくなる。

整理整頓した後「清掃」して、ゴミを取り去り、その後「洗浄」で目に見えない埃や細菌を洗い流し去る。そして最低レベルの「殺菌」で、細菌を殺す。最低レベルというのは、整理整頓清掃洗浄がしっかりしていれば、殺菌剤をあまり使わなくてもいいし、費用も少なくて、殺菌剤が食品に混入したり臭いが残ったりという問題もなくなる。

この様に出来ると、虫の内部発生、カビや細菌の増殖もかなり少なくなっていく。

これにも金はかからない。逆に、洗剤や殺菌剤、あるいは殺虫剤の使用が少なくなり、洗浄水の節約にもなれば、コストダウンにもなる。

製造環境をきれいにするということは、危害の元をかなり少なくして安全になることに加えて、コストダウンにも結びつくのだ。

ある工場では、一般的衛生管理の構築の中で、施設と設備機器の洗浄について、見直しを始めた。それまでは洗浄方法はやる人が適当に自由にやっていたのだが、これだと人によって汚れが落ちていないし、時間がかかったりしていた。

観察してみると、洗剤と殺菌剤をどうもかなり使っているようだ。適当に洗っても落ちると思っているのか、洗剤を「ガバガバ」使っているようだし、殺菌剤も「ぶちまけて」いるようだ。

そこで、大きな汚れやかすをヘラで落とし、水とブラシで粗ゴミを落とし、洗剤をマニュアル通りに希釈した泡とブラシで洗浄し、水ですすぎ、最後に適正な殺菌をする、という正規の手順を踏んだ方法にしたら、洗浄効果も上がり、洗浄殺菌剤の使用も少なくなった。水の使用量はあまり変わらない。結果的に以前に比べて劇的にきれいになった。この効果で、内部発生の虫も激減し、殺虫剤の使用もほとんど無くなり、総合的にコストダウンになった。


洗剤が食品に混入する事故が過去にかなりある。飲料に混入してしまうと大事故になる。製品そのものに入らなくても、パックを入れるコンテナーの洗浄後、すすぎ不足で臭いが残り「薬臭い」となって回収になった例もある。

殺虫剤や殺菌剤も、みだりに使うと食品に混入してしまう。量が多ければ人に危害を与える。

この問題を無くすためには、これらを一カ所に置くようにして、使うときに持って行くなり、小さいボトルに入れ替えて使用現場に持って行く方法がよい。


ある工場では、あちこちに置いてあった清掃道具と洗浄剤などを、一カ所の部屋にまとめておくようにした。考えてみれば、製造中は清掃洗浄しないのだから、離れて置いてあっても問題無いし、これらが作業場所に無ければ、混入の危険がないばかりか、作業場所が広くなる。


作業が終わってから洗浄剤と道具を取りに行き、終わってからまた戻すようにしたところ、予想通り、作業室がすっきりした。置き場所に行けば、すべての道具と洗浄剤などがそろっていて、在庫がすぐにわかるので、余分な在庫を持たなくても良くなり、わずかだがコストダウンになった。

ある工場では、作業終了後、短時間に(適当に)清掃していたのだが、HACCPの構築になり、ふき取り検査をしたらとんでもなく汚れていることがわかった。今まで良くも無事できたものだ。

そこでしっかり時間をかけて清掃洗浄をすることにしたが、今度はこれによってコストがかかるようになった。

でも、安全のためには仕方ないと、続けていたが、価格競争になり、何とかしなければならなくなってきた。コストダウンの方法をいろいろ検討し、徐々に進めていったのだが、清掃洗浄もどうにかならないかとなってきた。

清掃洗浄を簡略化すれば少しはコストダウンになるのだが、製品の安全性に当然影響する。これは先のふき取り検査で寒気がしたほどわかっている。

そこで、泡洗浄を検討してみた。泡洗浄をするためには、作業場所の整理整頓から始めなければならない。これに成功して泡洗浄を始めて見た。

泡洗浄は、水と洗剤を混合した泡をジェットウオッシャーで吹き付け、30分ほど放置して汚れを浮き出させてから、水で流す。強力が泡洗浄機は8メートルほど飛ぶので、大型の工場の天井まで一人で簡単に素早く泡を吹き付けることが出来る。

水で流した後、床の傾斜が上手くできているところは自然に排水され、その後乾燥する。そうでないところは、水切りをして、出来ればその後大型の工業用扇風機で乾燥させる。

この方法が良いところは、少人数で出来、時間も早いことだ。

この工場で、以前は作業終了後、数十名いる作業者の半分ぐらいで、2時間ほどかけて清掃洗浄にかかっていた。しかし泡洗浄に変更してからは「5名で50分」で終わるようになった。この工場は床の傾斜が理想的に出来ているので、水切りなどの作業は不要で、水でのすすぎの後、4時間ほど空調の除湿運転をするだけで完全に乾燥してしまう点も利点になった。数十人で2時間から、5人で50分。大変なコストダウンになった上、泡で洗うので、桁違いにふき取り検査の結果も良くなった。安全とコストダウンが両立した。

泡洗浄機の中型機に関して、購入や内容などのお問い合わせはここ

一般的衛生管理で製造環境がきれいになれば、危害の元は激減するが、皆無になったわけではない。あくまでも「少なく」なったのだ。従って、まだ食中毒菌が残っているのかもしれない。異物が残っているかもしれないのだ。

そこで、この「残っているのかもしれない」危害を「除去」、無くすことは出来ないか、とどめがないかを考えてみる。

食中毒菌が残っていた場合、もしその食品に加熱殺菌工程があれば、75℃以上(ノロウイルスは85℃以上)の温度にすれば殺菌することが出来る。とどめだ。これがHACCPになる。


製造環境で危害の元を減少させるのが「一般的衛生管理」、残っているのかもしれない危害を除去するのが「HACCP」になる。

異物に関してのHACCP、とどめは、金属が入っていた場合の金属探知機で、小ささの限界はあるが、ある程度までは除去することが出来る。

ということになり、安全対策の仕事量として考えると、一般的衛生管理で8割、HACCPが2割、といったところであろうか。

加熱殺菌工程でもコストダウンになる、あるいは利益になる。

HACCP構築を始めだした総菜工場で、温度がどのようになっているか、とりあえず5千円を投資して中心温度計を購入し、計測してみた。


フライヤーで鶏の唐揚げを造っているので、何も言わないで、毎日数回温度を測って、一ヶ月間みたところ、かなりの温度幅があることがわかった。とんでもなく不安定だったのだ。観察してみると、投入量が適当、投入時の食材の温度も不安定のようだ、フライ時間も経験なので人によって違う。

HACCPの資料では「75〜85℃」となっているが、計測はかなり乱れている。75℃以下の場合、油の温度が高く、表面に色は付いても、中はまだ半生、なんていうのもある。反対の85℃以上というのはかなり多く、95℃以上にもなっているのがかなりある。これは加熱不足が怖いので、オーバークック気味にしているからのようだ。しかしこんな温度にまで揚げてしまったのでは、堅くなり、ジューシーでなくなり、おいしくないし、重量でパックしているので、歩留まりも悪い。おいしくなくなっている上に損していたのだ。

そこで、投入食材の大きさと温度と、一度に投入する量を一定にし、油の温度も一定させればフライ時間も自ずと決まってくる。この組み合わせを突き止め、マニュアルにして作業を一定化したら、80℃プラスマイナス3℃に安定して出来るようになった。


これによって、加熱不足の危険はなくなり、オーバークックによる廃棄や歩留まり損失が無くなり、失敗、ロスが無くなった。今まで失敗などでの作業の停滞がちょいちょいあったのだが、これが無くなり、作業が途切れることが無く連続して行えるようになった。生産効率が上がったのだ。感覚的に5%程度だろうか。

歩留まり率が良くなったのは、失敗による廃棄ロスと、オーバークックによる重量ロスで、これも感覚的に5%程度だろうか。

生産効率と歩留まり率は、こうなることがわかっていればHACCP活動前に測定しておいて、改善後と比較したかったのだが、もう遅かった。

しかし、感覚的に合計10%程度が改善されたということは、10%のコストダウン、あるいは利益アップということになる。

競争が激しくなり、価格競争になってどうしようかとなっていたが、原材料を変えることは出来ないし、逆に低価格原材料に帰ることは営業上マイナスだ。こんな時に、製造レベルでの10%は大変な威力になる。

8.加熱殺菌(CCP)の後の工程はまた一般的衛生管理

ある総菜工場で、和え物系の細菌検査結果が悪いので、原因を探っていた。

和え物は野菜などをブランチング(ボイル)してから冷却し、ドレッシングやソースとあえる。

ブランチングは加熱殺菌でCCPだ。

CCPでとどめを刺せるのだが、この後の工程は冷却し、あえて、パッケージをする。そこでこの後の工程でせっかくCCPで殺菌をしても、バット、ボウル、ミキシングするフォーク、人の手などで汚染してしまえば何にもならない。

そこで、加熱殺菌後からパッケージまでの工程の間に入っているすべての機器道具を調べたところ、どれもこれも適当に汚れていた。原因はこれだった。

そこで、この後の工程に使うすべてのものの洗浄殺菌を徹底したところ、合格になった。

将来この工程の場所は、出来ればクリーンブースや、ビニールカーテンなどで囲う方がよいのではないかと「改善案」として提案した。


CCPの後の一般的衛生管理は重要なのだ。

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一般的衛生管理とHACCPの目的と効果

  1. クレームを無くす
  2. 製品を安全にする
  3. 製品を安定させる→品質を安定→いつも美味しい製品にする
  4. 製品が売れるように→競争力を高める
  5. 企業力を高める→効率化、収益性
  6. 不良品が減り、ロスが減り、ミスが減り、失敗が減り、工場の稼働率が高くなる

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HACCPを実施して良くなったというコメント事例

  • 安全性と品質の向上:クレームが減る
  • 生産効率のアップ:生産高が増える。前年105.5%と伸長
  • 利益アップ:利益がアップ(損益改善)
  • 競争力がつく:企業力アップ
  • リスクマネジメント:「クレーム対応素早く」「トレーサビリティー対応が出来る」

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9.動線とゾーニングの整備でコストダウン

動線とゾーニングが整備されていると、その状態にあるだけである程度の安全性が確保される。

動線が一方方向だと作業がシンプルになり、交差汚染が無くなる。

動線を出来るだけ短くすることで、交差汚染の可能性が少なくなるし、作業時間が短縮でき、作業者と製造中の食品の移動が少なくなり、コストダウンになる。

ゾーニングが出来ていると、交差汚染が無くなる。

こういった、安全とコストに絡むのが動線とゾーニングだ。


何年もの間に、製造する製品とシステムが変わり、増築などもあれば、動線とゾーニングは最初に比べて大きく変わってしまう。そこで、今の状態を調べてみることだ。導線とゾーニングが理想的に出来ている工場は少ないし、整備するにしても満足できるようになるかどうかは不明だ。大きな費用が必要になる場合もある。

しかし、今の導線とゾーニングがどうなっているかの実態を知り、費用をかけない範囲で改善することは出来る。作業台を移動したり、簡単なパーティションを置いたりすることで対応できる。

どうしても解決できなくても、そこが危ない、ここに問題がある、ということがわかれば「気をつける」という解決方法がある。この解決方法もタダだ。

問題点がわからないまま製造するより、わかった上で気をつけて製造する方が、桁違いに危害が発生する率は低くなる。「認識」して、気をつける。これは重要な改善方法なのだ。

ある炊飯工場では、工場の廊下の隅の方に、ラベル、製造指示書などがあり、工場にあちこちにいる作業者が狭い廊下を通って取りに行っていた。事務所の横にこの置き場があるのでこうなっていた。

毛髪混入のクレームが毎月数件あり、日常化していたのだが、あるとき、この狭い廊下で従事者が行き交うとき、ぶつかったりすることが結構あり、そのショックで帽子内の毛髪が落下するのではないかと考え、この置き場所を工場の中央に置いてみた。

結果、毛髪混入クレームはぴたっと止まった。すごい効果だ。予想は正しかったのだ。


この改善では、作業者が取りに行く距離も短くなった。わずかだがコストダウンになる。一般的に作業者が一歩歩くのに0.6秒かかるそうなので、少なくなった歩数×人数×時間給×日数、が節約になる。

これで少し困ったのは事務所の人で、それまでは事務所の横にあったが、今度は遠くになってしまったので、伝票などを着替えてから持って行かなければならなくなった。まあしかし、日に2回程度だ。

10.ふき取り検査の検証とコストダウン(登録-)

製造機器は食品が直接接触する部分があるので、洗浄をしっかりしなければならない。ある工場ではATPで作業前に検査をして確認することにした。
ATP検査では一般的に数値が1000以上だと汚れているということになるが、食品が接触する部分はシビアなので「500以下」にした。


毎日検査を続けて3ヶ月ほど経った頃、監査に入ったら、ご飯の盛り付け機の検査で3回ほど立て続けに500以上の数値が出ていた。数値を超えていると「再洗浄」し「再検査」して合格しないと作業してはならないことになっている。
3回の不合格では、そのように、再洗浄され、再検査で合格になっている。
しかし、これではコストがかかるだけだし、不安だ。
これ以前はどうなっているか調べたところ、前の月では二桁台の優秀な数値が続いている。なぜこうなのか聞いたところ「ああ、それは直ちゃんがいたときで、直ちゃんがやるとそうなる」という。直ちゃんはどうしたかと聞くと「別の部署に配転になった」
それなら、直ちゃんの洗浄方法を教えてもらって、その通りにしたらいいじゃないか、ということになり、来てもらい、デジカメで写真を撮りながらやってもらった。作業も早く、きれいになる。
撮った写真を元にマニュアルを作り、この通りに出来る作業者が3人出来た。
この3人は「盛り付け機を洗浄できる人」にした。これ以外の人は洗浄してはいけなくした。3人いれば、休みや配転があっても、対処できる。
これを「力量」という。力量がなければ、その作業をしてはならない、問題の元になるからだ。
他の製造機器でも同じことを行ったところ、ふき取り検査の結果がどんどん良くなっていった。1台の機械に一人だけ力量を持っている場合、休んだりすると困るので、最低二人に力量を持たせるようにした。
-力量システムを運営していくとふき取り検査が安定して良くなってきたので、毎日行っていた検査を週に1回にした。曜日を決めずに、いきなり週1回検査を行うのだ。これによってふき取り検査のコスト、1回240円がかなりコストダウン、1/6になった。

11.力量システムから工場全体のコストダウンへ

さらに運営を続けていくと、複数の製造機械を洗浄できる力量を持った従事者がどんどん出て来た。オーダーの状況により作業の偏りがあるので、どうしても別の作業室に応援に行くことがあり、それを円滑にするために、作業場所同士お互いに機器洗浄も出来るようになってきたのだ。

こうなると、今度は作業の偏りがあっても、応援がフレキシブルに出来るようになったため、工場全体も偏り無く円滑に製造できるようになった。以前は、忙しい作業室と、暇な作業室が同時にあり、困ったものだったが、それが嘘のようになくなってきた。

ふき取り検査での再洗浄問題が、力量システムになり、それが工場全体のコストダウンにつながったのだ。


12.製品の検証

ふき取り検査は製造環境の検証だ。加えて重要なのが製品の検証で、細菌検査が主になり、これも効率的、効果的にしたい。

弁当製造工場では、製品の検証といっても、出来た弁当のおかずなどを細菌検査しても、2日後に結果がわかるのでは遅すぎる。

ある弁当工場では、毎日1万食の弁当を製造納品しているが、残ったものが出て来て、工場に持って帰る。そこでこれを細菌検査する。

弁当は昼食時に食べてしまうので、売れ残ったのを検査するのは、午後3時頃になってしまう。お客様が食べる状態より3時間も経っているので悪い状態になったのを検査することになる。

この工場では規模が大きくなったので、迅速細菌検査機を導入した。30検体までを、同時または平行して検査が出来、結果は6時間後に出る。


6時間後に出ても、もう間に合わないのだが、この検査を毎日行っていることで、おかずの種類、製造の状態、気候の変動で寒いときと暑いときの変化とメニューの関係など、傾向がわかる。

ほうれん草のごま和えなどの和え物や、サラダなどは、冬から次第に暖かくなるに従って、検査結果は合格レベルでも、次第に悪化していくことがわかる。ある程度まで見て、これ以上はやめた方が良いという季節になればわかるので、和え物は入れないといった安全対処が取れる。

この検査をやり出して最初の頃は、いろいろなおかず、原材料の多くを検査していたが、次第に気をつけた方がよいのが絞り込まれてきたので、検体数の絞り込みでコストは下がった。

(財)食品産業センター「明日の食品産業」09/5月号掲載から

HACCPの記録を、クレームの対応に使う

2013/05/20 1:00 に 松本リサ が投稿

先日ある流通企業の方から、顧客からの激しいクレームが来て、これから行くのだが、どうしたら良いかと、非常に困った様子で聞いてきた。その顧客が購入した食品(菓子)から金属が出て来て、「こんな危ない物が出て来たのだから、直ぐに全品回収しろ。もししないのなら直ぐにマスコミに言う」と強硬に言ってきたためだ。
このような場合、まず行なうべきことは、現品をそのまま、たとえ食べかけでも、歯形が付いたままで良いから、動かさないで、そのまま置いておいてもらうことだ。もし食品から異物の一部が出て来て、半分潜り込んでいたのなら、それを掘り出さないで、その状態のままとっておいてくれると原因究明に役立つ。もしその異物を取り出してしまったら、どういった状態で入っていたのかがわからない、極端に言うと、その食品に入っていたのかどうかも確認できない。

以前こんなことがあった。あるファミリーレストランチェーンの店舗で「ハンバーグの中から髪の毛が出て来た」と連絡があったので、「とにかくそのままの状態で、ラップをかけるなりして、冷蔵庫か冷凍庫に保管しておいてくれ」と指示してから行ってみた。皿の上に乗せられた食べかけのハンバーグを見ると、たしかにハンバーグの中から髪の毛が出ているように見える。そこで、店長と一緒にそのハンバーグをひっくり返してみたら、髪の毛はハンバーグと皿の間に挟まれていた。このハンバーグは味調理の凍結で店舗に供給されており、解凍してからグリドルで両面を焼き、それを皿に盛付ける。もし、原材料のハンバーグに付着をしていたのならば、グリドルで焼いたときに髪の毛はちりちりに焼けているはずである。したがって、この髪の毛は、盛付け前の皿の上に落ちていて、その上に焼いたハンバーグが置かれたことになる。上から見たらたしかにハンバーグの中から髪の毛が出て来たように見えるのだが、そうではなかった。この場合、もし髪の毛だけが取り出されてしまっていたらわからなかったのである。

話は元に戻るが、金属が例えば製造機械の部品や、製造者の物が落ちたものだったら、これは回収の必要はほとんど無い。機械のビスや従事者の例えば筆記用具の部品、あるいは伝票のクリップなどだったら、それが他の製品にも入っていることは考えられないからである。であるから、このような場合は、直ぐに顧客のところに行って、その異物を確認し、もしそれが電線などが断線され、数本入っていたりした場合は、他の製品にも入っている可能性が出て来るので、回収を考えなければならないのだが、この場合、顧客がただ怒っていて、マスコミのことまで言い出しているので、感情的になっているか、クレームにかこつけた嫌がらせになっているのかもしれない。

このような場合、一番大事なことは、顧客に対して、誠実に、技術的に説明をすることである。この件では、工場側がある程度HACCPを前提とした一般的衛生管理を行ない始めていたので、この文書とサニテーションや機械のメンテナンスの実施記録などを揃えて持っていくように指示した。更に顧客が納得しない場合には、保健所の担当者と一緒に行く事も出来るようにしておいた。

さて、実際に顧客のところに行ってから行なったことは、まず、製品の製造工程のチャートを見せた。これで、どのようにこの製品が作られているかを顧客に理解してもらった。その次に、この製造工程の中で、どこで、どのような異物混入が考えられるか、食中毒の可能性も含めて、どのような危害を想定しているかを説明した。これは、HACCPの総括表を見せれば、製造工程と、危害分析リスト、それの対応策が完結に出ているので、納得できる。この説明で、危害を想定してまで慎重に製品を作っていることを顧客に説明した。その後で、今回出て来た異物(実際には回収の必要は無いものだった)が、どこで入る可能性があるかを、総括表の中で説明をした。次に、その可能性のある製造ヶ所において行なっている対応策を解説した。対応策としては、従業員からの異物混入を無くすための入場時でのチェックの記録、製造機械の定期的なメンテナンスの記録、そして毎日・毎週・毎月、年に2度と、4つの頻度を決めて行なっているサニテーションのマニュアルとその実施記録まで順次見せた。これらの説明に使った資料はかなりの量があるのだが、このような場合はかえって大量にあったほうが印象も良い。このように説明をしたら、納得をしてくれ、異物本体は「預かり証」を書いて持ち帰り、その工場の異物混入対策用に戻したのである。

別の食品メーカーの例だが、顧客が異物混入だとして、ある食品を保健所に直接持ち込んだのだが、保健所の担当者が見るとどう考えてみても顧客側の問題だった。しかし、保健所としてはいきなりそれを言うことも出来ないので、メーカーに連絡をして説明をした。そのメーカーでも一般的衛生管理とHACCPを行ない始めていたので、データを直ぐに(30分以内だったようだ)保健所にFAXをした。保健所はそれを見ただけで、「こんなに早く、正確なデータが来るんだから、大丈夫ですね」ということで、その顧客に説明をしてくれたという。一般的衛生管理とHACCPで行なっていることを、このような場合にも活用できるのである。

温度と検証対応方法

2013/05/20 0:32 に 松本リサ が投稿

生鮮の下処理室や非加熱製品の温度

最も良い温度なら5℃ということになる。細菌の増殖を止めるためにはこの温度以下にすればよい。増殖しないので、安全性だけでなく鮮度的にも良い。米国の食肉加工工場の多くはこの温度である。しかし日本では従事者が耐えられないだけでなく、施設とエネルギーコストも大変なことになってしまう。

では現実的に何度が良いかだが、まず、設備グレードとコストに左右され、18〜20℃あたりをが1つの境目になる。これよりも低くすると空調のための設備機械は一般的な冷房のレベルを超えるので高額になる。そのため、これよりも高くても、それほどの影響がない場合は、20℃程度に設定する。例えば処理量が少ないので、早く終わってしまう。肉魚類の生食、例えば刺し身や牛肉タタキなどの生食はなくて全て加熱になるのである程度緩和しても問題はない。生鮮野菜の下処理をしてからサラダにするが、氷を使って最終急冷した後冷蔵庫に入れて一時保管し、組み立ててからすぐに冷蔵庫保管するので、20℃程度で問題ない。といった場合である。

これに対して、刺し身の最終切り身までスライス加工してパッケージし、チルド又は急速凍結して出荷するなど、温度に敏感な製品の場合は、出来るだけ低いほうが良い。とはいってもあまり低くては作業者の負担になるので、15℃といったところだろうか。この場合、防寒の作業衣、靴などを支給することも必要になる。

加熱調理室

フライ、グリル、スチーム、ボイルなどの加熱調理室の温度は相当高くなる。そこで何度ならこれらの作業室は良いのかという質問も来るのだが、従事者の安全を確保することがまず重要だ。対策をとれば、無理に温度を低温にする必要もない。無理に低温にしたら製造効率が悪くなる。

総菜工場やフードサービスのキッチンでは加熱調理機器が密集してしまい、従事者も多いところがあるので、この場合は従事者のために温度を調整する必要がある。しかし、機械による自動調理の部分が多い場合、従事者の立つ位置に局所クーラーを設置するなどの対応をすれば、全体の温度を下げる必要は無い。

大型のフライヤーがある場合、油煙が工場全体を汚染するのを防ぐために、フライ部分だけを囲えることが出来ればそうしたほうが良い。工場全体の清掃効率が良くなる。

冷蔵のデリバリー

冷蔵では0から2℃といった所が理想だが、ルート配送で何度も降ろしたり、混載物があったりと、複雑で理想通り行かないところも多い。5℃以下にしたいところだが、まず最初に行なうことは実態調査である。検収時の温度は何度以下なら良いのかを決めるとき、まず、1ヶ月間程度チェックしてみる。

ある病院給食工場では、クックチル方式で、センターから病院のサテライトまで冷蔵車でデリバリーをしているが、HACCPの構築で、サテライトに到着したときの温度は何度ならよいのかの検討に入った。一般的なガイドラインでは10℃以下なのだが、出来ればもっと低いほうが安心だ。そこで1ヶ月間実際の到着時の温度は何度なのか測定してみた。結果は、3から5℃で、1回だけ6℃近くのがあった。そこで「7℃以下」にした。これよりも高かったら「異常」になるからだ。

加熱調理製品の中心温度

これはCCPになる。揚物焼き物製品では一般的に調理後の中心温度は75℃から85℃のところが多い。しかし、美味しく、売れる製品を、安定して製造することが企業としては重要なのだから、独自に安全かつ理想の温度帯を追及すべきだ。

あるフードサービスで、豚カツの温度を調査することになった。今まで調査したことなど無かったので、どの程度の時間揚げるのか全く数値が無かったのだが、調査は単純に行なった。油の温度は自動調整されていて180℃になっている。

まず調理長がいつものように豚カツを揚げ、時間を測定すると、200秒。中心温度を測ったら83℃で、さすがシェフだ。次に、この時間よりも30%少ない140秒で揚げて温度を測ったら、73℃。そして今度は30%多い260秒揚げたら94℃になった。これは1枚での測定で、今度は同時に2枚、3枚、4枚と同じように行なった。更に「何度が美味しいのか」の試食も行なった。調理時間と温度の関係だけでなく美味しさの官能検査もやったのである。

結果的に最も美味しいのは80℃で、これよりも3℃狂うと味が違ってしまうという恐ろしい結果が出た。80℃にするためには、1枚の場合で185秒となった〔この温度と時間は実際に行なった調査を脚色してある。揚げる前の温度と厚さによって違うので、それぞれの調査が必要〕。これを元に、管理基準を決定した。

ある漬物メーカーでは今まで行なってきた真空パック後の加熱殺菌を、HACCPの構築を機会に検証することになった。記録機能の付いた超小型の温度計を製品パックの中心にいれてデータをとったところ、パッケージの形によって、適性な温度になっているアイテムもあれば、かなり高温になってしまっているのもあった。

高温過ぎるのを改善することは簡単なのだが、出荷後の時間経過の中で、細菌の増殖と、美味しさがどう変化してしまうのかが未知だ。味が今までのものと違って行き、たとえそれが美味しいほうに良く変化していっても「味が違う」という不安やクレームになってしまう可能性があるからである。そこで継時変化の検証に入った。

金属異物の混入防止と緊急連絡網の構築

2013/05/20 0:30 に 松本リサ が投稿

04年10月に、乳製品メーカーでチーズへの金属異物混入事故があった。フィルターの破損と発表されていたが、塩を均一に振るためのステンレス網と聞いた。この事故は発生元のメーカー工場にとどまらず、販売先のいくつものメーカーの原材料としても販売していたり、PB製品にもなっていたために、広範囲の回収になってしまった。
針金、あるいは細いケーブル状態になったステンレスは、小さいものは金属探知機で反応しないことがある。長さがあっても、金属探知機を通る角度によっては、棒状ではなく点状でしか判断しないので、反応しないことになる。同じような事故としては、破断した電線や、金網の破損など、多くのものがある。

こういった事故を無くすための方法は、製造機械の点検になる。一般的衛生管理の「施設設備の維持点検」である。

構築の第1ステップは、製造ラインを追って見て行き、金属異物が混入する場所を特定することだ。カッター機械のビス、ナイフそのもの、蓋の破損。コンベアーのメッシュ、ビス、接続部分からの落下や破損。パイプラインならジョイント部分。フィルター部分とそのメッシュ。食品がむき出しになっている上の部分、例えば天井を走るパイプや電線あるいはそれらをつり下げている金具やビス、ボルト。パッケージ機械の製品がまだパックされる前のラインの機械内上部のボルトや部品、あるいは稼働部分の破損や破断の可能性。
この方法で製造ラインを見て行くと、危険な個所がかなりあってびっくりすることが多い。実際に著者がHACCP担当者と見回って寒気がした例では、コンベアフリーザー投入口上部に落ちていたビス、数カ月前の取り換え時に落として割ってしまった蛍光灯の破片がまだ残っていたパッケージ機の天井、カッティングテーブル上の電源コンセントをつり下げていた破損寸前の針金、サビと塗料がはげ落ちそうになっていたパッケージ機投入口上部、サビだらけのエプロンハンガー〔サビ破片がエプロンに落下付着して、そのエプロンをして作業をすると食品に混入する危険がある〕、調理台の真上にぶら下がっていたホチキス、破損寸前の干物乾燥用網板、等、きりがない。


第2ステップは、問題の有る個所を、改善改良することが出来るかを検討し、可能ならば直すことだ。餅のメーカーで製造ラインの網を、細い金属製のものから、ステンレス製で、端を折り曲げたうえに綴じ込み式にして安全を高めた例などが有る。


第3ステップは、その危険個所とその理由〔例えば、ビスの落下、フィルターの破損など〕をリストにして、それぞれの点検頻度を決め、頻度ごとのチェックリストを作成して点検を始める。
頻度は重要だ。最低レベルの頻度は毎日にする。毎日例えば作業終了後の洗浄時に、問題が無いかをチェックしていて、もし問題が発見されたら、その日に製造した製品を保留する。あるいは分解洗浄後乾燥庫や冷蔵庫に入れて翌朝まで保管するならば、作業開始時に点検しても良い。製品を翌日になって出荷するならば問題が無い。

毎日でない場合、例えばロット毎とか、2時間毎など、より高レベルにチェックするようにできればその方が良い。例えばフィルターを、製品ロットが変わる度に点検するとか、連続して一日中製造するならば、2時間毎の休憩時間が終わって、再稼働する前、といった頻度である。より緊密に点検が出来る。製造に支障が無いレベルで点検が出来る頻度を危険個所ごとに決めることだ。


第4ステップは、点検頻度に応じた製品管理を明確にすることだ。毎日終業後に点検する場合、もし点検で問題があったら、その日の朝から製造した製品全てが問題の対象になる。しかし2時間毎に点検している場合、問題が発見されたら、その前の2時間の間に製造した製品が対象になる。この対象がすぐにわかるように保管できるようにしておくことである。

製品庫で一時置き場を作り、次の2時間で問題が出ていないのを確認してから、正規の置き場に持っていく。あるいは、連続して保管していっても、区切りの間にラベルなどを貼るなどして簡単にわかる方法をとる。これならば問題が出たときにも2時間の製造分が最悪無駄になるだけですむ。


緊急連絡網の構築

金属異物の問題に限らず、全ての何らかの事故があった場合、連絡が遅くなればなるほど被害やダメージは大きくなる。素早く連絡が取れて市場や出荷へのストップが出来れば、公報する必要が無いので、社内の処理だけで済ませることが出来る。

今までは、現場→部門長→工場長→トップといったルートを通り、この後半の過程で取引先への連絡と行動に移ることになる。しかし、トップへの連絡に時間がかかるとダメージを拡大する原因になる。

このようなことが無いようにする最速の緊急連絡方法は既に有り、どこでもすぐに出来る。メールの一斉送信だ。

問題の性質によって、グループをあらかじめ作っておく。工場長、担当部長へのグループ送信リスト。次にこれらに加えてトップも含めたもの。さらに自社関連のグループ全工場。さらに製品毎の販売先緊急連絡先も加えたもの。といった、レベルに応じた一斉送信リストに送信する。問題が出たらグループリストに送信するだけで、一瞬で全ての関係者に連絡することが出来る。関係者は電話に出れないことも多いが、携帯へのメールなら会議中でも見ることが出来る。

CCPのモニタリング(監視方式)の設定

2013/05/19 23:41 に 松本リサ が投稿

重要管理点を適切な頻度で監視するシステムの設定(原則4)

ポイント
温度なら温度計など、チェックする方法や道具を決める(手順9:測定方法を設定する)

ここでも、内容、頻度、担当者、確認、記録。製造方法によって確実な方法を決める。

管理基準が決まったら、次にそれを測定する方法を決める。確実に、すぐに逸脱したことがわかる方法である。ここで一般的衛生管理で行なった5つの項目を再び使う、内容、頻度、担当者、確認、記録である。内容は管理基準の測定になり、その次に頻度になる。フライドポテトの調理で、フライ後の肉中温度が75〜80℃と設定したら、それを測定する方法は肉中温度計になるのだが、測定する頻度を決めるなければならない。バッジごとに調理するフライヤーだったら、一つのバッジで一回測定すればいいが、フライヤーがコンピュータ管理で、油の温度と、バスケットを油内に入れる時間が自動的にコントロールされていて、一度に入れる食材の量も決まっている場合、連続的に何度フライしても最初の測定がその後も確実に維持できるのであれば、5バッジとか10バッジごとに一回の測定でもいいかもしれない。

これがコンベアーフライヤーだった場合、常に連続して調理されていることになるので、ロット毎ではなく、何分毎に測定ということになる。あるいは、油の温度とコンベアーのスピードの2つを常に監視をすることでもいい、この2つが一定であればフライヤーから出て来たものは常に規定の温度になっていることが証明されていればいいことになる。この条件としては調理する食材の形と重量がほぼ同じだということが必要だ、食材の一つ一つがあまり違っていたら、フライ後の肉中温度も大分違ってきてしまうからだ。

米国ワシントン州にある魚介類の加工工場では、シュリンプ(エビ)のボイル製品も作っている、このボイル工程は、コンベアーでスチームトンネルをくぐらせていて、CCPに設定されている。エビにはサイズがあり、1ポンド当たりに何尾いるかで、8/12,13/15,16/20,といった数値で規定されている。8/12の方が大きい。測定方法は、コンベアーのスピードとスチームの温度なのだが、スチームトンネルの温度は急に変えることが出来ないので一定にして、コンベアーのスピードをエビのサイズによって変えることで監視をしている。大きなエビならば遅く、小さなエビならば早くして、調理後の肉中温度が常に75〜85℃になるように設定しているのだ。

このように連続して監視をする場合でも、何らかの問題で一定になっていない場合を想定して、ある程度の時間頻度を決めた測定を並行して行なう必要がある。コンベアーの温度と加熱温度を信用しすぎ、終日製造した製品が夕方の作業終了時になって規定通りになっていなかった場合、その日一日中製造した製品すべてに問題があることになる。朝一応肉中温度を測って問題がなかった場合でも、その後肉中温度を測ったのが夕方で問題が出たら、どの時点から問題になり始めたのかが不明なので、結局その日の製造製品はすべてだめになってしまうのである。このようなことの無いように、最低1時間毎などのスポットの計測を併用しなければならない。

測定する場所を規定する必要があるものもある。ソーセージをスモークハウスでの調理後温度チェックでは、一番上は1.5メートル、一番下では60センチぐらいになっているので、上と下では温度が違ってしまう。中で空気は回ってはいるが、温度チェックをする場合は最も温度が低い可能性がある下の部分を計測しなければならない。頻度はバッジ毎だ。

次に担当者を決め、確認方法を決める。確認方法はこの場合一般的衛生管理でよくある目視ではなく、大体は数値になる。温度ならば測定した温度を記入する。確認方法は、担当者が温度計で測定をしてそれを確認し、記録をする場合と、機械などに設置してあるグラフ用紙への自動記録を目視で確認をしてそれを記録する場合もある。自動記録の場合、機械が自動的にやっているのだからそのままでいいというのではない、機械は記録をするのだが、それが正しいか逸脱しているかの判断をしないものもある。温度が規定を外れた場合、アラームが鳴るなどの設定は、冷蔵庫の温度監視などにはあるのだが、調理機械などではそうとは限らない、仮に付いていたとしても、正常に作動しない場合も出て来る、CCPというのは重要なチェックポイントなので、たとえ自動記録をしている場合でも、人間が目視で確認をする必要があるのである。機械だけではまた微妙な判断も出来ない、例えば75〜80℃に設定していた場合、いつもは77〜78℃ぐらいに安定しているのに、今日に限って75℃ぎりぎりを動いていたなどという場合、人間が見て、何かおかしいとなる。限界基準値ぎりぎりになっているのは軽い「警告」にもなる。このような場合慎重に監視を続けて、経過を見守る判断は人間にしか出来ない。

記録は、出来るだけ一つのCCPは、一日の製造作業での記録が一枚で一覧になるような表を作って、見やすくする。記録というのは正しければ正しい数値を、逸脱した場合はその数値と改善したまでの記録が必要になる。

CCPのCL-管理基準(許容限界)の設定

2013/05/19 23:40 に 松本リサ が投稿

重要管理点について、危害の発生を防止するため、管理基準を設定(原則3)

ポイント
  • CCPを決めたわけだが、次に、そのCCPでの指標を決める
  • 限界範囲を決める(例えば75〜85℃)

CCPを決めたわけだが、次に、そのCCPでの指標を決める。指標とは、製造中の製品が安全であると確認できるものになる。例えば温度だ。フライドポテトを調理するときに、何度に上がったら安全なのかを決めるとき、一般的には75℃、あるいは72℃以上といった指標になる。この温度ならばバクテリアを死滅させることが出来るからである。ところがこれだけでは安全性はいいのだが、品質=おいしさの点で言うと少し問題がある。ある学校給食でのデータを見たら、フライドポテトの調理後肉中温度は75℃以上になっていて、計測データの記録は96.4℃になっていた。これは十分に加熱されているので安全性では問題がないのだが、加熱のしすぎで食べてもおいしくない、ジューシーさが無くなって、ぱさぱさの堅いフライドポテトになってしまっている。フードサービスなど安全でなおかつおいしくなければ競争に生き残れない企業はほとんどで、おいしさまで追及するには例えば「75〜80℃」といった具合に規定する必要がある。これが追及しすぎで「75〜78℃」などとなったら今度は逸脱するものが多くなりすぎてロスになる。

温度と時間の関係は多くの食品のCCP指標になる。ハム、ソーセージは63℃で30分維持することでバクテリアを死滅させることが出来る。同じ指標で低温殺菌牛乳がそうだ。牛肉の最低加熱温度というのは温度と時間が広範囲に規定されていて、62.8℃だったら少なくとも15秒、60.6℃だったら10分、55℃だったら97分、といった時間維持すれば安全になる。鶏肉は73.9℃を15秒、牛肉だけのハンバーグパティは68.3℃で15秒、豚肉は68.3℃で15秒、これらの指標はFDA(米国食品医薬品局)、USDA(米国農務省)などの資料に詳しくでている。日本の厚生労働省では「75℃で1分」という、どのような食品にも当てはまる最も安全なポイントを推奨している。

指標は温度と時間だけではない、ペーハー、水分活性、塩分濃度、酸度、圧力、粘度や物性、色や臭気や味といった官能指標も併用することが出来る。これらの指標はCCPだけではなく、PPの指標も同じだ、使用する水の安全性をPPで管理をするがこの指標として塩素レベルを用いる。

ガイドラインや各種資料データで指標についてを調べることが出来るが、一般的には温度や時間が多い。しかし食品によっては独自の基準を設定した方がいい場合が出て来るが、この場合はそれを裏付けるデータが必要になる、独自に実験をしたものや、特殊な文献などを使い、そのデータが正しく指標になることを証明することになる。例えば、一般的には75℃と言われているが、自社の製品は63℃で30分維持にする、ジューシーで味が良くなるからだ、その裏付けとしてFDAやUSDAのデータがあり、工場内での実験結果でも問題がない、ということになる。これは安全性と製品の高品質性、おいしさを追及した設定なのである。

何を監視するかである。調理作業だったら、「温度」が72℃以上、かつ75℃以下、といった加熱調理後の肉中温度にするか、あるいは、連続フライヤーの場合ならば、油の温度とコンベアーのスピードという「時間」にするなどになる。「温度」という監視基準と、「何度から何度まで」といった「範囲、数値」CL(クリティカル・リミット、限界基準)を決めるのである。

CCPとは

2013/05/19 23:39 に 松本リサ が投稿

危害の発生を除去し、または許容できる水準まで軽減することが必要な重要管理点を特定(原則2)

ポイント
  • CCPは「劇的に危害を防止できるポイント」で、5ヶ所以内とされている
  • 生食ではCCPが無いものもある→この場合、重要なPPを自主的にCCPにする方法もある

PP(一般的衛生管理)とCCP(重要管理点)の違いがわかりにくい場合が多い。PPは工場全体の衛生管理にかかわることで、CCPは製品の製造の中で危害を防止できるところである。総菜センターでの焼き魚の場合で見てみると、原材料となる魚を衛生的に、日付、温度、使う順番などを管理するのはPPになる。日付をチェックしたり、冷蔵庫の温度や解凍するためのバットなどは、安全な商品にするための環境作りなので、PPで行う。大量にラインで調理するためにはコンベアオーブンを使うが、オーブンのサニテーションや保守管理はPPになる。オーブンで焼いた後出て来る魚の肉中温度を測って、規定の温度になっているかどうかを温度計で計測して確かめる、これがCCPになる。この焼き上がり肉中温度を管理することによって、焼き魚の安全性を確保することが出来るからだ。

この後、急速冷却をしてからトレイパックになるのだが、急速冷却を行う環境はPP、しかし、例えば10℃まで15分以内に冷やすと規定した場合、これを確認するのはCCPになる。ここに問題があると危害になる可能性が出てくるし、ここをきっちっと押さえることで危害をかなりの確率で押さえることが出来るからだ。そしてパッケージをする作業はPPで行い、この後金属探知器を通すとき、最終的にパッケージごとに金属異物が入っていないかどうかのチェックが出来るので、これはCCPにする。そして製品出荷までの温度管理はPPで行うことになる。


CCPは一つの製品を作る工程の中で5ヶ所以内に絞り込む。集中してチェックをすることが重要なのにCCPの数が多いと集中できずに、かえって出来なくなってしまうからである。5ヶ所にしてあるのはHACCP20年の歴史の経験から出て来た数で、以前は6ヶ所以内になっていたし、古いHACCPの資料を見るとCCPに重要なものと「準」重要なものの2つのランクがあるものもある。こういった歴史を経て今は5ヶ所になってきたのだ。

CCPは、ポイントを決めて、そのポイントでの管理を整理しておかなければならない。どのような危害に対して決めたのか、その危害の原因として何があるのか、防止処置は何か、その基準は何か、確認や測定はどういった方法で行うのか、誰が行うのか、逸脱した場合どうするのか、検証はどうするのか、記録はどのように取るのかなど、この後の作業で決めていくことを最終的に「CCP整理表」としてまとめていくことになる。この後の作業をしながら、CCP整理表も同時に作成していくと進行状況が目に見えてわかる。

唐揚げ、豚カツ製造でのCCP

受け入れ
 ↓
保管
 ↓
下処理
 ↓
衣付け
 ↓
フライ → CCP(フライ後の中心温度)
 ↓
冷却
 ↓
パッケージ
 ↓
金属探知機検査 → CCP
 ↓
箱詰め
 ↓
 保管、出荷

牛乳製造でのCCP

受け入れ → CCP(検査)
 ↓
保管
 ↓
ろ過
 ↓
均質
 ↓
殺菌 → CCP(殺菌温度と時間)
 ↓
冷却
 ↓
パッケージ
 ↓
金属探知機検査 → CCP
 ↓
箱詰め
 ↓
保管、出荷

危害分析の方法

2013/05/19 23:36 に 松本リサ が投稿

各工程のすべての危害をリストアップして評価し、危害の管理方法を検討

ポイント
  • 過去に出たクレーム、問題が最も重要
  • 過去の事故、クレームから、危害リストを作成する。
  • 学術文献、ガイドライン、厚生労働省、保健所などからの資料から危害リストを作成する。
  • サプライヤー(原材料)からの危害リストを作成する。
  • 製造工程からの危害リストを作成する。
  • ここから「総括表」の作成を始める方法もある

クレームを危害分析に活かす

HACCPの危害分析は、文献などの科学的資料、総合衛生管理製造過程を申請する場合にガイドラインに出ている危害リスト、そして対象工場におけるクレームや過去の事故からである。このうち、その工場における現実的なものはクレームや過去の事故からのものである。今まであった数々のクレームや事故は、その工場特有のもので、これをこれから出ないようにできれば、クレームの減少に直接つながることになる。

工場の過去のクレームや事故は、レポートや始末書という形で記録に残っているが、まず、これを全て危害分析リストに入れる。

次に、現場で処理してしまって記録に残っていないものを加える。実はこれが大切なことで、例えばパッケージしているときに髪の毛が乗っかっていたので、つまんで捨てたとか、半製品の入っているバットに変な色のものが混じっていたから除去した、といったものである。こういったものはそのまま見過ごしていればクレームになる可能性のあるものだ。あるいは製品になって出荷され、消費者のところまで行ってしまい、その消費者がクレームにしないで「もうあの商品は買わない」となってしまう可能性もある。こういったのを潜在的クレームと呼ぶが、実は「実際のクレームの数の数十倍はある」とも言われているものである。

潜在的クレームを危害リストに入れることで、危害防止策は大分強固なものになるのは間違いない。これをどのように吸い上げるかであるが、聞き取り調査をし、「そういえばこんなことがあった」という記憶をどんどん引き上げることである。「ヒヤリ、ハッと」したことを思い出してもらうことになる。

もう一つ、他の工場における事例で、自分の工場でもありそうなことをリストする。例えば国民生活センターの食品クレーム事例を見たり、食中毒記録を見たり、インターネットの検索エンジンや新聞記事データベースなどで「食品」と「回収」「原因」といったキーワードで調べ、同じ業種や似たような製造システムでの事例をピックアップして、危害リストに入れる。

最後に、こういった調査をしていくと、自分の工場のどこかで起きそうな危害が考えられて来るので、それもリストに入れる。

こういった、ごく現実的な危害を集めた後、それらの危害が自分の工場の製造工程のどこで出現する可能性があるかを分析していく。方法は、工場の製造工程をフローチャートに書き出し、それぞれの工程に危害を入れていくのである。

鶏卵GPセンターの例

製造過程図の現地確認

2013/05/19 23:08 に 松本リサ が投稿

ポイント
  • 現場で、立体的に見る
  • 図面では平面的にしか見れないが、現場では立体的に見ることが出来る。例えば、パッケージの作業場所の上に、ゴミの出やすい棚があったり、結露した水滴などが無いかどうか、注意してみてみる。
  • その場で直せるときにはすぐにす。すぐに出来ない場合は、問題点のリストにして記録をし、未解決のリストとして扱う。
  • 製造工程と図面が現場でその通りになっているか確かめる
  • 各作業室の中での動き、ゾーニング、現場での破損、故障、性能劣化、天井や、作業場所の上にある設備機器も要注意
おおかたの流れは図面の上で把握できるが、それが現場でどうなっているのかを確かめる。現場で確認するためのいくつかのポイントがある。

まず、各作業室の中での動きを詳しく見てみる。作業室から次の作業室への動線とゾーニングは良くても、作業室の中で問題になっているところが無いかチェックをする。ある調味料メーカーの混合室では、何種類かの原材料を一つのミキサーで混合する。混合前の原材料を、ミキサーに持っていって投入するのだが、この投入した後パッケージラインに行くときに、ミキシングしたものが再び混合前の原材料を置いてあるところを通っていくようになっていた、完全に交差している。さらに、パッケージ機械の設置方向が逆で、一度奥の方になっている投入口にミキシングされた原材料を運び、パッケージングされたものが、ミキシング前の原材料を置いてある場所に戻って出て来てしまっていた。この場所は従業員とミキシング前の原料の入り口に近いために、ここでも交差している。パッケージングされた製品はサンテナーにいったん入れられてキャスターで奥にある、つまりパッケージング機械の最初の投入口の横を通って、その奥にある殺菌室に行くコンベアーに乗せられるようになっている。

作業室単位では問題はなくても、このように作業室内で深刻な問題があることは多い。この例の場合は、ミキシング前の原材料-->ミキサー-->パッケージ機械の流れになるように位置を変え、パッケージ機械の設置方向を反対にすればいい。

作業室内でのゾーニングでも同じような問題はよく見つかる。あるソーセージ製造工場の、高速カッターとケーシング(腸詰めする)ラインで、高速カッターとケーシング作業の場所が近く、流れは高速カッターの後ケーシング作業台に行くのだが、ケーシング作業を行っている最中に、高速カッターの作業が終わるために洗浄作業に入ってしまっていた。一日に何回か行うカッター洗浄時にはいつもこの状態だったのだ。洗浄作業は洗剤をもちろん使うわけなので、洗浄作業での飛沫がケーシング作業台に飛び散ってしまう、下手をすれば化学的危害になってしまう。この場合の改善は、高速カッターを部屋の反対側ぎりぎりまで移動して距離を置き、さらに間に簡単なパーティションを置き、洗浄作業ではケーシング作業台側に背を向けてホースの水を反対側の壁に向かってかけ、飛沫が飛ばないようにした。

一般的衛生管理との関係も問題がないか見てみる。ある野菜ジュースなどを作っている工場で、原料野菜のトリミングを行っている下処理室から調理室への流れは図面上ではいいのだが、現場に行ってみると下処理室の出口に設置してある長靴の洗浄槽からの水が通路にかなり多く出てしまっていて、衛生上の問題と滑るという危険が出ていることがわかった。下処理室の排水を見てみると問題なく流れているので、問題は調理室に行くための長靴洗浄槽の存在にあることがわかった。改善策はこの長靴洗浄槽を、逆に下処理室から出る時の長靴の水切りに転用してしまったのである。

現場での破損、故障、性能劣化なども同時に調べる。ある魚の塩干工場で現場確認をしていると、建物の何ヶ所加の壁が壊れていて、隙間が出来てしまっていた、一部は外が見えるのである。これでは夏場虫のクレームがいつまでたっても無くならないわけだ。聞いてみたらカートなどがしょっちゅうぶつかって破損が拡大しており、そのうち何とかしなければと思いつつ忙しいのでそのままになってしまっていたということだ。HACCPは問題の個所を探って、緊急に直すと同時に、恒久的に再びその問題が出ないようにすることも重要なので、この場合の恒久処置を考えたら、作業室の通路と壁の間が狭いためにしょっちゅうぶつかることがわかったので、作業室にある設備機器を少しだけ中に移動したら問題はなくなった。

天井や、食品が露出している作業場所の上にある設備機器にも注意する。ある工場では異物混入事故が絶えず深刻な問題だったのだが、作業動線とゾーニングに図面上では問題がなかった。そこで現場に入ってみてみたら、製品をパッケージングする作業台の上部横にクーラーがあり、このクーラーの吹き出し口からゴミが吹き出ていることがわかった。原因は空調機の吸気口からクーラーまでの間が汚れていたことだ。古いクーラーなのだが、清掃をすれば問題がないので、SSOPの中で定期的な清掃をすることにした。また、異物が発見しやすいように、パッケージング作業台部分は特に明るい照明に切り替えた。図面ではわからないが、現場に入ってみると立体的に上の方まで確認できる。この事例でわかるが、作業台よりも上にある施設設備は要注意なのである。HACCPの即効性がこういったところにも現れる。

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