食品工場製造ラインのボトルネック

2012/12/11 21:48 に 松本リサ が投稿   [ 2013/02/18 12:53 に 加藤光夫 さんが更新しました ]
ビールでもワインでも、ボトルの上の細くなっているところがボトルネック。このおかげで中身を早く一気に出したくても出せない。
飲料なら良いが、これが工場の生産工程だと問題がある。一ヶ所に詰まってしまうからだ。

快調に生産が進んでいるのに、ただ一ヶ所で詰まってしまうために、生産効率がそこで落ちてしまう。
ほとんどの生産工程での生産量が百パーセントに近くても、一ヶ所50パーセントしか出せないボトルネックがあると、その工場の生産は50点ということになる。

これが食品工場の場合、生産性だけでなく、品質、安全性まで影響が出ることにもなる。

これらはボトルネックの発生が危害につながってしまう例を2つ紹介する。

西日本のある給食工場では、新しい生産システムにバージョンアップしたところ、思いもかけなかった問題が出てしまった。
加熱調理を行なった後、それまでは放冷してから急速冷却のための冷蔵庫に入れて、十℃以下まで温度を落としていたのだが、
新システムで真空冷却機を入れた。
テストの結果、理想的に温度を下げることが出来るので、クックチル、真空調理への発展も出来る。
計算通りの真空冷却機を入れたところ、実際に使ってみると能力がかなり不足していて、予定通り処理できない。
真空冷却機の前には順番待ちのカートがすぐに並んでしまったが、真空冷却機を入れるスペースのために以前の放冷場所が狭くなってしまったので、待ち受けスペースもなくなってしまった。ボトルネックだ。
冷却待ちのカートが溜まったため、狭くなった放冷スペースの温度が一気に上がり、放冷どころか、かなり高温のスペースになってしまった。このままだと中途半端な温度で放置される時間が長くなるので、製品の品質に大きく影響してしまう。さらに細菌の再汚染と増殖問題にもなりかねない。放冷スペースを大きく取る場所もないし、真空冷却機を増設すると放冷スペースは全くなくなってしまう。

ある東北の弁当工場では、生産量が増えてきたため、食器洗浄能力が足りなくなってきた。
回収した弁当箱の洗浄が間に合わなくなってきたのだ。そこで大型の洗浄機に入れ替えたところ、洗浄機の後工程でボトルネックが発生してしまった。洗浄機を出た食器類は、サンテナーに入れ、乾燥室に回すのだが、この処理が新型の洗浄機のスピードに追いつかないのだ。
サンテナーには乾燥室で乾燥しやすいように食器の間に空気が入るように置いていたので、これを重ねておくようにしたら何とか追いつくことがわかった。
しかし実際にやってみると、今度は乾燥室のキャパシティーをオーバーしてしまって、食器を乾燥できなくなったのだ。
この食器を盛り付け室に持っていって使おうとすると、しっかりと重なった食器の中から、温かい水滴がたっぷりと出て来て、細菌の増殖問題になった。さらにこの湯温水滴が付いた食器が、盛り付け室の温度と湿度、特に湿度の上昇をさせるようになってしまった。これは盛り付け室の性能のダウンと、カビ発生の危害増大につながってしまう。

逆に、動線とゾーニングの検討と改善によって、作業効率のアップが出来た工場もある。

西日本のある魚加工品工場では、ブリやサバなどのポーションカットをしている。フィレーから指定された重量の切り身を切り出し、トンネルフリーザーを通した後、指定された枚数を袋に入れ、ヒートシールをして、段ボールに入れる。ブリの80グラムの切り身の三枚入れパック、といったものだ。
切り身をフリーザーに投入し、凍結された後、フリーザーから出てから、重量チェックと袋入れ、シール、金属探知機、段ボール入れとなる。当初、これらの工程は、処理量から、4つの場所で行なっていた。それぞれ独立してこの作業をこなしていたわけだ。
HACCPの構築の中で、ゾーニングを検討したところ、フリーザーを出てから、金属探知機までは清潔ゾーンだが、段ボールに入れるところはゾーニングが一段階落ちる準清潔ゾーンになることがわかった。
段ボールを組み立て、製品を入れ、テープでシールしたりバンドをかけるのだから、埃が出る。組み立て前の段ボールが、切り身を袋に入れている横を通り、そこでバタバタと段ボールを組み立てているのでは問題だ。
検討したところ、バラバラに置いてあった4つの作業場所を、3つのラインに並列にし、清潔ゾーンと準清潔ゾーンの境目になる金属探知機を同じラインに並べ、そこをビニールカーテンで仕切ることにした。一つのラインの長さは多少長めになるが、その余裕は一本ラインが減るので十分ある。
4ラインを3ラインにしたら、十分に同じ作業ができることがわかった。それどころか、作業人員も3ラインにあわせた少ない人数で出来るので、コストダウンにもなった。
作業効率が結果的に上がり、ゾーニングも理想通りに出来た。

ボトルネックが無いか、システムを変えるとボトルネックは出来ないか、動線とゾーニングは問題が無いか、探索することで、失敗を未然に防げる。
改善によって問題の解決とコストダウンの両方を一気に解決させることも出来るのだ。
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