清掃を外注することを考える

2012/12/17 17:53 に 松本リサ が投稿   [ 2012/12/17 17:53 に 加藤光夫 さんが更新しました ]
25年ほど前に米国で実習をしていた食肉センターは、早朝から午後3時ぐらいまで稼働していて、そのあと我々が実習した。
不思議だったのは、作業者が清掃をしている様子が無いのだが、許可が下りて工場内に入ると実にきれいに清掃がされていることであった。
しばらくして分かったことは、製造作業後、専門の清掃業者が入り、我々が入るまでに清掃が行われていたのである。この清掃は普通は1回だけなのだが、我々が実習する週の間だけ2回行われたわけで、そのためにこのセンターの使用料を支払うときに「清掃代」がちゃんと入っていたのである。
更に聞いてみると、清掃しなければ実習での使用も許可されないこと、実習だからといって簡易的な清掃でもいけないこと、その清掃マニュアルはきちんと決まっていて、第三者によって監査され、それが記録されているとなどが分かり感心した。
その後、いろいろな食品工場で聞いてみると、例えば24時間体制の工場では、3交代の1シフト8時間が全て清掃を行なうことになっているという。専門家に委託をし、清掃が8時間で終わるように人員数を調整するのである。専門家はノウハウを持っている、そして作業時間に合わせた適切な人員を当てはめる、だからコストは安くなる。8時間には、洗剤をしばらく清掃面に付着させて汚れを浮き出させたり、乾燥させて仕上げる時間も入る。

オーストラリアのある食肉工場に行ったとき、大型の冷蔵庫をたった1人で清掃しているのを見付けたので聞いてみたら、この工場には冷蔵庫が20ほどあり、それぞれを毎月一度サニテーションをする、このために、毎日1つの冷蔵庫を完全に空にして、そこをこの外注清掃員が8時間かけて行なうのである。毎日1つの冷蔵庫をやっていくと、全部を終わるともうひと月たっているのである。

さて、関東のある総菜工場では醤油系のソースを使った照焼きラインがあり、そのラインの周り、特にダクトの内側だけひどい汚れになっていた。
醤油の蒸気が焼き付け塗装と同じようになってしまっているのだ。ダクトの内側の一部に15センチぐらいの傷跡があり、何とか汚れを取ろうとやってみた形跡があるのだが、上手くとれずに逆に傷ついてしまっているので、これでは更に醤油焼き付け塗装が強力になってしまう。製品は無添加なので、強力な化学薬品などは使えないという事情もあった。そこで専門業者に見てもらったところ、化学物質で汚染せず、傷もつけずにきれいに落とせる方法があり、実施したところ完璧だった。これをきっかけに専門業者に聞いてみたところ、今行なっているはっきり言って素人の方法よりも、より効果的で、効率的で、汚染も少ない手法と資材が提案されたのである。更に検討を行ってみたところ、毎月1度の高所部分も含めた大掃除は専門業者が行い、毎日の清掃は今まで通り従業員が行う、但し毎日行なう清掃方式は専門業者の提案に変える。こうすることにより、毎月1度の外注清掃があることによって、工場従事者による毎日の清掃が早くて効率が良くなり、しかも総合的なコストは今までと同じ程度だということになった、普通の家庭でも大掃除をした後しばらくは掃除が楽だがこれと同じことなのである。

別の総菜工場では、排水溝から下水に流すまでの途中で汚れと脂がこびり付く問題が常にあり、これを無くすためには構造上工事をしなければならない状態になってきてしまった。そこで試しに専門業者に見てもらったところ、汚染の無い有機資材を週に1度ほど使うことで問題が解決できることが分かった。ついでに工場全体のテスト清掃を行なってもらったところ、面白いことが分かった。この総菜工場は、パン、中華、和食、洋食と、全く性格の違うアイテムの製造を作業室ごとに分けて行なっているために、作業室ごとに汚れは違うことになる。それなのにどの作業室も同じ方法で素人清掃を続けていたのだ。そこで作業室ごとにどういう方法で清掃をしたら良いかを検討してもらったところ、作業室ごとに違う洗浄剤と方式をすることで、効率がかなり良くなることが分かったのである。

こういった事例を考えると、専門業者に外注する、あるいは清掃システムを検討提案してもらうということで、コスト的には同じかそれほど増やすことなく、より良い清掃を行なうことが出来るようになるのである。

外注を考える場合に注意することは、
その業者の技術力、親切性、コストといったところになるが、これからは特にHACCPを理解しているかが重要になる。
営業に来た担当者が分かっているだけではダメで、その思想が作業者にも浸透しているのかまで注意する必要がある。
ある専門企業のトップの方はセミナーを行っていたりしるのだが、実際に営業に来てもらったりテスト清掃にまで進めてみると、現場の方はHACCPのことなど全く知らなかった。
今まで外注していたが、効果に疑問が何となくあったのでHACCPを勉強していると聞いていた業者に来てもらったら、とても効果がある上、平米あたりの価格は全然安いことが分かった。こういった例はかなりある。
また、防虫防鼠を行なう企業が清掃作業も一緒に出来るかというと必ずしもそうでないところが多い。

良い業者ならば、清掃だけでなく、検証や監査の一部も一緒に頼むことも出来る。
例えば月に1度のチェックを清掃と一緒に出来るのならば、それは従事者とは別な目で、つまり第三者の監査になる。
従事者による毎日の清掃状態に問題があり、それを指摘してもらえることにもなろうし、より良い方法の提案をしてもらうことにも発展できるのである。
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