ISO22000とFSSC22000

2012/12/27 23:15 に 松本リサ が投稿   [ 2013/06/26 13:00 に 加藤光夫 さんが更新しました ]
ISO22000+ISO22002=FSSC22000

FSSC22000への要求と認証が次第に出て来ている。 
FSSC22000というのは、ISO22000にISO22002を加えたものだ。 
ISO22002というのは、ISO22000のPRP〔一般原則、一般的衛生管理〕についての技術仕様にマネジメント事項を加えたものだ。 
HACCPの構築には土台として一般的衛生管理が不可欠だ。CCPで加熱殺菌や金属探知機を通しても、毛髪や虫は無くすことは出来ないし検出もできない。 
ISO22000の規格で一般的衛生管理はa)からk)までの11項目が各1行ずつ記述されているだけだ。その為、ISO22000の審査において一般的衛生管理が詳細に審査されない傾向も一部あり、米国ではISO22000は信頼出来ない、といったつぶやきが聞こえてきていた。 
このような中、ISO22002が提唱され、スタートした。 
ISO22002はISO22000のPRPの10項目〔11番目のk)は「その他適宜」)について詳細な技術仕様としての要求事項、特にハード面についての要求もかなりされている。

例えば、ISO22000の[7.2.3-a)建物及び関連設備の構造並びに配置]には7項目があり、その3番目[5.3内部構造及び備品]には8項目の要求事項があり、その2番目には「壁と床の接合部及び隅(角)は、清掃・洗浄が容易にできるように設計されていなければならない。」とあり、例えば隙間があったりざらざらや窪みがある材質であってはならない、ということになる。容易に洗浄出来れば清掃洗浄がしやすくなり、危害の発生が少なくなる。このことは洗浄の時間短縮も含めてコストダウンにもなることだ。そしてこれは「ねばならない」という要求事項だ。 
この次には「加工区域では、壁と床の接合部に丸みがあることが推奨される。」とあり、出来れば「Rが付いた」幅木があった方が良い、ということになる。 
更にその次には「床は、水溜りを避けるように設計されなければならない。」とある。水溜りは、虫、カビ、細菌の発生増殖元になるからだ。

ISO22000とFSSC22000

「ねばならない」と「推奨」

この幅木と水溜りについて見て見ると、ISO22000では「適切な情報(中略)を考慮し、利用すること。」と、具体的には何も無いが、ISO22002では「容易に洗浄出来るようになっていなければならないし、その為に幅木はあった方がいいし、水溜りが出来てはならない」と、具体的な技術について要求している。 
もう一つ例をあげると、ISO22002の[6.ユーティリティ-、空気、水、エネルギー]の中の[6.4空気の質及び換気]の12行の要求事項の中に「換気システムは、空気が汚染されたり、又は原材料区域から清浄区域に流れたりしないように、設計され、構築されなければならない。特定の空気圧差は維持されなければならない。」とある。

これは、汚染ゾーンから清潔ゾーンに気流が流れれば清潔ゾーンが汚染されてしまうので、それを防ぐ為に「空気圧差」をつけろ、ということだ。このことは[10.2微生物学的交差汚染]の[e) 空気差圧]にもあり「ねばならない」になっている。 
この幅木、水溜り、空気差圧にはハード面での対応になる。

ソフトで出来るレベルから、ハード面まで踏み込むレベル

ISO22000で、壁と床の接合部について何も要求されていないので無視してもいいかというとそうでは無く、この部分は汚れやすいので、良く洗浄出来るような作業が行なわれているかになり、具体的には「洗剤を使って、毎日ブラシで隅まで洗浄する」となっていればいい。しかしISO22002では「設計」されていなければならない。 
空気差圧についてISO22000では何も出てこないが、ISO22002では「ねばならない」なので、空調システムに組み込まれていなければならない。 
このように、ISO22000はソフト、運営、工夫、ルールで対応出来るが、ISO22002はハード面まで踏み込んで審査されることになる。 
審査の結果、ソフトとハードの両面で対応していればFSSC22000の認証取得となり、ハード面では無理で対応出来ないと最初から分かっていればISO22000の認証に持っていくことになる。

それなら、FSSC22000にまで持っていかないとこれからの取引に差し障るかというと、それは販売先の対応による。HACCPあるいはISO22000を要求していない、あるいは考えていない所はまだまだ多い。しかし、これからは最低HACCPの実施を要求する所は次第に増えていく。安全な食品や原材料を仕入れたいのは当然で、その為の指標なのだから。そして次の段階になるとISO22000が必要になり、更に国際取引や国内でも既に一部のメーカーや小売りチェーンではFSSC22000を要求している。

FSSC22000は有利な取引と運営のコストダウンにもつながる

ISO22002の有利な点はハード面が出来ていることで、工場はその状態にあるだけでより安全なことと、清掃洗浄が効率良く行なえる為、運営のコストダウンになることだ。 
清掃洗浄がしにくいと、安全なレベルにするまで作業コストがかかる。そこまで出来ないので適当にやる、となると、安全レベルが低下する。FSSC22000対応なら安全とコストの両方に対応出来る面が多い。 
米国に魚介類と食肉を輸出するにはHACCPの認証が必要だったが、昨年秋から全ての食品についてHACCPが必要になった。これにFSSC22000は対応出来る。ヨーロッパ各国へ輸出するにも同じだ。 
認証に持っていかなくても、工場の新増改築にはISO22002を考慮することだ。

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