1060号 加熱と冷却の温度・時間管理-3 悪いことが重なった複合の急速冷却の失敗

2020/11/19 23:02 に 加藤光夫 が投稿

どのレベルの加熱にしても、その後の急速冷却が安定していないと安全性にブレが出る。
ブラストフリーザーやクーラー、真空冷却といった方法があるが、チラー水での冷却もよく行われている。
ある惣菜工場で氷を使った冷却を以前から行っていた。
パックされた製品を氷で冷やしたプールに入れて急速冷却する方法で長年行ってきたのだが、ある日この製品に異臭がするというクレームが来た。今までこんな問題はなかったので、顧客の感覚の問題だろうということで、真剣にすぐに追跡しなかったら、2日後からいくつも同じクレームが出てきた。
これは大変だということで慌てて同じロットを回収したら、わずかに異臭というパックがいくつか出て来た。
細菌検査すると、悪いデータだ。
そこで原因を探ったところ、時間はかかったが、冷却工程だとなった。
この日の製造量は平常よりかなり多かった、たまたまの大口注文と重なったからだ。
なので、氷水冷却の量も多い。それだけ氷も必要だ。
ところが、今まではいつもの製氷能力で問題なかったのだが、実はこの製氷能力はギリギリ対応できる量だったことがこの事故でわかったのだ。
この日、初めてギリギリの能力以上の氷が必要だったのに、今までそういうことがなかった為わからなかったのだ。
なんでわからなかったのかを考えたら、実に単純なことで、チラー水の温度の測定をいい加減にしていたからだった。
HACCPのCCPにはならないが、それに準ずるこの急速冷却では、チラー水の温度と浸漬時間が重要で、これはOPRPにするべきところでもある、ということにこの事故でやっと気がついたわけだ。
つまり、製氷能力と冷却する製品の量の複合危害になったわけだ。
改善は、製氷能力を上げるには装置そのものを入れ替えなければならないので、かなりの費用がかかる。その割には製造量がこの日のように急に増えることは今のところ殆どない。ならば、とりあえず冷却する量が多くなる場合は、コンテナに水を入れて冷凍庫で氷を作っておき、それを量に応じていくつか加える、という改善にした。量が多い日がある程度出てくる方向になった場合、製氷機を入れ替えることにした。
ここのOPRPは、
・チラー水プールの温度(3℃以下)
・冷却製品の投入温度設定と冷却時間
・このための検証を、10回冷却作業を行いそれぞれ一つのサンプルの破壊中心温度測定と、別のもう5パックの賞味期限を含めた細菌検査で行う。これで安全確認したあと、一ヶ月間ロット毎に破壊中心温度測定を行う。その後は半年に一度の破壊中心温度測定と賞味期限を含めた細菌検査、にすることにした。
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