1062号 加熱と冷却の温度・時間管理- 力量問題で起こった冷却と加熱の失敗事故

に 加藤光夫 が投稿


弁当惣菜を製造しているある工場で、十数人が常に仕事をしている事業所に出荷したカレーで食中毒事故が発生してしまった。
この形態は、ご飯を保温ジャーで、カレーは寸胴鍋で、加熱した状態で昼前に納品する。職員はご飯とカレーを自分でよそって食べるわけだ。月に2〜3回のこのメニューはとても人気だった。
ある日のこのメニューの納品のあと、食中毒事故が出た。全員が食べたカレーが原因で、芽胞菌ということだった。
それまでこういった問題は全く無かった。煮込みのカレーで、加熱して納品しているので、そんな問題はあるはずがない、と、食中毒など考えもしなかった。
なにかの間違いではないか? と驚愕の中で調べてみたら、とんでもないことをやったことがわかった。

1061号 加熱と冷却の温度・時間管理-4 更に美味しく直営レストランへの究極の工夫

2020/11/26 21:03 に 加藤光夫 が投稿


さて、ソーセージは出来立てが美味しい。
できたてと言っても色々あり、究極の出来立ては、スモークハウスで調理して出て来たところだ。試食ということで熱いのを一本ちぎって食べると、小売店で買ったのを家に持ち帰って食べるのとは格段の違いだ。
そこで、直営や厳格な管理をしている店に出荷する場合、半生状態で出荷するやり方もある。(これは一般の製品にはならない、生と同じになるので)
方法は、スモーカーに入れ、表面にスモーク調理を短時間行って、中は生の状態でスモークを終了し、出したらすぐに急速冷凍してしまうのだ。
そして「生ソーセージ」として出荷することになる。とはいっても、見た目に表面は加熱されているので、一般の生ソーセージと同じように出荷すると、見た目で加熱されているとなってそのまま食べて事故になる危険があるので、扱いがしっかりわかっている直接出荷のところにしか出荷できない。
これを見せで加熱すれば、スモークフレーバーが付いていて、生から加熱した状態にもなるので、味は最高になるわけだ。

1060号 加熱と冷却の温度・時間管理-3 悪いことが重なった複合の急速冷却の失敗

2020/11/19 23:02 に 加藤光夫 が投稿


どのレベルの加熱にしても、その後の急速冷却が安定していないと安全性にブレが出る。
ブラストフリーザーやクーラー、真空冷却といった方法があるが、チラー水での冷却もよく行われている。
ある惣菜工場で氷を使った冷却を以前から行っていた。
パックされた製品を氷で冷やしたプールに入れて急速冷却する方法で長年行ってきたのだが、ある日この製品に異臭がするというクレームが来た。今までこんな問題はなかったので、顧客の感覚の問題だろうということで、真剣にすぐに追跡しなかったら、2日後からいくつも同じクレームが出てきた。
これは大変だということで慌てて同じロットを回収したら、わずかに異臭というパックがいくつか出て来た。
細菌検査すると、悪いデータだ。
そこで原因を探ったところ、時間はかかったが、冷却工程だとなった。
この日の製造量は平常よりかなり多かった、たまたまの大口注文と重なったからだ。
なので、氷水冷却の量も多い。それだけ氷も必要だ。
ところが、今まではいつもの製氷能力で問題なかったのだが、実はこの製氷能力はギリギリ対応できる量だったことがこの事故でわかったのだ。
この日、初めてギリギリの能力以上の氷が必要だったのに、今までそういうことがなかった為わからなかったのだ。
なんでわからなかったのかを考えたら、実に単純なことで、チラー水の温度の測定をいい加減にしていたからだった。
HACCPのCCPにはならないが、それに準ずるこの急速冷却では、チラー水の温度と浸漬時間が重要で、これはOPRPにするべきところでもある、ということにこの事故でやっと気がついたわけだ。
つまり、製氷能力と冷却する製品の量の複合危害になったわけだ。
改善は、製氷能力を上げるには装置そのものを入れ替えなければならないので、かなりの費用がかかる。その割には製造量がこの日のように急に増えることは今のところ殆どない。ならば、とりあえず冷却する量が多くなる場合は、コンテナに水を入れて冷凍庫で氷を作っておき、それを量に応じていくつか加える、という改善にした。量が多い日がある程度出てくる方向になった場合、製氷機を入れ替えることにした。
ここのOPRPは、
・チラー水プールの温度(3℃以下)
・冷却製品の投入温度設定と冷却時間
・このための検証を、10回冷却作業を行いそれぞれ一つのサンプルの破壊中心温度測定と、別のもう5パックの賞味期限を含めた細菌検査で行う。これで安全確認したあと、一ヶ月間ロット毎に破壊中心温度測定を行う。その後は半年に一度の破壊中心温度測定と賞味期限を含めた細菌検査、にすることにした。

1059号 加熱と冷却の温度・時間管理-2 出荷先によって温度と時間を変えているメーカー

2020/11/12 16:15 に 加藤光夫 が投稿   [ 2020/11/12 16:15 に更新しました ]


75℃1分と、72℃達温では、かなり違う。味も違ったものになる。もちろん72℃のほうがジューシーで、柔らかく、重量も多い、つまり歩留まりが良い。
なら、72℃達温に全てすればいいのに、となるかもしれないが、そうは行かない。
加熱ごと冷却のスピードで違ってくるし、この2つの温度と時間のものを同じ冷却スピードで行ったとしても、賞味期限が違ってくる。
ハム、ソーセージでよく言われている最低の加熱温度は、63.3℃で30分だが、実際にはやはり怖いので65℃30分にしているところが多い。こうなると、75℃1分との違いは更に大きくなる。

出荷先によって温度と時間を変えているメーカー

ハム・ソーセージでも、惣菜でも、加熱調理製品について、同じアイテムでも、出荷先によって温度と時間の設定を変えているところは多い。
あるハム・ソーセージの事例では、
・一般小売店向けの製品は、75〜90℃。
・スチコンやコンベアオーブンで温度と時間管理で調理して提供しているチェーンレストラン向けは、72〜80℃。
・自社の直営レストラン向けで、教育訓練されて力量管理された担当者が調理して提供しているところへは、65℃30分。
としている。
3段階にしているわけだ。
一般小売店向けは、一般消費者に行くわけなので、温度管理がかなり雑になる危険が大きいので、最も高い温度にしている。
しかし、直営レストランでは力量を持った人が厳重に管理しているので、最高品質の状態にしているのだ。
なので、その直営レストランに行って食べると、スーパーで購入する同じ製品でも味が全く違う。

1058号 加熱と冷却の温度・時間管理-1 科学的データと経験及び安心の関係

2020/11/05 16:27 に 加藤光夫 が投稿


一般的な加熱と冷却を列挙してみると表のようになる。
そして、この中のよく採用されている加熱温度と時間をいくつか選んで、殺菌温度と時間の表にプロットしてみると、ちょっとおかしなことになる。
右下に向かって下がっていく直線は、殺菌できる温度と時間の一般的相関のイメージラインで、このライン上に代替並んでいれば「まあ、そんなものだろう」と数値では納得するが、62.7から85までの6つを選んでそれぞれの座標に入れてみると、イメージラインとは全く違ってしまう。
科学的データからすればイメージラインになるのだが、実際に製造で採用しているCCPの範囲は、科学的な安全範囲ではなく、もう少し余裕を見て決めているところがほとんどだ。安心が加わっているのだ。
また、公的に言われている数値でも、例えば75℃1分は、実際にはかなり安心度を加えたものだ。
美味しさを重視すると、ここまで加熱するとかなり失われてしまうということで、72℃達温、を採用している所も多い。

1057号 微生物制御の実際:ソース入りハンバーグの例で-16 真空包装でのモニタリング

2020/10/29 18:08 に 加藤光夫 が投稿


この工程は、真空包装機の投入口付近で行うことになるが、その環境、道具(例えばトングや作業者の手袋)が清浄であることを、その場でわかるATP検査やスワブ検査で確認すればよい。あるいは、これらの清掃洗浄方法と結果がやはり「指示書又は仕様書によって裏付け」でされていればいい。

以上の分析と安全対策の方法を見てみると、加熱殺菌や最終のX線や金属探知機でのCCP以外に、細菌汚染防止のための重要ポイントは別にあることになる。
HACCP制度化において、従事者50人以下の工場は80%ほどになる、という状況のようだ。
50名以下の場合「HACCPの考え方を取り入れた」衛生管理を「手引書」で行い、保健所の監査も同じ手引書を使う、ということになっている。
しかし、今回のこの記事の分析を考えれば分かる通り、50人以下の工場においても、危害分析を行うと、製品によって重要なポイントはCCPだけではないことに気が付く。
中小工場においても自主的に国際基準のHACCP12手順で行うことが必要だ。ぜひお勧めする。

1056号 微生物制御の実際:ソース入りハンバーグの例で-15 ハンバーグとソースの冷却のモニタリング

2020/10/22 23:53 に 加藤光夫 が投稿   [ 2020/10/22 23:55 に更新しました ]


CCPの場合のモニタリングは「逸脱をタイムリーに検出」が必要で、加熱殺菌の場合なら温度測定でできる。
冷却のモニタリングはどうかというと、これも製品の温度測定でできるのだが、冷却方法や使用装置が安定していれば、冷却パワーと冷却時間を決めておけば、確実に安全レベルまで製品の中心温度を下げることができる。いちいち中心温度を測定することもないし、多少長めに入れても問題にはならない。
製品の大きさ、厚さ、予冷の効果によって、アイテムごとにパワーと時間が違ってくるが(大きかったり、厚かったりすれば時間は余計にかかる)「指示書又は仕様書によって裏付け」されれば、つまり検証されていればいい。
ということで、OPRPにすることはできる。

1055号 微生物制御の実際:ソース入りハンバーグの例で-13 真空包装は最後の危険工程

2020/10/15 17:27 に 加藤光夫 が投稿


工程15は、冷却したハンバーグとソースをパックするのだが、これはパック直前の工程の上、1パックずつの人手による作業や、自動パックにしても、口を開けた容器(パウチ)に入れるのだから、汚染が入り込むところだ。異物の混入もある。
この工程もOPRPにしている工場も多い。

1054号 微生物制御の実際:ソース入りハンバーグの例で-12 ハンバーグとソースの加熱後の冷却問題

2020/10/08 19:26 に 加藤光夫 が投稿


工程13はハンバーグの冷却だが、ここがある意味でCCPよりも重要で、細菌汚染の大きな危険がある工程になる。
(09)
まずは冷却するためのセットだが、バットや鉄板、あるいは網などに乗せるが、それが汚染されていたら、せっかく加熱殺菌したハンバーグを汚染してしまうことになる。
この冷却パンだが、ステンレスや鉄板などの金属だと冷却能力が高まる。家庭で冷凍するとき、食材をアルミ箔でしっかり包んで入れると早く凍るので、これがコツだと主婦向けの解説で時々書いてあるのを見かけるが、これと同じ方法だ。
冷却パンは専用にして、清浄な状態に洗浄できる手順を拭き取り検査で確かめ、その手順通りに洗浄した記録を残すなど、慎重に扱う必要がある。
冷却は急速冷却が基本で、これは真空冷却やブラストチラーで行うとよいのだが、小型の工場で設備が整えられない場合、普通の冷蔵庫での冷却になることもある。
この場合、ただ単に冷蔵庫に入れるのではなく、入れる前に扇風機で予冷し、冷蔵庫の負担を少なくする。
予冷する場所にも注意が必要だ。きれいでない環境で汚染してしまわないように、その場所の清掃を特に慎重に行う。
冷却庫に入れる状態は、予冷した時の状態のまま素早く入れられるようにする。ここで積み替えなどの作業が入ると、そこでまた汚染してしまうからだ。
冷却庫内もきれいな状態にして置かなければならない。庫内は冷えているから大丈夫だと考えても、そうではない。低温でも細菌は増殖しないだけで、存在はするのだから、汚染されてしまう。
工程14のソースの冷却も同じ注意が必要だ。
この工程13,14は、ISO22000におけるOPRPにもできる重要な工程で、加熱後の冷却工程でいかに汚染を防御するか、そして増殖を抑えるかになる。ここで細菌汚染されると、このあとの殺菌の工程はないまま出荷になってしまう。

1053号 微生物制御の実際:ソース入りハンバーグの例で-11 ハンバーグの焼成

2020/10/01 19:18 に 加藤光夫 が投稿


工程12はハンバーグの焼成で、これはCCPだ。
このソース入りハンバーグの例で、ハンバーグの方の焼成はコンベアオーブンで行っている。
焼成用バットに並べたハンバーグを、コンベアオーブンに入れ、規定時間オーブンを通し、出てきたところを30分ごとに中心温度を測定し、規定温度になっているかを確かめる。
温度の基準は75℃以上で行っているところもあるし、75〜90℃と範囲を決めているところもある。
中心温度は殺菌できる温度で低いほうがジューシーに仕上がり歩留まりもよいが、製品になってからの日持ちの長さは温度が高いほうが良い。
製品の賞味期限、一般小売に流すのか特定の例えばフードサービスなどの管理がしっかりしているところに出荷するのか、チルドか冷凍か、パッケージのシステム、多くの条件を考慮して、美味しく、歩留まりよく、安全な範囲を決めていかなければならない。
そのための検証は重要で、新製品を出すときには特に慎重にやらなければならない。細菌検査を条件を段階的に設定して行う。
レギュラー製品で歴史のあるものでも、半年に一回など、頻度を決めた経時変化調査の検証が必要だ。
レシピが変わった、製造システムが変わった、原材料が変わった、野菜など季節による変化といった変動や変化で製品の安全性は変化するので、これらも条件に入れて検証をした上で、調理後中心温度を設定する。

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