異物混入対策の調査ステップ-13.加熱後の冷却からパックまでの間

2017/10/13 16:32 に 加藤光夫 が投稿


これは細菌とノロウイルスの混入になる。これも異物だ。

20173月、東京で刻み海苔のノロウイルス集団食中毒があった。

海苔の製造は、原材料を煮た後シートにする。煮ると加熱殺菌が出来るが、そのあとシートにしてパックするまでの間のかなり多くの工程で汚染の危険がある。

この刻み海苔での問題は、刻みの作業を委託していた工場で、手袋をして作業をするルールなのに、手袋をせずにしていて、そこでノロウイルスが混入したということだ。

この問題は、2つある。

一つは、加熱殺菌後、パックするまでの間に重要になる特別きれない環境を作れなかったこと。

もう一つは、委託工場への監視が出来ていなかったこと。

この事故の後の報道で、乾物でノロウイルス食中毒になるとは考えられないことだった、ということがあったが、乾物は全て、加熱からパッケージまでの間が一番危険なのだ。

食品にそのままかけて、そのまま食べるものはいくらでもある。例えば冷奴の上に刻み海苔と極薄くスライスした花かつおをかけて食べるが、両方ともパック前の工程で汚染したら危険になるものだ。

パンも全てそうで、パンは加熱して製造するので、この工程でバクテリアやノロウイルスの問題は無くなるが、このあと、袋に入れるまでの間に汚染する危険がある。実際、「2014115日、浜松市内の小学校等において摂取者数8,027名、患者数1,271名の大規模食中毒が発生した。原因食品は、14日に学校給食で提供された食パンと断定され、病因物質としてノロウイルスGIIが検出された。」(国立感染症研究所ページ)がある。

珍味は加熱して加工したあと、袋に入れる。珍味全てにこの危険がある。

vol.909 異物混入対策の調査ステップ-12.機器装置からの混入(フィルタ,金属など)

2017/10/05 20:45 に 加藤光夫 が投稿


製造装置内部の、フィルタ破片、プラスチック破片、金属片やサビなど、装置からの混入による回収事故もよくある。
フィルタは、毎日分解洗浄するなら、そのときに点検できる。
そうでない場合、疲労や劣化がそのフィルタによって違うので、安全な状態がどの程度の期間なのかをメーカーに問い合わせて、その期間の半分ほどの期間の頻度にして分解あるいは開いて点検し、自分の工場での点検や交換時期を推定することが出来る。
ある炊飯工場で、長年使い続けていた洗米機のフィルタを初めて点検したら、ぼろぼろになっていた。かなりの破片がご飯に混入していたことがわかった。そこで、毎月の点検頻度にして様子を見ることにした。
機械装置内部のプラスチック片や金属については、定期的な点検や観察が必要だ。
しばらく点検していない機械装置について、順に分解点検していくと、危険な状態が見つかることが多い。

vol.908 異物混入対策の調査ステップ-11.ゴミ、埃、結露の落下物

2017/09/29 0:39 に 加藤光夫 が投稿


ゴミや埃は天井の排気吸気口によく溜まっている。頻度を決めて清掃する。
結露で困っている工場は多い。蒸気を多用しない工場でも夏場に天井裏の湿気が滲み出し、結露となって落下する。この結露の細菌検査をすると一般生菌が多いところもある。これが製造中の食品食材に落下すれば直接製品を汚染することになる。
天井裏の湿気を無くすには、空気の流通を排気口と吸気口を作ってわずかでもいいから風を作って湿気を外に出すようにする。工事は費用がかかるので、除湿機を天井裏に入れ、抽出した水をパイプに通して下の作業室の排水まで持っていき、流しっぱなしにする方法もある。
単に結露を拭く方法でもいいが、天井が高いとそうもいかない。そのような場合、サーキュレーターを天井に吹き付けて、結露になる前に乾かして吹き飛ばしてしまう方法もある。

vol.907異物混入対策の調査ステップ-10.清掃洗浄の頻度と手順

2017/09/23 0:27 に 加藤光夫 が投稿


「汚れたら清掃する」という考え方だと、いつもその場所に居るので、徐々に汚れが蓄積しているのがわからない。第三者が点検に入って指摘されて初めて汚れているのに気づくことが多い。
こうならないためには、清掃洗浄の手順と頻度を決め、チェックリストを作って忘れない、抜けないようにすることだ。
頻度は、毎日、毎週、毎月、毎年、の、4段階ほどが適当。もっと細かく決めてももちろんかまわない。
手順だが、綺麗にできる手順をもちろん決めるが、同時にできるだけ短時間に、更には手順を少なくする方法を探ることだ。というのは、何も考えずに清掃洗浄するのを見ていると、同じところを2度やったり、順番が逆だったりと、無駄が目立つことが多い。
ある工場で、一つ一つの製造装置の清掃洗浄手順をビデオに撮り、あとで会議室で見ながら手順を見ていた。そこで、蒸煮釜を見ていたら、デッキブラシを使って釜の内部の底から上に向かって洗浄し、そのあと外側を洗浄し、そして次に床を洗浄したあと、また釜の内部を洗い始めた。
これでは順序がメチャクチャだ。床を洗ったブラシで、最初に洗ったもっとも重要な釜の内側を洗うなど、とんでもないことだ。床の汚染を釜の内側に持っていっているのだから。おまけに同じ釜の内側を二度洗っている。二度手間の上に汚染している。
この例で正しいのは、釜の内側を、上から下に向かって洗浄し(この釜は底に排水口がある)、そのあと釜の外側を洗ってからブラシそのものを洗って終了する。床は床専用のブラシで洗浄しなければならない。また、釜の内部と外側のブラシを別にしたほうが更に良い。
最良の手順が決まったら、手順書にして、その方法で出来る人を登録する。これを力量登録という。
手順書は写真を撮ってキャプションを入れるのでもいいし、動画でポイントを話しながら撮影すれば、そのまま手順書に出来る。

異物混入対策の調査ステップ-9.装置や棚の下,壁側の汚れ

2017/09/15 16:38 に 加藤光夫 が投稿


ある豆腐工場のレイアウト変更で、パック後の冷却水槽の移動をしたら、ひどい汚れだった。カビ、虫、細菌の温床になっていた。水槽の下の隙間が狭くて清掃ができない状態だったのだ。
このような場所を見つけて清掃するには、狭い場所を清掃できるブラシなどを使うか、一時移動するなりする。そして、恒久的に改善する方法を考えることだ。
例えば、床からもう少し上げて再設置する、棚なら最下段板を抜いて、キャスター差し込み式にする、といった対策を取る。
同じように、壁側との隙間も汚染の温床になる。清掃することと、これも恒久的に改善するため、壁から15センチ以上離すなどの対策にする。

異物混入対策の調査ステップ-8.割れるもの,欠けるもの

2017/09/07 19:11 に 加藤光夫 が投稿


割れるものは、プラスチック、ガラス等だが、これらはないほうがいいが、すべて無くすことはなかなか難しい。
そこで、工場内にあるこれらのものをすべて調べてリスト化し、これらを2つに分ける。
一つは、欠けないものに替える。
もう一つは、欠けないものに替えられないものだが、これは毎日の点検項目に入れてチェックする。
計量カップがプラスチック製なら、ステンレスやアルミ製に替える。ホワイトボードに使うマグリップ(マグネットのクリップ)が欠けるものなら、ゴムとビニール製の欠けない物に替える。こういった変更は簡単にできる。
もう一つの替えられない物だが、例えばフライ製品の調理をするコンベアフライヤーの内部調理状態の状態を見るための窓の上にあるランプのカバーが欠けて大きな回収事故になった例があるが、このような高温になる内部の材質を欠けないものに替えるのはほとんど不可能なので、毎日、作業開始前と、作業終了後に、問題がないかを確認するようにする。
こうすれば、万一欠けたのが発見されても、出荷しないで済む。

vol.904 異物混入対策の調査ステップ-7.不要物の撤去

2017/08/31 19:15 に 加藤光夫 が投稿


先日ある工場の点検での入場で、しっかりしたネットと帽子、防塵服に着替えて入ったのだが、入ったら工場内の壁側に棚が並び、その棚の裏側と最下段の棚板の下がかなり汚れている。何ヶ月も清掃していないことがよく分かる。入場でいくらしっかりしても、工場内がホコリだらけなのだから、何の意味も無い。
棚に何が乗っているのか見てみると、外部の目で見ても不要なものがかなりあることが判る。
そこで、必要なものと不要なものを分けて、不要物を全て外に出すか廃棄するように要求した。
そして2ヶ月後に行ったら、2/3が不要物だったという。棚そのものも2/3が不要になり、スッキリし、ついでに残った棚の下にキャスターを付けてすぐ動かせて清掃しやすくしてあった。
これで異物混入の元がかなりなくなった。
このあと、棚の数を維持する、つまり増やさないように依頼した。棚一つが増えたら、その分異物の元が増えることになるからだ。

不思議な質問:最近、ISO22000を取得している複数の工場のスタッフから「ウチはHACCPをやってるんですか?」という質問を立て続けて受けた。
ISO22000はHACCPのためのマネジメントシステムだからHACCPをやっているのは当たり前なのだが、この質問は、ISO22000とHACCPの関係がわからない顧客から受けた質問から来ている。
顧客の方で、HACCPは仕入れのための取引基準になったのでおたくはHACCPをやっているか? と、ISO22000とHACCPの関係がわからないまま聞き、工場の側もわからなくなった、というのが状況だ。
ISO22000取得している工場の皆さん、HACCP中心のマネジメントシステムを認証しているのですよ。胸張って「HACCPどころか、それ以上の国際基準でやってます」と答えてください。

vol.903 異物混入対策の調査ステップ-6.外との間の隙間

2017/08/25 0:22 に 加藤光夫 が投稿


虫はほんの僅かの隙間から入ってくる。その隙間を発見する。
探索は、工場が休みの昼間行う。
工場内の照明を消し、外との間、つまり壁側、シャッターの隙間、壁と屋根の間の隙間、出入り口ドアの隙間などを見ていく。
工場内が暗ければ、外の光が入っているのですぐに分かる。どんな小さな隙間でも見逃さないように慎重に見ていく。これで調べると、老朽化した工場でかなりの隙間が発見されることが多い。
隙間を発見したら、順次修理をしていく。
これで、虫の侵入経路が遮断される。

vol.902 異物混入対策の調査ステップ-5.原材料由来

2017/08/18 0:29 に 加藤光夫 が投稿   [ 2017/08/23 5:22 に更新しました ]

原材料に入っていた異物は、サプライヤーに対するクレーム書や要求書、メール、FAXなどの記録になっている。これも可能な限り過去まで遡る。
以前韓国の食品工場を視察した時、原材料に入っていた異物を、小さなビニール袋に入れて、サプライヤー別に大きな壁に貼り付けてあった。どのサプライヤーから、どのような異物が、どれだけ入ってきたのかが一覧でわかるようになっているのだ。
見せしめのようにも見える。サプライヤー名は記号になっているので特定のスタッフしかわからないのだが、サプライヤーが来たときに「あなたのところからはこういったものが入っていた歴史がある」と分析されれば気も引き締まることになる。

追加:カバーが無い惣菜売り場の問題がO-157食中毒事故で問題になっていますが、ヨーロッパの店舗でよくあるタイプは以下の様なものです。これはイタリアのシエナで見かけたもの。スヌーズガード(よだれカバー)と呼ばれています。

vol.901 異物混入対策の調査ステップ-4.製造工程毎のヒアリング

2017/08/03 21:27 に 加藤光夫 が投稿

これは前項と目的は同じようだが、ヒアリングという視点からになるのが違う。
製造作業室ごとにチーム内で調査をするのだ。
製造室ごとにパート・アルバイトも含めた従事者にヒアリングし、過去にその場で発見したもの、直したものなど、記録に残っていない事項を掘り返す。「不要物は無いか、割れるもの,欠けるものは無いか、清掃洗浄が完全か、ゴミ,埃の落下物は無いか、結露の落下は無いか、機器からの混入は無いか」といった、これから分析を統合的に行っている前に、現場の声、記憶、発見などを集めて、「異物対策シート」に入れる準備をするのだ。

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