HACCPの現状は、厚生省の承認対象が、乳、乳製品、食肉製品、そして米国向け水産加工品とその付帯施設(冷蔵倉庫)である。この後は、缶詰レトルト製品が各保健所での説明会を昨年秋から行われており、清涼飲料水の準備が99年4月ごろからスタートするという発表がでている。こういった中で、中小企業に対してどのような影響が出ているかであるが、早速出始めているのが、牛乳パックでの承認マークである。
これは厚生省の承認を得た工場が製造した牛乳パックに、「厚生省承認施設」と「HACCP」をデザインしたマークがプリントされているものである。この承認マークは、厚生省が貼ることを推奨しているわけではないが、乳業メーカーの4つの団体が、自主的に行っているものである。このマークが出ることによって、スーパーマーケット側から、HACCP承認マークの無いメーカーに対して、工場のHACCP取得がどうなっているか、HACCPを行っているのか、HACCPの承認を得てこのマークをパックに入れてもらいたい、といった声が出てきているのである。
メーカー側、特に中小企業にとっては、HACCPはまだ準備段階や構想段階のところがほとんどだろう。さらに承認のためには費用が相当かかるのではないか、といった恐怖感もある。中小の牛乳メーカーはローカルメーカーが多く、生産者直結や、高品質などをコンセプトにし、優良な製品を作っているところも多い。しかしながらスタッフ不足や資金、施設等の問題も多いようである。
HACCP承認マークは牛乳だけではない。米国FDAでは、魚介類の加工品工場に対して、97年12月からHACCPの導入を義務づけている。HACCPを行っていないと、工場が運営できないのである。これは米国内にとどまらず、米国が外国から輸入する場合にも当てはまり、その外国の工場がFDAのHACCP基準を満たしていなければならない。このために日本から米国向けかまぼこなどを製造している工場では、この認証を取らなければならない。そして、この承認を得たメーカーは、今度はこの認証そのものを、日本国内向けに出荷をする製品の安全性を訴える意味で、牛乳と同じようなHACCP認定施設マークをつけるようになる。具体的には認定を受けた工場施設が「対米輸出水産食品HACCP認定施設協議会」を作り、99年4月ごろからスタートをする。そして、かまぼこの業界を見てみると、やはり中小企業が多い。やはりまだHACCPに取り組んでいないところが殆どではないのではないかと推定される。
その次に出てくるのは食肉加工製品である。ハム、ソーセージ製品が対象で、すでに承認をとっているメーカーがメンバーになっている「全国ハム・ソーセージ類公正取引協議会」では、自主的な「食肉製品の総合衛生管理製造過程の承認を受けた製品にかかわる表示のガイドライン」において、承認マークを99年夏ごろから表示する計画である。ハム、ソーセージメーカーも、中小企業が多い。
厚生省では、HACCPの承認を取るのに「基本的には現在の施設設備のまま、知恵と工夫でとることが出来る。そんなに費用をかけなくても出来る」と明確に言っているのだが、これが広く伝わっていないし、具体的な手法も情報として流れていかない。保健所の担当者によってガイドラインのとらえ方がかなり違い、そのために費用などの問題に悩む中小企業も多いようだ。