これから食品工場の新増改築を行なうには、2010年公布、2011年に審査スタートしたISO22002に対応する必要がある。
これには食品工場のハード面に関する技術仕様が規格されており、今後ISOの認証を取る取らないに関係無く、この仕様に対応しているかどうかは、今後多くの工場監査に考慮されることになるだろう。
新増改築にはISO22002を考慮する
2009年末から2010年初めにかけて、ISO22002ー1:2009、PAS220:2008、FSSC22000が発行、発表された。ISO22002は、ISO22000(食品安全マネジメントシステム)のPRP(前提条件、一般的衛生管理)についての具体的な「技術仕様書」で「(ISO22000を)支援するのに用いられることを目的として」とあり、「22000と共に使用されることを目的」とある。
ISO22002は22000と一緒に審査をするならば、ISO22000の認証書とISO/TS22002の認証書を個別に発行することが可能とされている。
PAS 220は、PASは[Publicly Available Specification]で、一般仕様書。BSI(英国規格協会)が中心になって策定したもの。FSSC22000は、食品安全規格であるISO 22000:2005 と一般的に利用可能な仕様で、PAS220:2008との統合に基づいて作成された食品製造業者のための新規の認証だ。
これらの規格で重要なことは「技術仕様書」となっていることだ。ISO22000のPRP(一般原則)では、「a)建物及び関連設備の構造並びに配置」から「j)要員の衛生」まで10項目と「その他適宜」という規格になっているが、項目だけで、それぞれを具体的にどうしたらいいかの記述は無い。そこでこの「技術仕様書」になるわけだ。
例えば、工場内の施設とその配置についてISO22000では「b」作業空間及び従業員施設を含む構内の配置」とあるだけだが、ISO22002では、5.1一般要求事項、5.2内部の設計,配置及び動線、5.3内部構造及び備品、5.4装置の配置、5.5試験室、5.6一時的/移動可能な設備及びベンディングマシン、5.7食品,包装資材.材料及非食用化学物質の保管、といった具体的な項目でそれぞれ詳細な技術仕様が記述してある。
「5.3内部構造及び備品」においては、床と幅木の部分について「壁と床の接合部及び隅(角)は清掃・洗浄が容易にできるように設計されていなければならない。加工区域では壁と床の接合部に丸みがあることが推奨される。床は水溜りを避けるように設計されなければならない」とある。
今まで食品工場の施工をする時、床の状態と幅木について、設計施工者が独自に行なっていたが、この規格では、幅木は無ければならなくなり、床は傾斜があり、なおかつ凹みがあってはならない。
同じく5.3では「天井と頭上の設備は挨及び結露の蓄積を最小にするように設計されなければならない」とあり、天井や特に食品製造のラインの上に配管や配線類など、埃の溜まるようなものは出来るだけ無くすことが要求されている。また、天井や配管などに結露が溜まっているのを見かけるが、これを無くすような要求になっている。天井結露は細菌に汚染されていることが多く、これが食品に落下してはならないし、カビの元にもなる。天井裏の高湿度は漏電事故にもつながる。
5.5試験室では「5.5試験室:細菌試験室は直接、製造区域に通じていてはならない」とある。古くからの食品工場で増築を重ねていったため、工場内にトイレが残ってしまい「緊急用」としていたが、改修に当たって倉庫にする意見が出されたが、結果出来たのは検査室だった。これはISO22002の規格に反する。検査室は細菌を培養するので、製品を製造している場所にあってはならないのだ。この判断の時ISO22002は未だ無かったのだが、これからこのような場合、ISO22002を考慮するか知らないかで大きな違いになってしまう。
というのは、近い将来何らかの形の食品安全の認証が、取引先の要請あるいは社会的必要になってくる可能性が高い。その時に、ISO22002を一緒に審査することはより安全性が高いことを第三者に印象づけることにもなる。もちろんISO22002を無視してもかまわない。ISO22000はシステムが出来ているかどうかの認定なので、ソフト、方法で対応出来る。しかし、工場そのものが、その状態にあるだけで安全を確保出来る、つまり安全対応の仕様になっているかどうかは、システムの運営がより確実に出来るかどうかに影響することは間違いない。それなら、設計構想段階からISO22002の使用を考慮しているに越したことは無い。
6.4では「空気の質及び換気:換気システムは空気が汚染されたり、又は原材料区域から清浄区域に流れたりしないように、設計され構築されなければならない。特定の空気圧差は維持されなければならない」とある。
これなどは最初から計画していれば余計な費用無く十分に対応出来ることだが、このことを知らないで空気圧差が逆になっていた場合、改修費用がかかってしまう。
同じく7.4排水管及び排水、では「排水方向は汚染区域から清浄区域に流れてはならない」とある。知らずに逆流して出来てしまってから改修するには大変な費用がかかってしまう。
これから食品工場を新増改築するなら、余分な費用がかからないよう、将来の認定に備えて、ISO22002を考慮しなければならない。そのために、発注者側は「ISO22002を考慮して設計」を要求し、設計施工側は「ISO22002を考慮して提案」する必要がある。
以下の項目についての適合を審査します
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一般的衛生管理 |
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1.,環境,建物装置 |
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施設の立地 |
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植栽の撤去 |
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施設外の有害生物 |
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構内と駐車場の水溜り防止 |
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床、壁、天井 |
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洗浄可能 |
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幅木 |
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床の傾斜 |
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床の漏れ止め |
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天井と頭上からの落下防止 |
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窓,屋根,換気扇の捕虫網 |
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装置の洗浄しやすい配置 |
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検査室 |
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工事用施設 |
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清掃洗浄剤の扱い |
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装置の洗浄性 |
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配管の洗浄性 |
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装置操作盤からの汚染対応 |
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装置の製品接触面の安全性 |
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装置のモニタリング |
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破損しやすい装置の材料 |
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2.動線とゾーニング |
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動線とゾーニング |
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入出口の閉鎖構造 |
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3.原材料と資材及び製品の管理 |
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倉庫保管 |
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保管区域の設計と配置及び床と壁からの距離確保 |
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保管方法 |
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温度管理が必要な物資の保管 |
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輸送車 |
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4.ユーティリティ |
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水の供給と安全確保 |
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洗浄水 |
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塩素消毒の水 |
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飲用不適の水の扱い |
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原材料の水又は製品と接触する水 |
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ボイラー用化学薬剤 |
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危険物、化学薬剤の保管 |
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清浄な空気の供給 |
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空気圧差 |
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フィルター交換のしやすさ |
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ガス、油 |
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照明の明るさ |
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照明の破損対応 |
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5.清掃洗浄保守の環境整備 |
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仮修理 |
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応急修理からの復帰 |
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6.清掃洗浄保守の実施と検証 |
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洗剤、化学薬剤の保管と使用 |
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CIPシステム |
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7.廃棄物 |
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廃棄物容器 |
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排水管の設計 |
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8.防虫防鼠 |
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侵入の予防と棲みかの除去 |
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モニタリングの設計 |
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9.個人衛生 |
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従業員の衛生設備 |
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手洗い |
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トイレ |
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更衣室、ロッカー |
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社員食堂 |
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作業衣の性能 |
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手袋の選定 |
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靴の性能 |
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HACCP |
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手順9.モニタリング方法を設定する(原則4) |
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温度測定装置 |
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マネジメント |
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アクセス管理、セキュリティ |
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著作:株式会社 フーズデザイン 加藤光夫